2022年Paraviオリジナル『それ忘れてくださいって言いましたけど。』感想
2022年Paraviオリジナル『それ忘れてくださいって言いましたけど。』(監督/太田良)観賞。(長いタイトルだ)
2022年4月の午後、太陽が突然なくなるというネットの噂を気にする女優のミカコさん(市川実日子さん)。ミュージシャン、ソカベさん(曾我部恵一さん)のお店で働くミカコさんの元に同じ女優仲間、ナツさん(夏帆さん)、ヨウコさん(吉田羊さん)、が集まる。たわいない会話、でもまるで「あの噂」を忘れるように。西島さんはチカさん(唯野美歩子さん)の夫、ケンさん役で2話から登場。けれど、すぐに「忘れ物をした」と言って店を出てしまう。チカさんはみんなに「大きな猫が逃げ出しちゃった」と話す。チカさんの前とみんなの前では態度が違うらしく、みんなにはダジャレをよく言う楽しい人だと聞くが「家では全然そんなこと言わない」とチカさんは不思議がる。しかしプリンは大好きだから出来上がったら食べにくる、とのことだった。
このように、このお店では太陽の噂などどこ吹く風で、至って平和に内輪のお喋りで盛り上がる。もっぱら視聴者(私)が気になることと言えば、ケンさんが本当に戻って来るのかとプリンは完成するのかくらいだ。
しかし、5話から登場する学者風の男(北村有起哉さん)が物理学などの話をし、話の流れでみんながそれぞれ持っている捨てるに捨てられない大事にしていた手放していいものをひとつずつ彼に託す。時間が過ぎる。ミカコさんは時折時計に目をやっては逸らす。その男が何者だったのかは判らないけれど、彼はみんなからそれぞれ受け取った物を何とフリーマーケットの商品にしていた。けれどお店に訊ねてくるヒナさん(湯川ひなさん)がそれらを超安値で買ってしまう。そして最終回。
1話で買い過ぎた、と言ってヨウコさんが持って来た玉ねぎが、同じ状況で新キャベツになっており、何と1話と同じ台詞で進行する。ただ同じはずなのにすべてが変化している。そして気になる太陽の噂についても、お店に集ったみんなでテレビにて確認することになる。この物語に良く似合う顛末でした。
大変なテーマを抱えている割にのほほんと過ぎる時間と登場人物たちのお喋り。淹れ立てのコーヒーやタコとイカとキャビアのパスタなど美味しそうなものもたくさん出て来てお腹がすきます。個人的にこういうお話は大好きですが、登場人物の会話があちこちに飛び、また他愛のないものなので、こちらが精神的に余裕のある状態じゃないと哲学的で静かに聴くのが難しいかもしれない。そして物語は納まるべきべきところに納まる。
ケンさんの登場回数は少ないながら可愛さ爆発である。
ダジャレ好きで公園にて猫を見ながら「ニャンとかニャる」とつぶやき、大きな体で滑り台を滑り、ブランコに乗る。最後は無事合流して美味しそうにみんなでプリンを食べる。甘党の西島さんは本気で美味しかったに違いない。
※スピンオフ『それわす おしゃべり会』(監督/山本伸)
感想、と言ってもこの短い物語自体が出演者の皆さんの感想なので、素直にただ眺めるのみ。美味しいコーヒーとプリンを用意しての座談会。楽しそうです。ただこの回は西島さんの登場はなし。
曾我部恵一さんが歌う柔らかな主題歌。
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