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ポストヒューマニティーズとはなんぞや①

書店で働く私。去年の初夏あたりから人文書担当になったのだが、自分で並べていて、この本はなぜここにあるんだろう。一体自分は何をどう分類しているのだろう? と茫洋とした気持ちに陥ること多数な専門書のジャンル。カルチュラルスタディーズって何。ポスト構造主義は何順なの。心理療法各論のなんたら療法の違いとは。ていうかまず「人文」て何。というレベルからの出発。

ただでさえそんな状態なのに、最近になってまた訳のわからない新しいカテゴリーが出来た。その名も「ポストヒューマニティーズ」。ポスト構造主義のさらに先、

「人間中心主義を脱し、人間なき世界を思考する新しい哲学」らしい。

最近人気の「人新世」だとか「マルクスガブリエル」とか「反出生主義」とかがそれらしいのだが、中身が全くわかっていないので、もちろん「新しい哲学」と言われても何がどう新しいのかわからない。急に『生まれてこないほうが良かったのか?』(←反出生主義のバイブルみたいな本らしい)を手にとって読み始めても寝落ちするのが関の山だろう。おお、森岡正博(バイブルの作者)とか知ってんじゃん!とか思った方がもしいたらその感心をすぐに投げ捨てて欲しいのだが、モリオカさんのことは知らないのである。言わば、出勤したら今日この本が発売されました、と目の前のブックトラックにモリオカさんが出現しているだけなのである。

さて、そんなど素人の私が、これからポストヒューマニティーズの棚を構築しなければいけない訳だが、丸腰で始めるわけにはいかない。書店側としても、こんな丸腰の素人に任せるわけにはいかないだろう。ということで、書店側からの、ポストヒューマニティーズの講義がちゃんとあった!オンラインで!でも接客で抜けられず最後の20分程度しか聴けなかった…。無念すぎるよこんなに真面目に取り組もうとしているのに。が、参考文献を聴くことができた。それは例えば青土社の雑誌、『現代思想』の2019年1月号だったりとか、岡本裕一朗の『いま世界の哲学者が考えていること』だったりするわけだが、哲学の歴史(縦軸)をほぼ知らない状態で、現代の哲学者の考え方を色々知ったとして(横軸)、ポストヒューマニティーズまじ理解!ってなれるんだろうか。やはりざっとでも、そう、非常にざっとでいいので一旦歴史を総ざらいしといたほうがすっと入ってくるのではないか。あーあー、後頭部にカートリッジをさしたら哲学の歴史が脳内にインプットされたらいいのに、とドラえもん的夢想にふけりながら、ほんとーーに素人のためのほんとーーに簡単な、哲学総ざらい本を探す夜更け。

しかし、棚づくりは一刻の猶予も許さない。何週間もかけられないし、何週間もかけずに理解するのは無理があるほど、多分深淵なんでしょう哲学ってやつぁ。もうこれで矛盾なのだが、何かしばらく、ポストヒューマニティーズについて七転八倒する予定。

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高梨ぽこ
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