具体的なお天道様としてのステイサム 「ビーキーパー」
面白かった!!!いや〜こんなの定番の正月バカアクションだと思うじゃないですか、完全に油断してた……
もちろんそういう脳筋フル回転なアクション要素もありつつ、現代社会への鋭く厳しい目線もある、新年早々とても充実した映画体験でした
ストーリーがまず良いよね〜!冒頭のわずかなやり取りでしっかりと関係性を示してくれるので、その後の冗談みたいな大展開の連続にもどこか寂しさ・虚しさがある
悲しいヴィジランテvs法の秩序を信じるFBIという構図も定番ながらグッと来るところだし、その対立構造が変にブレないのもちゃんとしてる
ただまぁブレないのはあくまで対立構造の部分だけで、話運びのバカっぽさはよくあるジャンルアクションの域を出ないんだけどね
ストーリーが進んでいくなかで「標的を探す」とか「追いつく」ということに関して、納得できるロジックが皆無というのはちょっと目を見張るものがありました、あえて挙げるとすれば「謎の秘密組織なので」くらいしかない大胆さがもう、最高すぎる
それにしても、とにかくステイサムの手際が良すぎて最高だった…激しい戦闘の連続なのに息が上がるとか苦戦するとか一切ない、なんなら悪人を殺めることへの迷いもない
しかし一方で、そもそもの動機はとても優しく切ないところにあったりもして、人間味がないのに人間そのものでもある奥行きがとても魅力的でした
話の規模が想像を絶するレベルで大きくなっていくという点は確かにオモロの要素でもあるんだけど、やっぱり去年の大統領選を思えば、これって社会に対するやるせなさの表象にも取れるし、不平等や断絶に対する地球規模の私怨を一身に背負う亡霊でもあるように思えました
なので劇中で繰り広げられる壮絶な暴力も、ある種の天罰にも近いような、でも見た目としては定番のくだらなかっこいいバカアクション、とてもスカッとできるようなものではない複雑な味わいがあった
見境なく殺戮の限りを尽くしてもなお「善でありたい」と願う、相手を即死させるかケガだけにとどめるかは冷静に選んでるっぽい理性的なカオスの化身としてのビーキーパー、ヒーローともヴィランとも決めがたいこの魅力…早く続編作ってほしい…
迷いのないステイサムの鉄拳制裁&大放火は、どこかジェームズ・ガンの「スーパー!」を思い出させる悲しさもありました
正義を追い求める悲痛な奮闘、やってることは全然違うけど魂は少し似ているようにも思う
そんなことを思いながらも、やっぱり大枠としてはワクワク楽しい最強ステイサム映画なのがまた良いんだよね!!ハチの巣箱にトランシーバーを格納しておくのとか最高
ヒロアカのベストジーニストよろしく、みんな何かにつけてハチの話をしてるし知識が豊富なのも奇妙で良い
あげく「ハチにはこういう習性があるから、もしかしてビーキーパーも…」とか言い出して、人間とハチの区別さえつかなくなっていくのがたまらなかった
"to be, or not to be "からの"…be (bee)"だったっけ、こういう決めゼリフもくだらなかっこよくて好きです
クライマックスを経て、すっきりとした幕切れも素晴らしい!!一件落着させないあたりも好みです
新春アクションとしてはちょっとね、正月早々いくらなんでも感情の置きどころに困るタイプの映画で面食らったけど
でもまぁ善人でいないとダメだよね!と新年の抱負的に振り返ることもできる、ちゃんと懐の深いアクション映画で大満足です
ステイサムのお年玉も欲しかったな、でも鑑賞後にどんな気持ちであれを眺めればいいのかとも思う
鑑賞後にはなんとなく、コカコーラゼロを飲みました
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