
完成度にムラがあって残念です、大好きです 「キャプテン・アメリカ : ブレイブ・ニュー・ワールド」
もっと来いよ!!!待ってたんだよ!!!!お前らの考えるブレイブなニューワールドはこんなもんかよ!!!!!という不完全燃焼、これは明らかにありました…さすがに期待しすぎてしまった
でもMCU全体のストーリーが久しぶりにしっかり動き出したし、そこで拾われるのがインクレディブル・ハルクとエターナルズというのは大変嬉しかったので複雑な思い
映画ファンとしてはけっこう不満、MCUファンとしてはそこそこ満足という感じです
物語として前作にあたるドラマ「ファルコン&ウィンターソルジャー」が大好きで、現実の様々な差別に対する誠実で勇敢なメッセージを通してサム・ウィルソンの魅力を大きく広げてくれた名作だったなぁと改めて思う
MCUにおけるヒーロー、とりわけキャプテン・アメリカがどれほどのものを背負って戦うヒーローなのかを再定義したという意味でも、配信限定にしておくのはもったいないくらいなんだけど
いやーー今回、少なくとも初見の段階ではどうにも掴みどころのないストーリーだったな〜〜と感じる、それはたぶんサムがキャプテン・アメリカとして何を背負って何と戦ってるのかが明確でないように見えたからなのかな、と今のところは思っていて
予告で繰り返し流されてた「お前はスティーブ・ロジャースではない」とかのセリフも、なんか変な文脈で使われてるような気がして今ひとつハマらなかった、取って付けたようなというかね
でもキャラクターとかストーリーを個別で振り返るとそんなに悪くはなかったようにも思うんです、設定なり展開なり
父親としての葛藤を抱えるロス、国家間で資源をどのように分かち合うかという外交問題、大統領の隠された過去とその被害者、それらにしっかり過去作の要素を絡めるという構造それ自体についてはね!!さすがMCU、こういう連続性と広がりこそユニバース展開の魅力だよねとは感じるんだけど
なんかそのどれもが、どさくさに紛れていつの間にか解決しているような話運びに思えてしまったというのはある、なんかな〜〜〜
まず思ったのは、満を持してスクリーンデビューのイザイアね…この人が家の外であれこれするということ自体がどれほどの意味を持つか、それがうまく表現されてるとは感じられなかった
そもそもドラマ未見の観客も一定数いるわけで、彼が受けてきた仕打ちの残酷さはひと言で説明できるものではないにせよ、ちゃんと描いてはくれないのでキャラとして薄まってしまった感はあったかな〜初見の印象としては
冤罪、投獄、解決、それらにサムがしっかり関わって救おうとしているのはすごく良かったんだけどね
あとはロス将軍あらためロス大統領、これは製作陣が意図してなかった部分かもしれないけれども
現実のアメリカを踏まえるとどうしてもね、『冷血だけど人間臭さのある大統領』ってキャラ自体がもう、飲み込みづらさしかないなとは感じた…娘のことで思い悩むのはいいとしてさすがに公私混同が過ぎるという意味でも
そういう部分を除けばね、仕事がうまくいってないけど頑張る父親という側面だけは共感性のあるキャラだったし、その軸がああいった形で着地するのも悪くないと思う、ただね〜アメリカ大統領だからね…
それから日本の尾崎総理大臣、これも現実とかけ離れすぎてて違和感しかなかった、嘘っぽい桜の木とあわせてフィクションすぎるなとは
しかもアダマンチウムを巡る外交問題が結局サラッと流されてるのがまたねーー、この作品のストーリー強度が物足りないと感じる理由の小さくないひとつです
しかしながら、主人公たるサム・ウィルソンは言わずもがなの大活躍!!!気の良い兄貴でありながら象徴的リーダー、なおかつカウンセラーという魅力あふれる人物像をアンソニー・マッキーがばっちり演じてくれていました
全体的にテーマ的な掘り下げが全部セリフで済まされるというのが少し不細工な作りだな〜とは思ったけど、カウンセラーとして言葉のやり取りを大切にするサムということを思えばね、それもまた有りかなとは
でもまぁそれで言うと、黒幕であるスターンズをサムが救ったかと言うと微妙じゃないか、というか黒幕として重要なキャラなのにそれをただ捕まえて終わりというのはね…
そもそもあいつはロスに利用されてしまった被害者としての側面があるわけで、そういう意味では例えばジモとも重なる奥行きあるヴィランになってたはずなのに!!どういうわけかレッドハルクばかり見せつけるクライマックス、これも残念でした
エンドゲーム以降の作品群では特に、ヴィランを単に倒すだけではない解決法を模索してきたのもまたMCUの歴史だと思うのだけど
今後の展開に大きく関わってくるであろう本作において、黒幕をサラッと捕まえてレッドハルクをサラッと説得するだけというのは、悪い意味での原点回帰にも見えてしまった
というか、こういうバランスのクライマックスならレッドハルク押しの宣伝も良くないよね、予告でほとんど見せてしまって…そうなんだろうと思ってはいたけど案の定という感じでこれまた残念だった
余談ですがポスターアートで盾を殴って火花が散ってるという謎演出、劇中でのホカホカハルク描写を踏まえると納得感が出てくるのが変な味わいでウケました
個人的な好みで言えば音楽もベタすぎる割に印象薄い、編集のテンポも性急だし、そういった理由からどこかドラマっぽい仕上がりなのがまた拍子抜けで…シリーズ過去作がサスペンスとしてうまくいってたのは、そういう部分で緊迫感をしっかり盛り上げてたところもあるからこそなのに!!
むしろドラマである「ファルコン&ウィンターソルジャー」の方が、ストーリーも含めて映画的な余白と深みを持っていたんじゃないかと思うほどでした
いや、でもグッとくる場面は実際いくつもあったからね、だからこそのモヤモヤでもあります
洗脳の音楽が流れるタイミングとか選曲がいい具合にキモいのも良かったし、どこから敵が現れるか分からないという緊張感を持たせる演出としてそこは楽しめました
サムの新スーツやアクションも、ワカンダのテクノロジーに支えられつつ前提としてはとことん鍛えている・訓練していることが伝わる見せ方で、こういう点でもスティーブとは良い意味で違うキャプテン・アメリカ像なのが頼もしかった
いやまぁナイフが深く刺さっても平気なのはさすがにとは思いつつね、頼れる人間・サムというのがファンとして非常に嬉しかったです
2代目ファルコンがコメディ担当としてドラマ以上に活躍してたのも嬉しい、元ウィドウというあの人もまぁ、という感じで登場人物がみんなそれぞれ自分の信念を持って行動してるあたりはね、ここは本当すごく楽しめた!!!
まぁいろいろありつつ、サム・ウィルソンの活躍が大スクリーンで観れたというその一点だけで満点というのは正直かなりあるし、「希望ではなく目標としてのキャプテン・アメリカ」というのもね!!努力型ヒーローとしてのサムを的確に表現していて素晴らしいなとは感じました、ここはサプライズ登場も含めて一番泣いた
ただその「目標として」という表現というか枠組み、実際その通りだとは思うけれども一方では、星条旗を背負うヒーローが避けては通れない政治性をうまいこと脱臭してしまう語り口でもあるので、なかなかどうして難しい立ち位置だなぁとは思う
そのあたりも含めて、これまでのキャプテン・アメリカシリーズでかなりうまくいってたポリティカルサスペンス要素、単なるマンガ映画で終わらせない現実社会への誠実な視点というのが今ひとつ、今回は感じられなかったかな〜というのがモヤモヤの原因だと思います
冒頭でいつものスタジオロゴとメインテーマも流れなかったし、監督も有名ではないっぽい人、いろいろと原点回帰&リニューアルで立て直しを図っている部分はあるのかもしれない
いやはや、完成した映画が面白いということがどれほど奇跡的なことなのか、逆説的に実感できる作品でした
改めて予告編を見ると別に詐欺ではないし実際そういう話ではあったけど、予告の印象ほどシリアスな話運びができてたかと言うとそんなでもなかったかな〜というね
魅力的な要素もたくさんあるだけに悔しい思いです、でも本当ユニバース要素は久しぶりにすごく楽しかったから!!!本当に頼むぞサンダーボルツとファンタスティック4…
#映画 #感想 #キャプテンアメリカ #映画感想文 #マーベル #MCU