すっきり苦い青春のスパーク、「トランスフォーマー/ONE」
いや〜〜素晴らしい、予想以上の感謝と驚嘆で大満足でした!!こんなに中身のあるトランスフォーマー映画は観たことがない
シリーズ知識がゼロの人でも問題なく楽しめる作り、そこをとにかく丁寧にチューニングしてくれているというのが何より大きい、なんならトランスフォーマーってタイトルつけない方がしっかり売れるんじゃないか
子どもでも安心して楽しく観れるSFアクションでありながらも、暴力を暴力としてはっきり見せるバランスがこれまた印象的で
そこまでアニメシリーズ知らない実写ファンの立場としては、幼少期にトランスフォーマー玩具で遊びながらも変形が難しかったり関節が固かったり、アニメが少し怖かったりしたあの感覚が蘇ってくるところもありました
ヒーローへの憧れと背伸び、キャッチーなデザインとグロテスクさ、そういったものが少し乱暴に混在している感じというか!これはやっぱりトランスフォーマーならではなんだろうか
ピクサー出身の監督ということも大きいのだろう、冒頭から世界設定とキャラクターの性格をサラッと説明する手際の良さは目を見張るものがあった
映像と音でしっかり質感表現してくれる技術力とこれまた素晴らしいし、姿を変える岩や砂、過去回想シーンのフレッシュさ等、シンプルに映像作品として楽しい要素がたくさん盛り込まれていて!
そのどれもが上手く噛み合ってるのも幸せなことだな、と思いながらニコニコで観ていました
トランスフォーマーは身体を折り曲げる感覚で変形する、という設定をどこかで見たことがあり、今回まさにそういう感じの見せ方になってたと思う
実写版と比べて構成パーツ少なめというか、「変身」と言うよりは「変形」くらいの塩梅で好きでした
エモーショナルな演出を重ねながらちょっと速すぎるくらいのテンポでどんどん話が進むのも、映像技術とあわせてやはり現代の映画という感じ
個人的にはもう少し展開を絞ってじっくり語ってくれてもいいんだよ?とは感じた、ずっと楽しかったけどね
初代オプティマスの玩具パッケージと同じポーズだ!とかは私でも気づいたけど、たぶん長年のファンはもっとたくさんニヤニヤできるポイントがあったんだろうな
だとしても、それらが物語の進行を邪魔しないという偏りのなさはやっぱり見事
最終的に主人公2人が決別して善悪それぞれの大軍を率いるリーダーになっていく、というのは大前提としてある部分なので、どうやってそこに至るのかが重要なんだけど
2人のどちらにも寄らない絶対的な「悪」としてセンチネルとクインテッサを置くことで、後半の決別にも納得感を持てるようにはなっていたと思う
メガトロンが悪すぎない、というよりはオプティマスが善すぎないというか…選ばれし正義のヒーローとはいえガンガン暴力振るうし権力だし、というバランスだった
そして何より興味深く感じたのは、鑑賞を終えての後味の部分で!!!
自由や尊厳を巡る巨大な革命の物語でありながら、驚くほど爽やかな別離には青春映画の手触りすらあった、これも狙ってのことなんだろうか…
二度と交わらない道、かつての友情、そういったものにフォーカスを当てる作品だからこそなのかな
映画作品で言えば「バンブルビー」もドラマ面の充実が嬉しかったけど、あっちのあざとい演出と比べればむしろ今回の方が大人っぽい仕上がりだったかも
終盤のデカいエモーションは、さながらヒロアカのデクと爆豪を思わせるような切なさがあった、マトリクスなんてワンフォーオール感すごかったし
あとはアトロク文脈で言うところの「元トモ」、友人と疎遠になる瞬間そのものでもあった
まぁとはいえ、例えばエリータがオライオンを激励する場面とか、いくらなんでもセンチネルが自分の悪事を言葉にして言い過ぎな感じとか、ちょっと説明的すぎて不自然さが際立つところもありはしたけど
それらもかわいげとして楽しめるくらいには面白く観ることができました
それからD-16の明確な闇堕ち、ここはやっぱり物語の最重要ポイントだったわけだけど
ここがね〜〜〜個人的にはやっぱりトイストーリー4の監督だなぁと意地悪に結びつけたくもなってしまう、やたらとあっさりしたシーンになってるように感じられたのがなんとも悔しかった
これは原作アニメを知ってたりすると受け止め方が違ったりするんだろうか、さすがに唐突すぎないか?という印象を初見では持ちました
ただ今回の場合は、こちらの共感できなさこそがメガトロンたらしめているとも言えるので、その意味では妥当な展開なのかもしれない!我々が見てきたD-16はもういないということでね
あくまで個人的に、冒頭から共感性の高い話運びやキャラクター造形だと感じていたので、決定的な別離こそもう少しロジカルに…と思った次第でした
あとはね〜キャラクターたちの「変形したい」という願い、ここに重きを置いているのも素晴らしいなと感じたところで!!!!
コグ=魂を奪われた市民たちを中心に置いて、自由の象徴であり本来のアイデンティティとしての「変形」という描き方になっている今回
掘削ロボットたちの総称「マイナー」は、例えば少数派としての「マイナー」にも重ねて考えたくなるし、その彼らが何らかの奇跡などではなく本来の魂を取り戻す、というのはやっぱり感動的なストーリーだったな〜
センチネルを倒す方法の違いからはっきり対立してしまった二大勢力に関して、
ディセプティコンのマークはメガトロナスの顔=過去の栄光であり、かつてD-16が抱いていた純粋な憧れの象徴でもある一方で
オートボットのマークはオプティマスプライムの顔そのものという演出!!現在と未来を見つめるオートボット、という違いがよく出ていると感じました
で、それだけ意味深いマークが刻まれていて、心から「変形したい」と望むキャラクター達、が実際に変形するおもちゃなんてそりゃ欲しくなるよねと
その意味で今回はおもちゃ映画としても大勝利だと思います
いやはや隅々までとてもよくできた映画、上映においては3Dとの相性もばっちりで!
景色の奥行きだけではなく、キャラクターの体そのものの立体感も味わうことができた
さすがにアクションが複雑になる場面だともう何が何やらではあったので、今度は2D吹替でも観てみたいな〜
あとはパンフの表紙、キラキラが角度によって形を変える仕様になってるのもコンセプチュアルでかなり好きです
昨年のビースト覚醒に続いて今回のONE、2年連続でトランスフォーマー映画が公開されることの喜ばしさたるや!!周年コラボも盛り上がっているようで嬉しい
あとはGIジョーとのコラボを誰がどう喜ぶのか今ひとつピンときてないところはありますが、映画の展開も応援しながら楽しみたいと思っています
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