真の限界飯は江戸に学べ
てっぺんをまわって帰宅。
深夜残業でヘロヘロキャンディなのに、野菜や肉をきちんと切って鍋をつくる気力なぞ残っておらぬ。
具や具や汝を如何せん。
こんなときこそ、豆腐の出番だ。
「ふはふは豆腐」をつくった残りの絹ごし豆腐がある。
Hey,TO-fu hyakuchin,包丁を使わず、怠惰を極めた料理を教えて!
……あるんだな、これが。
『豆腐百珍』、令和のヘロヘロOLの需要も満たすとは畏るべし。
↓「ふはふは豆腐」についてはこちら。
真の八杯豆腐
「八杯豆腐」が何者かもわからぬが、「真の」ですってよ。
「真の」。
何が「真の」かさっぱりわからない。
でも圧倒的自信がないと名乗れないやつだ。
まさに王者の風格。
例によって画像と翻字
八十一 眞(しん)の八杯とうふ きぬごしのすくひ豆腐を用ひ水(みづ)六杯
酒壱杯よく烹沸(にかへし)後(あと)に醤油壱杯入またよくにかへし
とうふを入る烹調(にかげん)[九十七]湯やつこの如し。擦大根をく
ど・シンプル。(レ・ミゼラブルのノリで読んでください)
テキトー調理の極み
「水六杯」と言われても、どの器が基準なのか。
「湯やつこ」が例に上がるあたり、たぶん汁気多めがよかろう。
とりあえずお椀でいいことにする。
だって洗う器は減らしたいし。
配分さえ間違えなければ、味はいい塩梅になるだろう。
汁はがっつり煮かえして味をなじませるが、豆腐は別だ。
豆腐が浮き上がるほど煮立ててはならぬ。
ギリギリのラインで火を止めて器に盛り、大根おろしをどっさり。
大根おろしもコンビニで買える令和三年。
コンビニバンザイ。
包丁も使わず、洗い物は鍋とお椀のみ。所要時間わずか5分。
時代を超えた名作の実力
さてこの「真の八杯豆腐」、疲れ切った人間にとって最適な料理である。
豆腐でタンパク質を補い、大根おろしで消化促進。
ストレスでキリキリと痛む胃袋を労るのにうってつけだ。
汁気も多く、冷えた夜に食べやすい。
「真の」を名乗る料理の実力は、伊達ではなかった。
先人の知恵に感謝しつつ、深夜の残業飯をいただきます。