「感動」の効果②
戸梶(2004)は、大学生を対象に、自分の何かを変えた感動体験と、その体験で変化した事象の分類を行い、感動体験によりもたらされた効果を検討しました。
その結果、
の3つが挙げられました。
また、同様の感動体験をしても、性差を含め個々人の体験のとらえ方によって効果が異なることを見出しました。
佐伯他(2006)は、戸梶(2004)の結果を踏まえ、小学生を対象に、感動体験が自己効力感、自己肯定意識に与える影響を調査しました。
その結果、感動体験により、自己効力感、自己肯定意識が高まることが明らかになりました。
また、医学的な立場から、感動して涙を流すことによりストレスが緩和されるという研究も見られます(有田, 2007)。
ここまで、「感動」することで、様々な心身への効果があることを書かせていただきました。
また、感動したことを「思い出す」だけでも、ポジティブな効果を得ることができます。
私自身が学生の時に調査した例ですが、
高齢者の方36名(男性10名、女性26名)に感動体験を思い出して話していただき、その前後での気分状態を測定しました。
その結果、抑うつや不安などの気分が緩和し、やる気や活気、親和性(愛おしさ、恋しさなど)などの気分が高まることが示されました。
戸梶(2004)が述べたように、感動した体験を思い出すだけでも、心理的に良い効果が得られるのは確かなようです。
続く
写真:桜