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教えた方がいいか、学んだ方がいいか①

 理科専科になっていくつものクラスの授業にでれることになり、新鮮な発見がある。

 授業準備は基本的にはどのクラスにも同じように行うが、実際の授業はクラスによって変わってくるところが多い。先日はこんなことがあった。

 6年生は2クラスの理科を授業させてもらっている。てこの原理の単元がちょうど終わったところだ。大きな違いが生まれたのは、てこをかたむける力が「支点からおもりの距離」×「おもりの重さ」で表せることにたどり着きたいと考えた授業のときである。

 一方のクラスでは、子供が大型のてこを使い、どのようなときにつり合うか実験結果を集めている。教師は、質問に答えたり安全面に注意したりするだけで口出ししない。

 もう一方のクラスでも、子供は同じように実験していた。しかし、教師が別の行動をとった。てこがどのようなときにつり合うか、遠回しにそれとなく伝えていったのである。(わたしはどちらのクラスにも教える気はなかったが、こちらのクラスを見に来ていた先生が教えていったのである。)

 大きな差が表れたのは、この次の授業だった。

 前者のクラスでは、授業の冒頭の前時の振り返りから、大型てこでは微妙なつり合いがとりにくいことや、おもりの数に制限があることが話題に上がり、新しい実験器具の必要性が出た。そこで私は用意していた実験用てこを提示した。(こんなようなものである。↓)

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 後者のクラスでは、子供たちはてこの原理についてはほぼわかったと話すので、じゃあこの実験器具を使って確かめてみようと言って上記の実験用てこを提示した。

 子供たちは実験していく中で、様々なつりあうパターンを見つけていく。そしてとうとう、「支点からおもりの距離」×「おもりの重さ」にたどりつく子供が出た。それは前者のクラスだった。見つけた子供は発見した喜びに満ちていた。そして、この法則があらゆる場合で成り立つのかさらに実験を繰り返していた。おもしろいもので一人が見付けると連鎖反応のように見付ける人が増える。それとなく会話を聞いたり、様子を見ているからだろう。そんな中でも、法則を見付けた子は喜んでいた。

 後者のクラスは、なんとなくつり合う条件はわかるものの、「支点からおもりの距離」×「おもりの重さ」という式で表せることには自力でたどり着けなかった。そこでわたしはそれぞれのグループの実験結果を黒板で表にした。子供たちは黒板に示された実験結果に納得しているが、規則性には気付かない。その後も少しずつヒントを出してみたものの『「支点からおもりの距離」と「おもりの重さ」の間に+、-、×、÷のどれが入れば成り立つか』というところまで言わなければ、子供は気付けなかった。

 「そもそも二つのクラスに大きな学力差があるのじゃないか?」と思われる方もいるだろう。昨年度までの学力調査を見ると差は、ある。しかも大きく開いている。前者のクラスの方が低い。

 これはたまたまなのだろうか。それとも人の学びに関する普遍的な何かが隠されているのだろうか。

 ちょっと長くなってしまったので、この事実に関する私の考察や、関連研究については別の記事にするつもり。