ジレンマは極上のスパイス
ゲームを作ることは、料理を作ることに似ていると思いませんか?
様々な食材を組み合わせて、最高に美味しい料理を作ること。様々な遊びを組み合わせて、最高に面白いゲームを作ること。
同じ食材でも、調理方法が異なれば、全く違う料理になる。同じ遊びでも、思考方法が異なれば、全く違うゲームになる。
そして、料理に味付けは、必要不可欠。同じように、ゲーム作りも、適度なスパイスがなければ味は出ません。
今回は、ゲーム作りでとても大切な要素「ジレンマ」というスパイスについて、書いていこうと思います。
ジレンマとは?
ジレンマとは、ある問題に対して、2つの選択肢が存在し、そのどちらを選んでも何らかの不利益と利益があり、どちらを選ぶか非常に悩む状態、のことを指します。
人は誰しも欲を持っているので、どちらを選べばより良い結果になるか、分からない状態だと、迷いが生じます。その迷いは、心理的なストレスになるかもしれませんが、選択が良い結果を生んだ時に、これまでにない高揚感を得ることができます。
ジレンマによって、そういった心理的な状態を作ることを、ゲームにうまく組み込むことで、シンプルな遊びが途端に中毒性のあるゲームに化けたりします。
適度なジレンマを作るコツは、リスクとリターンのバランスを最適に保つことです。どちらかの比重が大きすぎると、選択肢に葛藤が生まれません。リスクを取ってリターンを選ぶのか、リスクを恐れてリターンを諦めるのか、人によって半々になるバランス感が重要です。
全員が別々の選択肢を選ぶことで、ゲームの勝敗が決まるようにすると、勝利できた時の高揚感は高まり、負けた時の悔しさが募ります。
自分の選択は間違っていなかった!やってやった!という気持ちと、負けてしまってとても悔しい!次こそは勝つ!という思いが絡み合い、ゲームのリプレイ性・中毒性を高めることに繋がります。この状態を作り出すのに、ジレンマはとっても重要なスパイスなのです。
嘘と真の心理戦、解を導くボードゲーム 「まことしやかに」
最後に、ゲームマーケット春2020に出展予定の新作ボードゲームの紹介をさせて頂きます。
このゲームは、質問と回答を繰り返し、最終的に相手の好きなものを当てるゲームです。ただし、回答する際「ウソ」もしくは「マコト」を織り交ぜて、自分の好きなものが何か、相手にバレないように誘導します。
そして、最大のポイントは、ドローになった時(最終的に相手の好きなものを両者が、"当てた場合"、"外してしまった場合")「マコト」の数が多い方が勝利となります。
実は、ここにジレンマのスパイスが加えてあります。「マコト」を使いすぎると、相手に自分の好きなものがバレてしまう。しかし「ウソ」を使いすぎると、最後ドローになった際、負けてしまいます。正直者が馬鹿を見るのか、正直者が徳をするのか、あなたの選択次第で結果が変わります。
「ウソ」と「マコト」どちらを選べば相手を拐かせるか、葛藤しながら楽しむことができる心理ゲームとなっております。
ジレンマから生まれる葛藤の末に、手に入れた勝利はどんな味がするのか、ぜひ味わってみませんか??
最後に
今回は、ゲームにおけるジレンマの活用事例を題材にご紹介させて頂きました。他にもゲームを考える上で、こんなことを聞いてみたいという、ご意見がありましたら、ぜひお待ちしております!
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