出会えば混ざり合う色彩
味噌汁。好きではなかった。どちらかといえば嫌いだった。でも今は、体に染みこんでほっとさせてくれる飲み物になってる。そんな味噌汁から始まる空想と現実と思いたった言葉から繋がるお話。
もしも雨に打たれて、前髪から水が滴るほど、服がびっちゃりと肌につくほど、ずぶ濡れになった時、そっと温かい味噌汁を出してくれる人がいたら・・・。いや、まずはバスタオルをお願いしますと思ってしまう。
味噌汁を飲む前に、バスタオルが欲しいんだと言えるときもあるし。
味噌汁を飲み終えて、相手に気づかれないようにそっとバスタオルを取りにいくときもあると思う。
どちらが僕らしいかといえば、どちらも僕。
でも、まずはバスタオルが欲しいって言えるほうがいいな。味噌汁だってありがたいんだよ。それでいいよね。どっちにせよ、優しさは暖かくてオレンジだ。
この人、オレンジって感じだ。
時々、人を”色”で思うとしっくりくることがある。そして多くの人は原色じゃなくて混ざった色に見える。何かと何かの混じった色。それは複雑な色で微妙に違うのに色にすると名前がつく。そして色の名前をあまり知らないから、勝手に赤系とかカテゴライズしちゃう。
人と人は出会うから、滲んで輪郭がぼやけて、何かしらの影響を受けて、いつのまにか色が混ざって。
その結果、好きじゃなかったものを好きになって。味噌汁を飲むようになって。それもまた一興で。だけど僕の周りに味噌汁が好きな人も知らないし。直接的ではない混ざり方もあるんだろう。
そして「味噌汁じゃなくてさ、先にバスタオル頂戴」と笑顔で言いあえる人にこれから先、どれくらい出会えるのかな。
そして何色になるのだろう。まだ混ざり合うことがあるのかな。