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2024年 AppleTV+ドラマ『SUNNY』感想 2

🤖 1話感想&ネタバレ

第2話 Don't Blame the Machine(邦題「機械は悪くない」)

ブラックコメディとミステリーを兼ね備えたドラマ作品。
コリン・オサリバンの原作『ダーク・マニュアル』をベースにしています。原作は読んだことがないのでドラマでストーリーを初めて知りました。1話では重要人物の登場と関係が判り、2話では起きた事柄が過去と現在を交えてランダムに映し出されています。今回の2話回想シーンではスージー(ラシダ・ジョーンズさん)とマサ(西島秀俊さん)の出会いが描かれています。

マサとスージーの出会いは、ラーメン店の券売機がうまく使えないスージーをマサが手伝ったのがきっかけ。お金の入れ方だけ手伝ってもらったがその後は意地のように1人でトッピングや味を決める。しかし実は読字障害を抱え、日本語が読めないスージーは知らずに激辛を選択。後ろで見ていたマサはスージーがそのラーメンを食べた後どうなるのかを既に察知し、飲みに誘い、ここからふたりは始まって行く。

そして現在、スージーはまだサニーの全てを信頼している訳ではなくサニーの投げキッスの仕草をなぜ知っているのか気にかかっている。それを調べにロボット修理をしている電気店に向かう。その店の修理屋、サカイ(笹野高史さん)はサニーが定期的にアップデートされるホームボットのアップグレードモデルであることを知る。しかし新品ではなく過去のファイルにはロックがかかっていると言う。サニーがあまりに高性能なのとスージーが「何かロックを解除できるマニュアルコードはない?」と訊ねたことがきっかけとなり、それまで普通に喋っていたサカイの顔が豹変し「そんなものはない」と奥に引っ込んでしまう。

そんなスージーとサニーを追いかけて来たのはあの場にいた電気店店員のリサ(矢野裕子さん)。彼女は「マニュアルコードは確かにある、ただほんの一部しか知らない」とヒントをくれ、リサ自身の身体に彫られた狼のマークのタトゥーを見せられる。スージーには見覚えのある絵。それはマサの実家に飾られていたマサが描いたものだ。スージーとサニーはマサの実家に赴くが、義母、ノリコ(ジュディ・オングさん)とは嫁姑の間柄ながら相変わらずギスギスしていて嫌味を言われただけで何の成果もなかった。

自宅に戻ったスージーはマサの書類等を片っ端からひっくり返して狼の絵のマークを探します。このシーンのスージーはサニーと互いに「病気!(※Path Logical)」「あんたこそ病気!」と口汚い言葉を使って口論になるほどですが、とても可愛いシーンでした。やがてサニーは、スージーに隠し事をしているならこの部屋にはない、と言い、会社に行く提案をします。

マサが勤めていたイマテック社に赴く途中、サニーが近づくと僅かな瞬間、エラーを起こし再起動状態になって動かなくなる。仕方なく1人でイマテックに入ったスージーは偶然、以前夫を亡くしたばかり、という立場のスージーに向かって「マサは熱血漢で威圧的だ」と酔っ払いながら言葉を放ったタナカ・ユーキを見つけ、彼をほぼ脅迫するような言葉を駆使し、侵入禁止部署の第5課へまんまと潜入。そこは1話で『坂本研究室』と書かれた血のついたカーペットを発見した場所ですが、それさえ除けば商店街のように色んな施設を小さくしたように平穏な所でした。
けれど今回訪れると、研究室のプレートに書かれたマサの名前は消され、数々の窓も意図的に曇らせて中が見えないようになっていました。犬がいたあの部屋にも鍵がかかっており既にカーペットの血は漂白されていました。途中見つかりそうになったスージーですがいつの間にか社内に入っていたサニーに助けられ、その場を後にします。スージーの背中に届いた社員が放った「アカルミニ……」という言葉の意味をサニーに聞くと「世の中に出してはいけないこと」と教える。

しかし、この後、マサの遺品だという靴が航空会社から送られて来ます。
スージーにはあまりにも受け止め難く、現実なのかどうかも信じられず、呆然と冷蔵庫の前で立ち尽くし、いつしかマサと恋に落ちたあの日を思い出します。

ラーメン店で出会い、やがて話をするうちに意気投合したスージーとマサは自然と恋に落ちますが、スージーは恋から先に行くことを拒みます。そんな彼女にマサは自分が勤める部署である冷蔵庫への愛を語り、スージーを口説くため、マサは冷蔵庫の凄さをスージーに語ります。
「熱力学を欺く所が凄い。熱から冷気を生み出す。エントロピーの法則に逆らう」
難解な話ではありましたが、数学を教えていたスージーとエンジニアのマサならぴったりの愛情表現だな、と説得力を感じます。

そして、現実。
実は航空会社を装って靴を届けたのはスージーを追う謎のポニーテールの男の仕業でしたがスージーはまだ何も知りません。夜、どうしようもなく寂しさを感じたスージーはとうとうサニーを寝室に呼び、一緒に横になります。優しい吐息のサウンドエフェクトを流し、そっとスージーに寄り添い目を閉じるふたりの横顔が愛おしい。

しかし、目を閉じた後、サニーはフラッシュバックで血が出ている遺体に布をかける、誰かがマサをかばう、そして焦燥感に満ちたマサの顔がサニーの正面に映し出され、マサは「これを明るみに出してはならない」と言ってサニーの視界を遮るように布をかけるシーンを見る。
そこでサニーはハッと目覚める。
「どうかした?」
半分眠ったまま問いかけるスージー。
「ちょっと夢を見ただけ」
サニーはスージーの安眠を守るように伝えて2話のエピソードは終了。


2話でも謎が残るマサの存在と謎の男ですが、回想シーンではスージーを口説く西島さん、ベッドシーンを演じる西島さん、おっかない顔の西島さん(言い方よ)など、やっときちんとした登場シーンを見た気がしました。日本で演じて来たどの役柄ともほんのり違うようでとても新鮮です。あ、ちなみにベッドシーン、裸ではありますが互いに隠すところは隠していて西島さんは上半身から腰の辺りまでヌードになりますが、ラシダさんのヌードはなくキス程度で(私は一体何を細かく)

2話最後で怖い顔のマサがサニーの目を通して映りますが、それは1話冒頭の殺害現場の続きのようでした。けれどスージーが1話で偶然目にした『坂本研究室』はどう考えても優しい空間でした。あの遺体は誰なのか、マサはなぜそれを隠さねばならなかったのか、そして本当はあの靴が偽物でマサは生きているのでは、と思わせます。
スージーとサニーのお喋りは気の置けない友達、またはスージー自身がサニーに語ったようにマサとは少し異なりますが、恋愛ではなくてもベストフレンドのようでした。この段階ではただただ可愛い。

さて、3話からは少し毛色が変わりますが謎は更に深まり、毎回安堵する間もなく登場人物も会話量も増え、観ている私は当初かなり振り回され、若干、情緒不安定になったりもしました(笑)けれど、純粋なサニーの可愛らしさ、そんな存在を生んだマサ、謎の事件にただ巻き込まれて行くスージーがどう行動するのか、という軸があり、物語は進行していきます。


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