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気を失うかと思った 「PUI PUI モルカー ザ・ムービー MOLMAX」
大満足、、、、、モルカーがCGアニメになるということへの不安と期待を思わぬ形で(これは本当に思わぬ形で)超えてくれる、そしてそこらへんを抜きにしても1本のトンチキアニメ映画として楽しく観れる作品だと思います
羊毛フェルト・ストップモーションという最大の魅力を切り捨ててもなお前進・拡大する、という英断をまずは大評価したいし、実際かなりうまくいっていると思う!!
しかもスパイダーバースさながら、モルバースとしてひとつの完成形を見たような気さえしている
とにかくモルカーを好きなままでいることができてよかった、大感謝です本当
鑑賞前の気分として、やはりCGでアニメ化ということへの不安感は強かった…言うまでもなくそれは作り手が一番感じていたことではあるんだろうけど
1期を初めて観た時に受けた衝撃がとにかく強すぎて即座にグッズを買い集め、特別上映に通い、本編も数えきれないほど繰り返し観て、2期でちょっとがっかり(主にストーリー面でのチャレンジと失敗)した経験のあるオタクからすれば、今回CGのモルカーで長編映画という試みにはどうしても、期待も不安もかなりのものであったわけです
なのでまずCG表現ということに関しては!!丁寧な割り切り、豪快な開き直りが見事だったし、ちゃんと新たな魅力があって驚きました
オリジナルを「実写版」と位置づけるとすれば、今回は「アニメ版」としての妥当なIP拡大に成功していると思う
羊毛フェルト製の"作り物"であることでかえって手触りや質感がそのまま伝わり、キャラクターの命や温かみが増す、という実写版の魅力を再解釈するにあたって
時間や予算の制約もある長編映画化の初手として「輪郭線くっきりの露骨なCGであること」を選ぶのはやっぱりクレバーだと思う、同じCGでもピクサー的なリアリズムとはまた別の方法論で挑戦してくれてる
まぁ細かいデザイン的にはね、チョコは本来もっと小顔なのに!!とか言いたくなる厄介オタクの気持ちはここにだけ埋めておきます
あとは動かし方についても、アニメ本編にならって敢えてのカクカク感、この辺のバランス感覚も良かった
アニメ本編と違って今回はセリフも用意されているということで、例えばスマホゲームのRPG「モルグランプリ」ではどうしても人間主体の話になってたりもしたので、今回果たしてどんな感じになるんだろうと心配していたんだけど
ちょっとこれに関しては斜め上どころの話ではない、急展開というかもはや物語の体裁を保つことすら放棄していて!!
ちょうどアニメ本編を全話通して視聴する時に近いクラクラ感をそのまま味わうような、およそ正気の沙汰ではないパートが大部分を占めてはいるので実際かなり混乱しました、本当に冗談みたいな構成
長編だからゆったりじっくり描くといったことをほぼしていない、常時アクセルベタ踏みのスピード感で振り落とされないように必死の鑑賞になった、これはさすがに好き嫌い分かれる部分だろうな〜
でもまぁメインターゲットたる子どもたちには非常に楽しいテンポ感と展開であっただろうし、大人としては途中で気を失いそうになるタイミングがありつつも、個人的には細部までしっかり楽しめました!整合性とかは置いておかないとだけど
大塚明夫の安定感ある演技のおかげでギリギリ「物語」として観ることもできたしね、本当ギリギリ
うんち・おならで子どもたちを満足させつつ、大枠としてはしっかり毒やスパイスを盛り込むストーリーになってたのも良かった
油断してたらこれ意外とグロい話だね???という展開もあったりして、思いがけない緊張感もあり
これサマーウォーズでも見たな、的なラスボス展開はベタではありつつも、「人間の嫌な部分を批判的に描く」「人間の愛や優しさをストレートに描く」という1期・2期への確かなリスペクトでもあり!
映画としてスケールを大きくしつつ、大事なところは外さない方向性なのがまた嬉しかった
ただ、社長やドライバーのドラマ要素をそのまま楽しめたかといえばそれは微妙なところでした、優しさの暴走だったりの要素単位で見れば普通にちゃんとしてはいたけど、この映画が物語をしっかり語ってるかと言えばそれは、どうかな〜〜もう1回観れば印象違うのかも
そして、そういうアニメ本編とリンク部分を抜きにしても、ドタバタ楽しいファミリー映画として見応え十分なんじゃないだろうか
まぁ例えばドライバーたちがなぜAIモルカーに続々乗り換えるのか?とか説明不足な部分はどうしても多いけどね、大枠としては楽しい冒険活劇になってはいるし
あとはクライマックスの展開でやはり思い出される「スパイダーバース」、あちらは本来的に孤独なヒーローであるスパイダーマンをマルチバース設定によって救い、勇気づけることで、観客にも「1人じゃないよ」と気づかせてくれる部分があった
対してモルバースとしての今作MOLMAXは(もちろん「1匹じゃないよ」みたいなメッセージではなく)あれもこれもごちゃ混ぜで大集合&大活躍!というお祭り的な楽しさがあることに加えて、
次元と時間を超えてなお、これまでのアニメ本編もしっかり作中で息づいている!!という連続性を画としてはっきり見せることで、モルカーという作品まるごとを肯定してみせる作りにもなっていると感じた
主題歌の狂いっぷりも素晴らしいよね、文字通り夢みたいな楽曲なんだけどモルカーの世界観においてはむしろマッチするという、一歩間違えれば悪ノリにもなりそうなところを大きな愛で具現化してくれてるのが見事でした
抗いようのない純然たるかわいさに翻弄され、健気さに胸を掴まれ、、、表現のハード面は大幅な変更を迎えたけれども、ソフト面というかモルカーの内面的魅力はブレないよう細心の注意が払われているというのが素晴らしいと思います
物語の都合に支配されることなく、食欲やワクワクにまっすぐのびのびと突き進むモルカーたちの姿、これをスクリーンで観れるというのは本当に喜ばしいこと
続編も制作決定とのことでめでたい、必ずや途絶えず拡大していってくれることを期待します!!!そしていつかまたストップモーションでも、いつかきっと、、、
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