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オンラインMI練習会参加レポート

(同)実践サイコロジー研究所が主催し、毎月Zoomで開催している動機づけ面接のオンライン練習会の参加報告です。

オンラインMI勉強会に関心がある方は、次のURLより、「グループへの参加をリクエスト」ください。

※ロールプレイ・リアルプレイの内容は、秘密保持の観点から一部修正や抽象化してあります。

2021年2月21日

1年以上書くのをさぼっていたようですね。2020年は、毎月開催できたと思います。

本日は私ともう1名の参加。2人で30分くらいずつピアセッションをしました。

非常に学びが深かったですね。私の面接では、選択肢と両価性を明確にして、チェンジトーク側で計画段階まで行きましたが、ちょっとスムーズに行き過ぎたので、最終的には、維持トーク側のメリットと、チェンジトーク側のデメリットを再度吟味してみることを課題にしました。

私はクライアントとして、仕事の優先順位の話をしました。よくあるテーマですが、複数同時進行で進めている仕事があり、日々、できていないことで落ち込んでいるという主訴です。ここで、1つ1つの課題について詳しく聞かないというのが、1つ目のポイントだったと思います。そうではなく、両価性に着目し、何がうまくいっていないと感じているのか、今どのように対処していて、それに、どのように不全感を感じているのかということを丁寧に聞き返ししてもらいました。その結果、「優先順位の上位に沢山のものが入ってます」というパワーワードを語っていた私が、「だいぶ優先順位が明確になり、一部のものについては、言われてからやるぐらいでもいいかと思いました」と言えるところまで行きました。ただ、やってくださったのは、シンプルなMIで、丁寧に聞き返してくださっただけです。あとは、ちょっとした前向きな変化を見つけて、そこを、ちゃんと聞き返すということですね。動機づけ面接ってすごい。

2019年9月20日

私を含めて4名の参加でした。全国4地域からの参加でオンラインらしさ全開でした。初めに簡単に近況報告と自己紹介を行い、各地域の勉強会の様子をうかがうことができました。その後15分ずつ面接練習。今回はすべてリアルプレイでした。

私の面接では、中盤で重要度のスケーリングをしようとして、何か、ターゲットが絞り切れていない気がして、そこからもう少し具体的に聞いて言いました。すると、ターゲットも絞られつつ、ネガティブな方のチェンジトークや、価値に関する発言も増えて、重要度はもともと高かったのに加えて、自信度も少し高まったようです。そこからは、何ができそうかという話をしていき、一応15分で今後の取り組みまでまとまりました。15分できれいに終わったのはたまたまですが、最後までいかないにしてもMIの面接を15分やるというのは、少なくとも日常的な課題については、大きな効果がありそうだと改めて感じました。

私がクライアントとして話したのは、色々とやらないといけないことがあるけど、なんとなくはかどっていないという漠然とした問題でした。少し話すと、にもかかわらず、特に翌日が休みだと夜はお酒を飲んでアニメを見ちゃう。そうなると夜の作業もできないし、寝るのが遅くなり、翌日起きるのも遅くなる。週末2日休みのうちの1日はそんな感じでもいいが、平日休みがあると1週間のペースが悪くなる。結局、23時に寝て6時に起きるというサイクルが守れない日が多くなっているのが問題なのかも!と、問題が明確化されていきました。ここまではおそらく10分程度です。当然ですが、何か特別なことをしたわけではなく、丁寧に、受容的・共感的に聞き返しをしてもらっただけです。

逆に、細かい情報収集はされませんでした。何をいつまでにやらないといけないかとか、1つ1つについて、なぜそれがはかどらないかなどの質問はなく、クライアントである私が、話したい分だけ、問題の詳細について話しました。MIでは、どんな風になったらいいか、それがどうして重要かという点に着目することで、面接の序盤がとてもスムーズになるような気がします。

他の2ケースから私が感じたことは、まず、私のお酒とアニメの件でもそうですが、一般的にはダメと言われていることをやりたいという思いがあるということを、否定されずに聞かれる体験は、行動変容を拒む思いを低下させるなということです。そうなって初めて、行動変容に向けたチェンジトークに意味が出てくるのではないかと思いました。この辺りが、最近話題になっている(個人的な身近での話かもしれませんが…)、スピリットやMITIのリレーションの側面の重要性という話ともつながってくるような気がしました。

次に、「何かをしない」「何かをやめる」ということを目標にするのは難しいけれども、それをどうしたらいいかということです。オーソドックスなアプローチとしては代替行動を決めることなわけですが、MIをしていくことで、当然代替行動は、明確になっていきます。そのとき、全部やめるとか、全部ある行動に置き換えるということであれば、わかりやすいですが、頻度を減らしたいということになると、少し、標的行動を決めるのが難しいように思いました。その場合の1つの方法としては、①一定期間中に目標とする回数を決めて、それをいつやるか決める、②それ以外のときに問題行動をしたくなったらどうするかを決める、という方法があり得るのではないかと感じたところです。

2019年7月21日

本日は4名の参加で、15分、15分、15分、5分のリアルプレイ、ロールプレイを行いました。

各自の希望に合わせて、長さが調節できたのは良かったですね。

これからも経験の長さに関わらず学び合える会にしていきたいと思います。

【本日の学び】

・単純な聞き返しは将棋の「歩」のよう。要所でいい働きをする。
・複雑な聞き返しと質問はレパートリーが命(例:価値を聞くのは、あなたの価値は?だけじゃない)
・〈自信度が1上がるとしたら?〉→「思いつかないです」→〈なかやか難しいんですよね。時間とっていいので、考えてみてください〉→「そういえば…」
・共感的、受容的に維持トークに耳を傾けつつ、クライアントの価値を探り、それと行動変容との接点を見つけていくのがMIの王道か
・困ったときのスピリット(例:不登校へのアプローチの方向性に困ったら、コンパッションについての議論を思い出す。答えがあるわけじゃないけど)
・5分の面接でも(1回の応答でも)、複雑な聞き返しを中心とした丁寧な応答を心がければ、変化に向けた気づきが十分得られる
・不安性への対応で不安を扱わないのもあり
・夜な夜な集まって面接の練習してるって偉い

2019年3月23日

今日は私(木内)がカウンセラー役で、ロールプレイを1回行い、その前後でディスカッションを行いました。内容は精神科でのカウンセリングを想定したものでした。

私は普段精神科でのカウンセリングはしていないので、お話をうかがって、精神科でお勤めの方は皆さん日々難しい面接を担当されているのだろうと感嘆しました。

特に難しい点は、問題の解消が主訴になりがちなところかと思います。例えば、食べ過ぎ、飲みすぎ、買い過ぎを止めるとかですね。そうすると、行動目標が立てづらいので、行動変容が強化されるような展開を想定した計画が立てにくいということがあります。今回はなんとか、「一定期間~しないで我慢する」というのを暫定的に目標として、「それができたらどんないいことがあるか?」「それができないとどんなまずいことが起こるか?」という質問をしました。

その結果見えてきたのは、クライアント自身は「~が問題だ」というけれども、それが達成できた場合の良いことも挙げられないし、うまくいかなかった場合の悪いことも挙げられないということでした。悪いことと言えば、よくある、状態が悪化して入院になるということだったり、病気になるということだったりしますが、結局、現状を維持しても、そんなことはそうそう起こらないので、行動変容の重要度があまり高まらず、変化も起きづらいという状況が維持されることが多いように思いました。

先日ACTジャパンの研修に行ったこともあり、やっぱり「価値」って大事だなと思いました。

問題行動を減らしたいというのは、促進しにくいので、代わりに何をしたいか、何を実現させる方向に進んでいきたいかということを聞いていく必要があるだろうなと思いました。

結局ロールプレイは、15分やって、「この状態だと行動を変えるモチベーションは上がらないですよね…」というところまでいって終わりました。その後の展開としては、ここからいかに価値にコミットした行動を明らかにしていき、そこにフォーカスしていくかが大事かと感じたところです。

正したい反射を抑えるのが難しいという意見もありました。人によって、正したい反射が出やすくなるポイントは違いますよね。そのポイントをお互いにシェアするような機会も重要かと思います。REBTの専門家としては、正したい反射の背景にあるイラショナル・ビリーフが気になるところです。

2019年2月18日

今日はロールプレイ2回、リアルプレイ2回行いました。

1回目のロールプレイで学んだのは、必ずしも絶対的な標的行動に固執しない方がいいかもしれないということ。今回は思春期の子供の人間関係の話でしたが、休み時間に友達と過ごすということを、少なくとも今回の絶対的な標的行動とするのではなく、一人で過ごすなど他の選択肢も認めつつ、「仲の良い友達の方に自分から近づいて行ったらどうなりそう?」と、やってみたらどうなるかを仮定して話を聞いて、最終的に「じゃあどうしようか?」と本人の決断を促し、その決断を尊重するという流れで進んだのが良かったです。

2回目のロールプレイは、アルコール使用障害の比較的典型的なケースかと思います。前々から減らすように努力していたが、ついに医者からも最後通告がなされたので禁酒に挑戦。3日坊主になってしまったという話で、こちらも禁酒のためにできそうな方略を複数挙げた点が良かったのと、職場の人間関係のストレスで飲んでしまうという話にはまり過ぎずに、「何ができそうか」「どうしたらいいか」という点に焦点を当てていたのが良かったと思います。さらに、3日坊主とはいえ止められたことを労い、その後も、7日間の中に5日間は飲まずにいられたということをきちんと是認していました。嗜癖の場合は、タバコの本数が減ったとか、断酒日が増えたとかいうことは、是認しづらい部分ではありますが、少なくとも何かしらの努力を労うというのは、必要な点かと思いますし、それが練習できるロールプレイは有効だと思いました。

リアルプレイで私が話題にしたのは、休日に仕事が進まないという話です。十分すぎるほど休めているので、もう少し空き時間に仕事を進めたいという主訴でした。基本的なところで、場所や時間、内容など、どんな条件ならできているのかという話や、それができるようになることでどんな良いことがありそうかという話をきちんと押さえていたのが良かったと思います。さらに、どんな風に仕事を始めるといいかという話から、普段始めているときはどれくらいやるつもりで始めているのかという質問をされたことが、思考の枠組みの変化につながったような気がします。私の場合は、常にその日に終わらせるつもりで始めていました。10分弱のリアルプレイでしたが、重要度を高めつつ、自信度につながら気づきが得られたセッションでした。

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