加工所のおばさんはラウンドガールもやらなきゃなの
エンジンがかかると同時にエアコンの冷気が当たり、
おぅ、っと首をすぼめる。
昨日までの設定温度と風量を変えて、わたしはゆっくり
走り出した。
マジシャンでもいるのだろうか。
昨日までここにいた真夏が一晩でまるで違う物に変わった。
「まだまだ遊ぼう!」と
夏を謳った海のイベントも終わり、
でかでかと張り出されていた看板もはずされた。
そんな急じゃなくていいんだよ?
でも自然は静かにそして少しずつ次の季節を用意してくれていた。
毎年この季節になると渋皮煮を作る。
(食材の調達はだんなで、いいもの見つけてきてくれる)
材料は砂糖と少量のみりん、しょうゆだけなんだけど、
何といっても手間と時間がかかる。
一度知人が「渋皮煮ってもう大変なのよー」って行程を説明してくれた。
「重曹でゆでてそのあとゆでてこぼしてを繰り返すでしょ?」
はいはい、もちろん、それは知っていた。
だけどそこからが長く、更に「そんで次の日にはね」って言われた時には
もう私は話を聞いてなかった(笑)
次の日にまで持ち越すようなレシピじゃ自分無理だわ。
そんでこの辺の人の渋皮煮って結構甘いのよ。
茹でこぼしの回数や時間、煮る時間、砂糖の量、そして使う鍋の大きさ。
ネットで見た3つほどのレシピを試した結果pote家ではこれ、というものにやっといきついた。
3つを足して3で割った。
1回につくる量って結構大事でね、水に対して砂糖の分量が同じだから、
多少栗が多くてもいいらって思うじゃん??
だめなのよ、これが、奥様!
それと鍋の大きさも大事。
500gの栗に対してこの鍋でひたひたの水っていう相性がある。
これも試行錯誤の結果たどり着いたの。
多めに作ってジッパー付きの保存袋に入れて冷凍しておけば
お正月に使えるのだ🎍🌅🎍
一番嫌いなのは台所に縛られることだ。
渋皮煮を作っている間にちょっと他のことを、と
思っても中途半端になってしまい、結局はずっと台所にいる羽目になる。
一番嫌いだったことをやっている自分に笑う。