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女性のためのヨガの教科書3

遠心力

思春期、
子供が大人へなろうとする時期、
身体が変化し、
それまで親の考えをそのまま受け入れて過ごしていたものが、
良い悪い、正しい間違ってる、は別として、
とにかく親から離れたいという意識が芽生えてきます。
健全なことです。

自分の感性で選び、
よくわからないものでも、
興味をそそられればなんでもやってみたい。

異性を異性と意識し始めて、
自分の急速に変化していく見た目や他者からの評価、
性的な魅力のあるなしを過剰に気にするとても危うい年頃。
生意気。笑

でも不安でいっぱい。
だから友人やメディアで見た情報の真似をする。

個性的でいたいけど、
自分らしさや、本当に好きなものがまだよくわかっていなくて、
本音とフリが秒速で交差する何事にも不確定な時期。

この時期に思い切り外に行かせてあげられる親子(家族)関係は、
その子供にとっての求心力になります。
自分が戻れる場所。
受け入れてもらえる場所。
失敗してもまたそこに戻ってやり直すことが許されている安全地帯。

求心力が強ければ強いほど、遠心力も強く発揮することが出来ます。
好奇心や冒険心、チャレンジ精神を健全に発揮して、
将来の自分の生き方や居場所を見据えていく成長期間です。

例えると、片手にゴムバンドを持っていたとして、それを出来るだけ伸ばそうとしたとして、
もし押さえている手が甘かったら、引っ張る力に負けて一緒に動いてしまってゴムは伸びてないなんてことになったり、どこかでバチンと外れて手に当たってしまったりします。

自分が行きたい方向へ伸びようとする子供に対して、
必要なのは健全な求心力です。

伸びることに疲れて力を抜いたら、
もと居たところに安心して戻れる。

また伸びようとするときは、
既にゴムは緩んでいるから、
最初よりは楽に行けるかもしれません。

そのような行ったり戻ったりを繰り返して、
思春期の子供は健全に成長することが出来ます。

でも親もそれがうまく出来ないから、
お互いゴムをバチンバチンと相手に当ててしまうこともあります。
過剰に心配し守ろうとする、これは最悪。
勝手なことするなら帰ってくるな、みたいに安全地帯を取り上げる、これも最悪。
でもだから離れようとするのかもしれません。

子供にとってはそれが長年の心のブロックとして、
対人関係の傷として意識化できないまま大人になり、
大人になってたくさんの人や世界と関わる時に、
自分の中の違和感として、それを解消したいと遠回りしながら苦労します。

少なからず皆同じです。

でもそれが何か、行動の原動力や、
本当の自分らしさを見つめ直すきっかけとして、
実は人生に与えられた貴重な武器(強み)なのかもしれません。
早く気付いて意識出来れば選択肢が広がります。
どう生かすかは自分次第。

もっと知りたい、もっとやってみたい、もっと欲しい、もっともっと….
と思えるのは遠心力。

大人はこの遠心力に対する求心力を、
自分の中に見つけていかないと、本当には大人になれないものです。

親の代わりの誰かに依存したり、バランスを崩して身体や心を壊したり、
自分の遠心力を封印してしまったりします。

「自分は何がしたいのかわからない」「やりたいことがない」
私はヨガインストラクターになってからとてもたくさん相談受けました。
遠心力がないということでしょう。

皆、何かになりたいと思うのは、
自分自身への課題でしょうか。

でも残念だけど私にもわからない。

だから、求心力を自分に作り、
なんでもやってみるしかないのです。

陰陽で捉えると、
陰は広がる力
陽は集まる力。
物質が広がれば密度が減り、温度が下がり、温度が下がったものは下へ向かい、
物質が集まれば密度が増え、温度が上がり、温度が上がったものは上へ向かう。
良いですか?

スパンダ。

ヨガは自分のどこに力を集めるのか、
自分のどこを広げるのか、
意識的に行う※メタ認知。

※メタ認知とは、簡単に言えば自分自身の思考や学習についての認識や理解をすることです。

陰と陽は相対的ですから、
陽の力の分だけ陰の力も使えます。

拡がるとか伸びるとか、
食べ物にしても陰のものって嗜好品的なところがありますよね。
甘いもの、冷たいもの、カフェイン、精製されたフワッとしたものなどが陰の要素の多い食べ物。白米、白砂糖、小麦などもそうです。
陽のものは根菜、玄米、全粒粉、味噌など、良く噛んで食べる系。
健康的だけどそこにある楽しみは少なめ。

貯金が陽なら散財は陰、
投資は陰を陽に、陽を陰に変えるような現代の錬金術。

子供が陰なら親が陽。
子供は遊ぶ、親は働く。
子供は世界に広がり、親は引き付ける。
私みたいに子供時代に陽でいることに傾き過ぎると、
陰とのバランスが取りずらくなることも。
忍耐力やコツコツとした努力は大切ですが、
自分が陽でいることって、グッと堪えたり、淡々と続けたり、
心とのバランスが難しいところなんです。

お子さんがいる方は、とにかく自分が帰る場所として存在し続ける事、
そして、子供には行きたいところに行かせてあげる事、
私からお願いしたいです。

子育てって、このふたつのポイントで十分なのかもしれません。

今は成人している息子ですが、
幼稚園から小学校、中高と、一貫教育の私立校に通っていたにも関わらず、
勉強は全くしないタイプの人気者で、私はよく学校に呼び出されていましたが、諸先生方は「親子の信頼関係がとてもしっかり構築されているので安心です」と仰ってくれていました。
今でも母校で部活のコーチを務めています。
5歳から、20年通い続ける場所って、普通はなかなかないですよね。
家庭以外で安心できる場所を作ってあげられたことは、本当にそこを努力して良かったと思います。


信頼関係といえば、ただ一緒によく遊んで身体を使ってコミュニケーションしていました。
ありがとうとごめんねを言うことだけ教えました。
自分もきちんと伝えました。以上です。

若かったですし、シングルマザーとしての困難はたくさんありましたし、
もちろん一人でどうにもならないこともたくさんありました。

でも私が意識していたのは本当にこの2点だけでした。
子育ては自分育て。

自分が大きな木になれれば、
周りの小さなものを守れるかもしれないけれど、
自分に陽が当たれば、足元には影ができる。
そういう影を作らないように心掛けてきました。


男女間だと、
女性が陰、男性が陽、とされますが、
こういう見方をすると、
家で家事育児をする女性は陽に傾き、
外で仕事して自由に行動できる男性は陰、
と発想が逆転するかも。

女性を家に置いて自分が帰る場所に据えたい男性の思考の一端ですね。


帰る場所を持っている人は幸せです。
どこへ行ってもいいと自分が知っているから。

だから間違いなくメンタルも強くなります。

そして、自分の中に帰る場所を持っていること、
自分ってどういう存在なのか、
本当の自分って何なのか、
わかっている人ほど強いのです。

もしかしたら、それは外の世界に帰る場所がないと感じた時に、自分の意識が自分の中に向かうのかもしれません。
絶望は希望の裏表。
光と闇は同じものだったりするのです。

ヨガインストラクター歴は18年。既に成人した息子をシングルマザーとして育ててきた経験から、ヨガを軸に、女性の生き方、医療でカバーできない健康のこと、などを発信していきます。