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28歳、自分を知る / 16PC診断の話。

お正月気分も抜けた、1月のある土曜日。
小学校から縁の続く友人と、16パーソナルカラー診断を受けてきた。

16パーソナルカラー診断とは、
四季に合わせた春、夏、秋、冬のイメージにくくられた自分に似合う色を、さらに日本人の色味に合わせて細分化したもの。

スキントーンに合わせて「イエベ春」「ブルベ夏」「イエベ秋」「ブルベ冬」と言われている。
(イエベはイエローベース、ブルベはブルーベースの意。)

料金は1人、2万2千円ほど。
決して安いとは言えない値段なのだが、
今後、洋服やメイクを買う失敗、髪色を間違える失敗料を考えると、
長い目で考えればお得だと感じた。

たまたま、友人Sも診断を受けてみたいと乗ってきてくれたので、2人で行くことになったという次第だった。

「え、ここでいいんだよね」

2人で地図と睨めっこしながら着いたのは、マンションの入り口。
駅から徒歩5分もかからない距離にある店舗は、住宅街の中にあった。

恐る恐る部屋の番号を入力し、インターホンを鳴らす。
明るい女性の声がして、オートロックが解除された。

案内された部屋は、8畳程度のワンルーム。

「まずは、カルテをご記入ください!」
明るい茶髪のまとめ髪をした女性に促され、各々案内されたソファに座り、バインダーを手にとる。

そこには、自分のなりたいイメージや、好きなファッション・苦手なファッション、小物の中でどんなアドバイスが欲しいかを記入する欄があった。

私は自分に対して華やかさが欲しかったのだが、しっくりくる言葉が思いつかず、「キラキラ女子」といった頭の悪そうなざっくりした回答で提出した。

いくつかの質疑を終えて、鏡と化粧水の浸されたコットンを手渡される。
ついてものの10分でメイクを落とすことになるとは…。

「Sが一緒で本当に良かった」相方にポツリと呟いた。
「こっちのセリフ笑」笑いながら同意する友人。

化粧のけの字もない子供の頃からの付き合いの友人。
20を過ぎたあとの付き合いであれば、到底これほどサラッと化粧は落とせなかっただろう。
心の武装も解かれたような、少し不思議な気持ちでメイクを落とした。

まずは、骨格診断から始まった。
私たちが選んだコースはパーソナルカラーのほか、骨格、顔タイプ、アクセサリーや眼鏡など小物のアドバイス、メイクのレクチャーなど、かなり盛りだくさんの内容だったため、トータルでなんと4時間半もかかった。

骨格については自分でもある程度の予想がついていたが、予想通り、「ストレート」タイプだった。
ストレートタイプは、上半身に厚みがあり、肌のハリがしっかりある。

だが、手を触られた時には「ウェーブさんの要素もありますね!」と言われたので、純粋なストレートではないみたい。
ウェーブは、いわゆる「華奢」なタイプ。丸みがあって、女性らしさを感じさせる骨格だ。

友人も自分をストレートと思っていたが、ストレート寄りの「ナチュラル」だそう。
ナチュラルタイプは、骨を感じやすい体型だがスタイリッシュな印象で、重ね着がしやすいみたい。

人の性格に個性があるように、骨も型に当てはまらない、自分の個性があるのだなと感じた。

そしていよいよ、パーソナルカラーの診断が始まった。
部屋に入った瞬間から目に飛び込んできた、大きな机の上に広げられた沢山のカラフルな布たち。

大きな鏡の前の椅子に座らされ、あふれんばかりの布を順番に顔の前に持ってきて判断してくれるというわけだ。

「わ、彩度の高い色がとっても似合いますね!!」
診断士のお姉さんが驚きながら、私の前に原色さながらの赤をあてながらそう言った。

本当に面白いぐらい分かりやすく、絵の具そのままの色の時はパッと顔色が明るくなり、くすんだ色は元々悪い顔の色がさらに悪くなり、ほわんとした優しげな色は輪郭がぼやける。

「めちゃくちゃ分かりやすいね」友人Sが隣で鏡を覗き込みながら笑う。
素人目にもパッとわかるほど、私に似合う色は彩度が高かった。
その後も何十枚と自分の肌に布を当てていくという作業をした結果…。

「potteさんは、1stがヴィヴィッドウィンター、
 2ndがストロングオータムですね」

私に似合う色たち

ずっと、自分ではイエローベースだと思っていたのだが、なんと「ブルベ冬」だった。

あまりにも衝撃。
厳密に勘違いしていたのは5、6年前からだが、全く予想もしていなかった色味が出てきた。

驚きと、嬉しさと、我が家のタンスに眠る、大好きな薄水色の服たちを思い浮かべながら、最初はとても複雑な気持ちで結果を聞いた。

1人で戦隊ヒーローができそうな色たちを見つめながら、ようやく自分というものを知ったのだと思い、噛み締めていた。

その後も、ファッション、メガネ、顔タイプ、色々な診断を受けた。
自分に合う洋服のブランドまで教えてもらえるとは思わなかったので、あまりにも充実した内容に、目から鱗の連続。

「そうだよね」という答え合わせのような時もあれば、パーソナルカラーの時のように「えっ私に似合うのはこれ?!」という結果の時もあった。

特に驚いたのは、顔タイプ。
自分では「アクティブキュート」などだと思いきや、「フェミニン」だった。
昔から年相応に見られることがないのだが、顔タイプは大人寄りらしい。

「キラキラ女子ど真ん中になれそうですね!」
明るく笑顔で診断士さんに言われて、目の前がチカチカした。

憧れで遠いと思っていた存在が、急に目の前に現れたような。
目の前の光景が急にキラキラと煌めきだす。
「私も華やかになれるんだ!」と、心が舞い踊る気持ちだった。

28歳女子2人、気分を高揚させながらお会計をして後にした。

診断後はお買い物をすることになったので、
ベースを一通り自分のベースカラーに合うものに買い直し、ずっと欲しかったYSLの真っ赤なルージュを購入した。

洋服コーナーでは、
「あの服はSに似合いそう」
「私の色はこれだね」
と、心弾みながら楽しくウィンドウショッピングをした。

普段見ているはずの洋服の陳列の中から、自分の中に眠る美を見出す作業。まるで全く違う世界から来たような気持ちにもなった。
自分のことを全く知らなかったのだ、と28歳の私は改めて知る思いだった。

世界がクリアになる体験。
今年一番やってよかったと断言できるであろう、自分への投資だった。

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