見出し画像

朝の散歩にて(エッセイ)

今朝はいつもより少し遅くに目が覚めた。
深夜まで執筆や読書をしていたせいかもしれない。

こんなことが許されるのは夫不在のときだけである。今まさにその特権を期間限定で利用しているわけだ。

朝の大切なルーティンのひとつにマシュ爺の散歩がある。
季節によって時間帯がずれるが今の時期だと7時前後ぐらいだろうか。
ほんの数か月前までは6時を過ぎた辺りになるとキュンキュン鳴き声が聞こえ、早く散歩に行こうと催促されていたのだが、寒くなりだした辺りからマシュ爺の起床も遅くなった気がする。

夫が不在の間はマシュ爺の散歩催促の鳴き声で起こされることが多いせいか、声が聞こえないと不安にかられ寝息と心臓の鼓動にホッとする毎日だ。
仕方のないことだと分かってはいるが、着々と老いているのだろう。

散歩の支度をして8時頃に家を出発した。
エントランスを出てすぐの信号を渡るまではマシュ爺を抱きかかえたままだ。外に出た嬉しさではしゃぐため、信号を渡ってから歩かせるようにしているからだった。

歩行者の信号が青に変わったタイミングで信号待ちをしていた男の子が横断歩道を渡り始めた。それに続いてこちらも信号を渡ろうとした瞬間、先に渡り切った男の子の前を右方向から歩道を走ってきた自転車が横切って行ったのだ。

すんでのところで男の子が立ち止まったため接触することはなかったが、もう一歩前に踏み出していれば確実にぶつかっていたと思う。
しかも自転車は止まることもスピードを落とすこともせず走りすぎて行ってしまった。どうやら前方を歩いていた知人に声を掛けたかったらしい。

時間的に子供を保育園や幼稚園へ送った帰りかもしれないし、そのあとは慌ただしく仕事へ行かなければならない事情があるのかもしれない。

だけど大人ならせめて男の子にひとこと謝るぐらいするべきだと思う。
一歩間違えば事故につながる恐れもあったのだから。

とりあえず大事に至らなくて良かったが、道路を渡るときは歩行者側も自分の身を守るために細心の注意を払わなくてはと改めて思い知らされた朝のひとコマだった。



いいなと思ったら応援しよう!