雑記 「ハンチバック」を読んだ
ハンチバックを読んで次の日、目覚めた時にマルサスの人口論を思い出していました。また、欲望ではなく欲求が勝つと答えているように思えました。
⭐︎アテンションエコノミー問題が気になります。ある人が進化は後戻りはできないといい、人間社会には新しいものなどないと言っていました。都合よく使い分け、話の芯が歪んでいると思いました。本屋問題がタイムラインに並びました。同意できるのですが東京の話だと思いました。都市郊外や地方ではもう終わっている話です。首都を守るインフラの巨大さや巨額さを自慢げに放送していました。渋沢タームだし、地方じゃなく東京を作るという宣言に思えました。⭐︎
小説の冒頭で、都心のハイスペックエリートはアッパーな欲求を満たしています。人々の欲望を作る者たちで作られた空間です。主人公はそれをばら撒いてみたいようでした。欲望意識が無意識的な欲求を押し出し、それを制御するものは欲求を暴走させる。これがブルシットかもしれません。
⭐︎人々が画面に救いを求める時、AI 大魔王が君達の仕事を奪うだろう、ニューノーマルだとデジタルインフルエンサーが脅していました。素直に考えれば、AI 大魔王がやってきた時に解雇するのはまずあなただろうと思いました。ポリコレもAI 大魔王に追われると思います。功利主義的、分析的、論理状、こういった位置から発せられる正義は記号の整頓作業だからです。大魔王さんの得意分野だから、人間がやる必要がなくなると思います。市民に直接作用する大魔王さんですから、あなたはやればできるとなんとなく思わせる界隈の大統領さんより強そうです。
超少子化時代に、いるはずだった伴侶と子供と出会えなかった欲求が悲しんでいます。ロスジェネは人生ロスト世代ですから。追いやられた欲求はいるはずだった伴侶を想って、子に恵まれなかったと思うしかないのでしょう。性に不満足しなければ、擬似的にその状態にはなれると思います。そう欲望するしか欲求の行き場がありません。⭐︎
主人公にも欲求があり、金の欲望をさめたように使っていく。熱のない他人のような私がいて、感情的にならないところが不思議に感じられてきます。ネットの怖さを気にしないのも一つの手です。理性のスロー回路だと思いますが、知で斬りつける非理性的な現在世代とのずれを感じました。
⭐︎マルサスがいっていた人口問題を思い出します。金で対応しても何世代も持たないのは、アナログ身体を保てなくなるからのようです。ホワイトカラーが勢力を強めても、ブルーカラー職がいなくなれば私たちは死滅すると言い換えられます。正論には越えられない現実があるともいいます。不幸はひとまず仕方がないことだとしても、不幸から抜け出しやすい状況を考えた方がいいと思わせます。欲求が満たされなければ生が成り立たないし、悪徳も生み出すといいます。21世紀になってなぜ欲求をこうも否定するのだろうと、グローバルには生の歪みを感じます。確かにこれは、理想の正論は現実に互換しないという説明通りです。⭐︎
主人公はデバイスを使うことで、読書の負担を軽くすることができたようです。欲求を満たすためにしたことだと思います。金で買おうとした時も欲求を満たすためでしょう。
文学はずっと、アテンションエコノミーや前身の視聴率的権力に対抗してきたところがあると思います。ハンチバックは文学としても生物としても順目なのでしょう。バリアフリーを訴える苦労話ではなく、邪な正義システムを暴く話かもしれません。アスファルトの雑草は、何が生きているのか、何の勝利かを感じさせます。そのような小説かもしれません。