パワースポット×心理学

医療機関で働く巷の臨床心理士/公認心理師。 趣味のパワースポット巡りを通して経験したことを書いてみたり、パワースポットの効果について心理学的、科学的な考察をしています。旅先の写真を添えて。 今後、メンタルヘルスの話や、日常生活に役立つ心理学についても書いていく予定です。

パワースポット×心理学

医療機関で働く巷の臨床心理士/公認心理師。 趣味のパワースポット巡りを通して経験したことを書いてみたり、パワースポットの効果について心理学的、科学的な考察をしています。旅先の写真を添えて。 今後、メンタルヘルスの話や、日常生活に役立つ心理学についても書いていく予定です。

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自己紹介

今更ですが中の人の自己紹介を。 北海道で生まれ、大学進学を機に関西に移住。以後ずっと関西に住んでいます。 大学では心理学を専攻し、大学院でも臨床心理学を学んできました。 学歴 ・学士(文学) ・修士(人間科学) 大学院修了後は医療機関に従事しつつ、臨床心理士、公認心理師の資格を取得しています。まだまだこの分野での職歴は浅いので、学びの日々を過ごしております。 資格(取得順) ・臨床心理士 ・公認心理師 臨床心理士、公認心理師としてどのような仕事をしているかということ

    • パワースポットと脳の機能②

      報酬系は、 実際に今の時点で快感を感じていなくても 想像上の快感・将来の快感を先取りして検討し たとえ今はその行動が苦痛でも 将来の快感がその苦痛を上回ると判断すれば そちらに向かうように指示する機能も持っています。 パワースポットに行くには、時間も費用もかかる、その日の天候が悪い、道中が未整備で足元が悪い、登りが多く険しい道のりである・・・ など、自分にとって障壁となる要素もあります。 しかし、それを乗り越えた先にある快感や心地よさを求めて、我々はその場に訪

      • パワースポットと脳の機能①

        日常生活の中では、先々のことを考えながら生活をしています。 様々な予測をして、それに期待をします。 結果が良ければ安心や喜びが待っていますが、 結果が悪かった場合、落ち込んだり、悲しい気持ちになります。 この性質には、脳の「報酬系」というメカニズムが関係していると言われています。 今回は、この報酬系のメカニズムを紹介をしつつ、パワースポットとの向き合い方を考えてみます。 報酬系とは何か? そもそも、報酬系とは何なのでしょうか? 簡単に言うと、人に「心地よさ」を感

        • 心理学コラム⑨威嚇は有効なのか

          相手に譲歩を強要する威嚇手段を持つことは、果たして有効なのかー その点について検討した昔の研究があるので、それを紹介いたします。 Deutsch & Krauss (1960)は「トラッキング・ゲーム」という 鉄道模型を用いたゲームを考案しました。 目的地に到着するには、2つのルートがあります。 最短ルートで両社の列車が鉢合わせると、片方が道を譲らないといけません。 その分時間がかかるため、赤字につながります。 さらに、最短ルートには、A社とB社それぞれが使えるゲー

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        • 感動の効果
          3本
        • 心理学コラム
          9本
        • 「美しさ」の科学
          3本
        • お守りについて
          3本
        • マインドフルネス
          4本
        • ストレスへの対処
          2本

        記事

          「感動」の効果③

          「感動」と記憶の関係 榊(2005)によれば、自身にとって重要度の高い記憶、そして、感覚・知覚レベル情報が豊かな記憶の想起が感情制御を促進するとしています。 感覚・知覚レベルの情報が豊かな記憶とは、特に感情情報や知覚情報が多く保持され、その時の状況を鮮明に思い出したり、再体験することが出来る記憶を指します。 「感動」するという体験は、 と考えられます。 また、感動した直後のみならず、体験を想起することでも良い効果を得ることが出来ます。 パワースポットでも、五感を存

          「感動」の効果②

          戸梶(2004)は、大学生を対象に、自分の何かを変えた感動体験と、その体験で変化した事象の分類を行い、感動体験によりもたらされた効果を検討しました。 その結果、 の3つが挙げられました。 また、同様の感動体験をしても、性差を含め個々人の体験のとらえ方によって効果が異なることを見出しました。 佐伯他(2006)は、戸梶(2004)の結果を踏まえ、小学生を対象に、感動体験が自己効力感、自己肯定意識に与える影響を調査しました。 その結果、感動体験により、自己効力感、自己肯

          「感動」の効果①

          私たちは、ある出来事を直接的、あるいは間接的に体験することで、深く感動することがあります。 例えば、自分の努力が報われたときや、映画やテレビの特定のシーンを見た時などに、 強く心を動かされたような感覚を抱き、時に涙を流すこともあります。 その感覚はとても強く、余韻も長期に渡り続くことがあります(戸梶, 2001)。 感動すること自体はポジティブな感情ですが、 この両方があるところが面白いものです。 パワースポットを訪れると、いろんな景色や物語に触れることが出来ます

          「美しさ」の科学③

          個人の性格特性によって何を美しいと感じるのかは変わりますが、 多くの人が美しいと感じる形態の要素があります。 ①対称性・黄金比Di Dio, C. et al.(2007)の研究では、美術批評の知識が全くない人たちに、古代ギリシャやローマ時代の彫刻画像を変化させて、身体像を自然な状態から崩したときに脳がどのように反応するかを調べました。 古代彫刻の面白いところは、様々な部分に黄金比(1:1.618)が隠されているところです。 この黄金比が微妙に崩れた画像と、黄金比が保

          「美しさ」の科学③

          心理学コラム⑧性格の5因子モデル

          世の中には、まったく同じ人はいません。 肉体的な差異に加えて、育ってきた社会環境、経験の蓄積、文化的背景など、様々な要素が集まり、個人の「性格」が出来ています。 性格に関する理論は、さかのぼれば数千年前、古代インドや古代中国の時代から始まります。 性格の理論に関する歴史は非常に長いため、今回は割愛しますが、 様々な性格の理論が発表されては検証され、淘汰されていく中で、 近年は「性格の基本次元は5因子である」という理論が一定のコンセンサスを得ています。 この理論は「

          心理学コラム⑧性格の5因子モデル

          「美しさ」の科学②

          川畑(2011)は、芸術や美を求めるということから、 少し俯瞰した視点、すなわち人が持つ「欲求や欲望」そのものは、脳のどの部位が関与しているかを検討しました。 その結果、 が重要な役割を果たしているということを報告しています。 また、その部位の活動は、欲望の度合いに比例(※)して高まることが示されたそうです。 ※原文では「線形に高まる」と記載されていますが、意味としては近いので私の方では比例と記載しています。 そのため、おそらく芸術作品の価値の高さの評価においても

          「美しさ」の科学②

          「美しさ」の科学①

          人には「美」を感じる力が備わっています。 芸術の歴史を見るだけでも、非常に古くからある感覚であることが窺い知れます。 私たちは美しいものを好みますが、美しいとはどういうことでしょうか。 広辞苑で「美しい」の意味を調べると、以下のような説明が出てきます。 パワースポットに行くと、雄大な自然や伝統的な建築、様々な芸術品などを目にする機会も多く、そこに「美」を感じることも少なくないはずです。 今回は、この「美」について考えてみましょう。 「美」に関する研究は、人文科学(哲

          「美しさ」の科学①

          パワースポットのカラーコーディネート

          神社の鳥居と聞くと、皆さんはどのようなものをイメージするでしょうか? 一口に鳥居と言っても様々なデザインがあり、その違いを見るだけでも歴史の深さを感じさせてくれます。 ただ、多くの方がイメージされるのは、朱色や赤色の鳥居ではないでしょうか。 例えば、稲荷神社に行くと朱色の鳥居が連なっており、神様が祀られているところまで私たちを案内してくれます↓ 朱色や赤色については様々な宗教的な意味づけがありますが、 心理学の視点で見てみても、色が私たちの心理に与える影響は様々なも

          パワースポットのカラーコーディネート

          人は「物語」の中で生きている

          ちょっとした雑感なので、まとまりのない話になるかもしれませんが、ご了承ください。 Bruner(1990)は、人間の認識の仕方には2種類あることを指摘しています。 1つ目は「論理実証的モード」と呼ばれるもので、唯一の真実があると仮定し、真実であるかどうかを重視するものです。 「科学的か、非科学的か」という視点で物事を考えるスタイルです。 2つ目は「物語り的モード」と呼ばれるもので、複数の解釈を許容し、それぞれの人の出来事に対する意味づけを重視するものです。 こちらは

          人は「物語」の中で生きている

          お守りについて③

          荒川・村上(2006)の研究では、お守りを保持している理由として挙げられたのは、以下の通りとなりました。 「ご利益を求めて」であっても、強い効用があると信じている人は少なく、「持っていないよりは持っていたほうがいいことがありそうだから」といった、漠然とした期待から持ち続けている人が多かったようです。 「神様はいないと思うが、もっていたら安心するから」といったように、効用に期待する程度は別にして、むしろ心理的な効用を求めるものであったようです。 また、人から贈与されたとい

          お守りについて②

          前回はお守りの力を信じている人は全体の約16%に対して、実際にお守りを持っている人の割合は約30%であるという話をしました。 NHK放送文化研究所(2020)で実施されたアンケートでは、 「宗教とか信仰とかに関係すると思われることがらで、あなたが信じているものがありますか」 あるいは 「宗教とか信仰とかに関係すると思われることがらで、あなたがおこなっているものがありますか」 という設問であったことから、この結果は回答者が宗教や信仰と結びつくものだけを回答した可能性が

          お守りについて①

          神社仏閣ではよくお守りが授与品として置いてあります。 初詣に行った時や、何かしら人生の節目(受験、就職、結婚、出産など)、旅行のお土産など、さまざまな形で神社仏閣からいただくことがあるかと思います。 私たち日本人にとって、お守りは馴染みのある文化として受け入れられております。 お守りを持つことの意味について、文献を参考にしながら考えてみたいと思います。 それでは、お守りの力を信じていたり、実際に持っている人はどのくらいいるのでしょうか。 NHK放送文化研究所が201