ピョン夏秋冬
春
蒲郡駅に付着した電車が終点に滴り落ちた。空を見上げると博士が憎んだスープのような雲が3つ並んで、それはおそらく虫の知らせ、それもバッタの、と言い淀んだ知らせで、明日死ぬのは僕だっただろうか。それとも俺だったんだろうか。
カラーコーディネーターの資格を失った日、パトカーの後部座席の寝心地がすこぶる良く、私は快眠の2文字でお手玉をした。
鳥の飼育ケースを上手に着こなしたパリコレモデルにつまらない物を手渡す。
夏
楽に死ねるガムを噛んでエリート役者の怪演に舌鼓を打った瞬間、西から隕石の匂いがした。縦方向に跳ねるスーツ姿の類人猿がネクタイを緩め出す頃に待ち合わせをする。「あなたにとって買い物カゴとは?」とインタビューを締めくくる七福神の候補生のような老人に「手ですね」と答え、カフェを後にする。行き過ぎた教育論を翻訳する。焼酎って英語でなんて言うんだ?と答えのない疑問が頭を埋め尽くす。おしぼりで信号機の表面を磨く。赤信号は汚れない。
秋
咲き心地の悪いパンジーに糸目をつけて、海に飛ぶ女がいた。クール便で届いた肉を解凍する間、少し眠りに触れた。監視カメラが作動するど田舎で飲むコーラが汗となって土に帰る頃、あなたが言っていた言葉の意味がようやく分かった。
シャイなスピーカーを是が非でも高値で買い取って欲しい海老沢は塩で髪を染めるソルト美容師を持ち上げあの手この手でヨイショを重ねた。
冬
사랑해요.
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