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【モーニング娘。'22】ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2022と最高の夏将軍【アンジュルム】

GLASS STAGEのトップバッターとしてモーニング娘。'22が登場する前にロッキン渋谷さんによる恒例の前口上。そこで「(モーニング娘。は)ロックバンドだけじゃなく、アイドルとしても(ここが)ホームという歴史を作るんだと。その先頭を走ってくれているんです」と、若干のリップサービスも含みつつ大仰に紹介してくれた。

本人も「前説おじさんとして(モーニング娘。と)セットで語られてる」なんて言ってたから、その辺はかなり意識してるんだろうなと思いつつ、でもそれだけの価値があるからこそのリップサービスなんだろうなとハロヲタとしては誇らしくも感じた。

だが自分はアンジュルムヲタなので、デカいGLASS STAGEに立つ娘。さんたちが少し羨ましくもあり、「さてさてお手並み拝見」なんて気持ちで後方から訳知り関係者面してモーニング娘。'22を観たのだった。

熱っちぃ地球を冷ますんだっ

1曲目は『浪漫 〜MY DEAR BOY〜』から。

前回の1曲目は『みかん』だった。「まぶしい朝に wow,wow,chance」からはじまる曲は初めてGLASS STAGEに立つ意気込みと早朝1曲目というロケーションに完璧マッチしたエモい選曲だった。

だが、今回の『浪漫 〜MY DEAR BOY〜』は『みかん』以上に渋い選曲であり、全く一般層への波及効果はないんじゃないかと少し心配になった。実際、僕はかなり後方で一般層に囲まれて観ていたのだが、周りはピンときていなかった。

続いて『リゾナントブルー』

古参から新参まで皆大好きプラチナ期の代名詞のような曲だ。だが、これもやはり内輪としては大盛り上がり曲だが、フェスの舞台での2曲目として相応しいのかは微妙だった。個人的には今のメンバーで観る『リゾナントブルー』は初めてだったのでテンション上がっていたのだけど。

3曲目『わがまま 気のまま 愛のジョーク』。ここでようやく周りも「あ、なんか聴いたことある」という反応が出始める。そこに援護射撃のように前方優先エリアから外れてしまい各所に散らばっているヲタクたちが活きだす。

「愛されたい!愛されたい!」などキャッチーなフレーズと振りをヲタクが全力でやることで一見の一般層も「あ、そういう風にすればいいのか」と徐々に盛り上がりだす。その様、まるで市中に放たれた動乱の刺客たちが同時多発的に騒動を起こしていくような見事な火の付け方で、なんか『キングダム』の麃公将軍の名言「火を絶やすでないぞォ」が過った。

これ、『キングダム』読んでないと意味不明だろうが、つまりは戦場には「火付け役」が必要で、個人個人が考えて行動して「火起こし場」を作ることによって大きな流れになっていくことを説いている名シーンなんだよね。

なんか、この時の会場のハロヲタの行動に麃公将軍を感じてしまった。

そして4曲目『泡沫サタデーナイト』

あらためてこの曲の破壊力を実感。

まずヲタクが「わあ!」っと歓声を上げ、それに呼応するように一般層もザワつく。そして曲が始まったら、もう言葉は要らない。誰もがステージと一体となって踊りだした。

5曲目『I surrender 愛されど愛』そして6曲目『What is LOVE?』でモーニング娘。は畳みかけるように会場のボルテージを上げていく。僕的にも、まーちゃん卒業後に『What is LOVE?』の「is it necessary?」を受け継いだ野中美希さんが好きでして、この日もそれはそれは良い「is it necessary?」が聴けて大満足でした。

それでも『泡沫』を1曲目に持ってきたら、もっと最初から盛り上がってたんじゃないかという疑問は残る。なんかフェス向けじゃない変なセトリだなという違和感がずっとあった。

だが、それもここから始まる怒涛のメドレーで全て理解できた。

『そうだ!We’re ALIVE(updated)』『Help me!!(updated)』『One・Two・Three(updated)』『LOVEマシーン(updated)』『恋愛ハンター(updated)』『恋愛レボリューション21(updated)』という今のモーニング娘。の良さが凝縮されたセトリ。そして相変わらず変態的に見事な曲と曲の繋ぎ方、間奏でのダンスパート、本当に圧巻だった。

メドレーの繋ぎのダンスパートが、真莉愛かえでぃほまたん石田さんの4人というのは個人的に高まりポイントだった。もともとダンスメンである3人のなかに15期の岡村ほまれちゃんが加わっていることが、とても嬉しかった。ソロでハンドスプリング3連発を披露する石田亜佑美さんの勇姿には、僕の周りの一般層からも「おぉ!」と感嘆の声が上がっていた。

個性豊かなパフォーマンスをメドレーに落とし込んでいる光景に、もしかしたら今回のセトリは「モーニング娘。の単独コンサート濃縮還元バージョン」だったのかなと腑に落ちた。

ロッキンで初めて触れた一般層がそこまでの理解をするとは思わないけど、なんとなくモーニング娘。というグループの多彩さを短い時間で体験するには完璧な構成だったように感じた。

ライブが終わると「やってくれたなぁ最高じゃないか」「手に負えねぇよ」と僕の横にいた20代前半くらいの若い男女グループ(完全に非ヲタ)がキャッキャしながら騒いでいた。

それ見て僕は「ああ、大成功だったな」と嬉しく思うとともに、アンジュルムヲタとして「これは負けていられない」と対抗心が急に湧いてきた。同じハロプロではありながら、対極に位置するグループのヲタとして我が愛するアンジュルムが、この圧巻のモーニング娘。にどうカウンターを食らわすか、楽しみではありつつも心配にもなってしまった。

というのも台風の接近にともなって会場は風が強くなっていた。おかげで気温に比べて涼しくて過ごしやすい環境にはなっていたのだが、アンジュルムが行うPARK STAGEはステージ上のモニターの使用中止が発表されてしまった。せっかくのメンバーの表情が後方からでは分からないというハンデを背負わなければいけない。これは不安材料だった。

ぐぬぬ、とベンチに座って終わったばかりのGLASS STAGEを見ていると、ふと脳裏に昔の記憶が蘇った。

モーニング娘。“熱っちぃ地球を冷ますんだっ。”文化祭

2004年から2007年にかけて開催されていたハロプロのイベント。今でいう「ひなフェス」的な立ち位置の地球温暖化や環境破壊防止を呼び掛けるイベントなのだが、その時にテーマソングとして発売されたのが『浪漫 〜MY DEAR BOY〜』だった。

今から18年前のことだが、あの頃はゴリゴリのヲタクを僕らはやっていた。

今回のロッキンの舞台である蘇我と同じ千葉の幕張メッセで、あの頃の僕たちはイベントに徹夜で並び、開場前から爆音でラジカセから『浪漫 〜MY DEAR BOY〜』を流して踊っていた。

あの「熱っちぃ」思い出が唐突に蘇ってきた。

あの頃から温暖化は叫ばれていたが、18年経って世界は大変な異常気象に見舞われている。

地球が微熱らしい

どころではない世界になってしまっている。

モーニング娘。は、もしかしたら18年の時を超えてロッキンの舞台で今一度の警鐘を鳴らしたんじゃないだろうか。

どんぐらい あなたが弱っても私が守るわ

とセーラー戦士のように環境変化に苦しむ地球と人類にメッセージを伝えたかったんじゃないだろうか。

なんてことを次の準備をしているGLASS STAGEを眺めながら妄想してしまい、同時になんだか懐かしくなって「ふふふ」と笑ってしまった。18年経っても僕は彼女たちを追いかけているんだな。人生って素晴らしいな。

最高の夏将軍

なんかモーニング娘。が素晴らしかったので、居ても立っても居られなくなって後方訳知り関係者面なんてする余裕がなくなってしまった僕は、優先エリア横にスタンバイすることにした。後ろでのんびり観ているなんて出来ない。アンジュルムの良さを後ろにいる一般人まで届けるために盛り上げなきゃ。

そんな使命感が湧いてきてしまった。

たぶん僕のようなヲタクも多かったんだろう。ステージ前方付近に行くとソワソワしたアンジュルムヲタが多く集まっていたが、みな一様に期待感で顔もニヤついている。

モーニング娘。があれだけのステージをしたんだから、俺らのアンジュルムは絶対に負けないパフォーマンスで来る。そう確信にも似た感情で辺りは埋め尽くされていった。あの根拠のない自信はなんなんだろう。

開演5分前になるとお決まりのステージ裏からのアンジュルムメンバー達による「うおおおおお!」とか「いくぞぉ!」という咆哮が聞こえ、それに呼応するようにヲタクも臨戦態勢になっていく。動物園とか戦闘民族とか言われるアンジュルムだが、最近はヲタクも感化されたように対外フェスでの気持ちの入り方がすごい。

出囃子が爆音で始まり、メンバーが姿を現す。

そこには珍しくメンバーカラーモチーフの衣装に身を包んだアンジュルムがいた。莉佳子は髪色から衣装から真っ黄色で、まさに太陽のように輝いていた。最年少の松本わかなちゃんの白を基調にしたスカート衣装は、なんだかモーニング娘。がセーラー戦士なら、わーちゃんはプリキュアのようにも見えてキラキラした笑顔にライブ前から僕の周りも「わかなちゃんカワイイ!」「ちっちゃいこいる!」と軽くザワついていた。

1曲目は、まさかまさかの『46億年LOVE』

開始1秒で会場は祭り状態。モーニング娘。がジックリと丁寧に自分たちの領域に引き入れていく手法を取っていったのとは真逆の手法だった。初手から必殺技を繰り出すアンジュルムの強気に僕らはもうイントロの段階で「優勝だ!」と心で叫んでいた。

2曲目『人生、すなわちパンタ・レイ』

まさかのフェスでパンタ・レイ!しかも冒頭の向上を担当するのは最年少のプリキュア松本わかな!

「ぎゃあああああああ!」という絶叫が僕らの周りで巻き起こる。声出しちゃダメなのは分かってる。だが無理よ。まさかフェスで『人生、すなわちパンタ・レイ』を聴くとは思わない。『46億年LOVE』でブチ上がったテンションがもう1段ブチ上がる。

周りの老若男女のアンジュルムヲタ「カワイイ!カワイイ!」とわーちゃんの口上に悶絶しっぱなしだった。

3曲目『愛すべきべき Human Life』

あれ?まだ3曲目だよね?待って待って!?なんかずっとクライマックスなんですが!!!というヲタクの心の声が響き渡る。

なにこれ?この後、僕ら死ぬの?

ちょっと楽しすぎるんですが!!!

踊ってクラップして手を振って、ステージのアンジュルムも会場の僕らも笑顔笑顔の大騒ぎ。楽しすぎてこの辺からちょっと泣く。

4曲目『大器晩成』

最後が『大器晩成』じゃないんだ!もうやるんだ!なんだこのセトリ!バカなの?天才なの?最高なの?

「みんな飛んじゃいましょう!」

ステージで竹内朱莉さんが煽る。

会場のヲタクは瞬時に周りを確認、足元を確認、少し前後左右の間隔を取って軽い屈伸なんか始めだす。

「た・い・き・ばんせいっ!」

歌いだすと同時に飛ぶヲタク。目の前に巨大な壁ができる。ここは『進撃の巨人』の世界か。ここはウォールマリアか。

そう思うくらい全員が飛んでいた。なんとなく飛びながら後ろの方を見ると、遥か後方まで沢山の壁が形成されていく光景が広がっていた。マジで一般人もヲタも関係なく飛んで跳ねて踊ってクラップして、何この光景。素敵すぎて意味が分からん。

5曲目『夏将軍』

メンバーがタオルを用意した瞬間に「キタ!」という空気がヲタクを包む。この辺で竹内さんが「みんな水飲んで!」「私たちも飲むから一緒に水飲もう!」「かんぱい!」って水分補給を促してた。こういうトコもアンジュルムらしくて最高だなと思う。みんな持ってたペットボトルを掲げて乾杯していた。

「夏だねぇ!」って竹内さんが楽しそうに言っていた。

僕にはそんな笑顔で歌い踊りメンバーとふざける竹内さんが、本当に夏将軍に見えてしまい

強くて 逞しくて 明るく 大きくて
いつでも皆を 導くように燃えてる
焦げるほどの季節の 真ん中で輝く
最強の夏将軍 さあ今勝どきあげろ

という歌詞そのままの竹内朱莉さんが眩しすぎて、本当に、本当にこの人がリーダーで良かったと思えて、タオル振りながら泣いていた。

6曲目、最後は『友よ』だった。

考えたら竹内リーダーになってから『友よ』はメンバーの卒業以外で聴く機会がなくなっていたように思う。何もない『友よ』なんて、新規でアンジュルム好きになった人は聴いたことないんじゃないだろうか。

卒業ソングのようなイメージがついてしまったが、やはりこの曲は

さよならじゃない そうバイバイだ!

という歌詞のように、友との再会を約束する曲である。

ロッキンに来てアンジュルムのステージを観てくれた人、ヲタクだろうと一般人だろうとそこで出会ってくれた人は全員が「友」であり、同じ時間を共有した「仲間」なんだ。

その出会いに感謝して、また次の再会を約束する。アンジュルムのフェスのラストにこれほど相応しい曲もない。僕は途方もなく感動した。

短い時間、狭いステージ、場所もメインステージから一番離れている。であればアンジュルムに何ができる。それを考えに考え抜いて無駄を省き6曲全てをアゲ曲にして、アンジュルム最大の魅力である「楽しさ」を全面に推しだしたセトリにしたアンジュルムの勝利である。

アンジュルムは辺境のステージでメインのGRASS STAGEにも匹敵する集客をした。この光景を勝利と言わずしてなんとしよう。

この日、モーニング娘。はアイドルの先頭を走るフラッグシップとしての威厳を見せ、アンジュルムはアイドルの最先端の魅力を表現した。

同じハロプロでも全く違うアプローチによってそれぞれのアイドル像を示すことの凄さをもっとうまく伝えたいのだが、ただただ素晴らしくて最高で、僕は語彙力を全て奪われて「楽しかった」としか言いようがなかった。

本当に最高の夏でした。

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円衣めがね
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