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『アフターダーク』村上春樹【読後脳内】

みなさまいかがお過ごしですか。
季節の変わり目に際し、僕はすこぶる汚い友達の家に泊まった結果、鼻と喉が営業を終了しました。

久しぶりに一気読みする時間が取れたので、その時間内で読み切れるであろう本作を読了しました。
読書に慣れると、ページ数から読み終わる時間を割り出せます。便利です。

読後に抱いた率直な感想としては、「何も解決しないな」でした。
もちろん、事象ひとつひとつに対し、一応の帰結は用意されています。
ですが、解決という快感を伴う帰結ではないという印象です。

でも、良くも悪くも、それが人生だと思うのです。

伏線と取れる部分は散らばっていますし、話を膨らませられそうな部分もたくさんあります。
でも、そうはならない。
マリが姉に対し、すこし寄り添えたという、ささやかな結末で幕を下ろします。
密やかな解決とも呼べるでしょうか。

僕たちの人生も、様々な出来事が起こっているでしょうし、多種多様な経験を持っていると思います。
ですが、それは綺麗に回収されるものでしょうか?
僕たちの人生において、回収されない伏線は大量にあるのではないでしょうか。
人生終わってみないと答えはでないけどね。

余談。
伏線で有名な『ONEPIECE』ですが、尾田先生は制作にあたって「完全に辻褄が合うマンガを描いてみたい」と仰っていたそうです。

それで言うと僕たちの人生は、辻褄が合うなんてことの方が少ないでしょう。
偶然、理不尽、それらの連続に成り立ちます。

うーん、なんでしょう。
正直、読んでいて強く心を動かされたわけではありません。
ですが、抽象化された人生を具象化した物語のように感じました。
解決は簡単に訪れないし、過去が簡単に回収されることもない。
でも、僕たちは、それらの出来事を受けて少しずつ変化する。
結局、僕たちは誰かと繋がりたいのだろうと。

そう思います。

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