《ほどける馬っこ》プロジェクト
かつて亘理の年中行事であった七夕馬。この文化から着想を得た《ほどける馬っこ》プロジェクトについて、概要や災害時の活用例をお伝えするページです。
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コンセプト
馬はかつて、農耕や流通など、町の暮らしを大きく支えていました。
<ほどける馬っこ>の役目は<お守り>で、亘理町の皆さんをそっと見守る存在です。
日常では、インテリアとして飾ったりお人形として愛でたりと、どうぞ生活のそばに置いてください。
災害非常時には、どうか一緒に連れて逃げてほしい。
平穏無事を祈る心の備えとなり、皆さんを見守りつづけます。
ほどけて火にも水にも強い一本の糸に戻ることで、さまざまな姿に変容し、きっと皆さんのお役に立てます。
馬というモチーフについて
年中行事として、町民の生活とともにあった七夕馬
亘理町でアートプロジェクトを開催し町民に寄贈するアート作品として、町の歴史や文化を反映したモチーフが良いと考えました。当作品のキーワードである「防災」「祈り・お守り」「日常(暮らし・生活)と非日常(災害)」を考えたとき、昔は町の年中行事として町民に親しまれていた「七夕馬」との親和性を感じました。
すなわち七夕馬のもつ文化的背景、祖先の乗り物となり、お盆には祖先を乗せて戻ってきてくれるという「祈り・お守り」の気持ちや、田の神様の乗り物となり、地域の田をまわって豊穣をもたらすという「祈り」の気持ちが込められていて、町民の生活に密接だったところです。地域おこしの観点から、七夕馬を伝えていく
時代が変わり、生活も変わり、年中行事も行われなくなっている現代。七夕馬を例年作っている家庭は見受けられないそうです。作れる方も高齢のため年々減少しています。モチーフに七夕馬を取り入れ、「糸で編む」という新たな手法により再表現することで、忘れ去られそうな町の伝承文化を拾い上げる側面もあります。七夕馬から、思考を広げて馬を考えてみる
そもそも、昔の人の生活において馬は、重宝する労働力として身近な動物でした。農耕に限らず流通など暮らしを大きく支えてくれていた存在だからこそ、年中行事の中に、七夕馬のような馬をモチーフにしたものがあるのかもしれません。
そして七夕馬のサイズやフォルム、一体もしくは一対で飾るのか、また存在の解釈にしても、家庭でそれぞれであったようです。きっとその時の事情や家族構成、職業によっても捉え方が違うのでしょう。
本プロジェクトは、七夕馬から思考がスタートしたものです。「地域文化の保存の一助になれれば」という思いと「災害時にはほどいて活用してほしい」という作家側の願いがあります。しかし、この気持ちを伝えつつも押し付けず、七夕馬に対する町民の捉え方が各家庭により千差万別であったように、当作品もおおらかに捉えていただきたい。受け取ってくださる方の生活をそっと見守るようなスタンスであってほしいと思っています。
素材
ポリエステル100%
耐水性、耐熱性、速乾性に優れており、防災グッズにも使われる素材です。
サイズ
かつて屋根にあげることで祖先や田の神様の目印になっていた七夕馬の風習を踏まえつつ、現代の町民の日常にも寄り添えるよう、町民へ寄贈する作品は手のひらサイズです。
災害時の活用例
編んである馬っこは白いタグがついているところを引っ張る、巻いてできている馬っこは白いタグの部分からほどいていくと、一本のヒモに戻ります。
このヒモはそのまま使用したり編み直したりして、例えば下記のような使い方ができます。
包帯代わり
ロープとして重い物を運ぶ
防寒具
マット・枕・パーテーション
荷物運びに
基本的な編み方
編み直して防寒具などを作る場合の基本的な編み方をお伝えします。指を使って編みます。鎖編みと細編みを駆使することで様々な形状のものを編むことができます。
鎖編み
ヒモをより太く、丈夫にすることができます
細編み
面を作ることができます
基本的な結び方
もやい結び
・作った輪の大きさが変化しない
・負荷がかかってもほどけにくい
行李結び
大きな荷物を運び時に便利
本結び
・1本のヒモの端同士を結びたい時、2本のヒモを連結させたい時に使用
・簡単だけどしっかり強度のある結び方
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