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この風格、ただごとではない「ベイビーわるきゅーれ ラストデイズ」
面白すぎて困った、、、好きなシリーズだったけど、ここまでの領域に達するとは想像できませんでした
不器用すぎる人間たちの希望やプライドを切実に描いてきたシリーズとして、これ以上ないくらいガツンとくる魅力に満ちた最高傑作だと思います、全部ある
世界観説明の1作目、さらに拡大&スポーティな2作目に続いて、今回は観光映画としてのスパイもの・チーム強奪もの要素をがっつり取り入れる形になっていて
やっぱり主役2人のキャラクターがどこまでいってもブレないので、どんな方向性でもしっかりベイビーわるきゅーれとして楽しめるというのが毎度のことながら感心するところ
放送中のドラマがシリアスさもありつつライトに楽しむスケール感なので、そちらと比べて劇場版は重みがはっきり違うのも嬉しかったです
冒頭のアクションが始まるまでの流れに関しては、人気シリーズゆえの余裕なのか、あるいは「これが見たいんでしょ?」というサービスなのか、前作までと比べて物語の立ち上がりはけっこう遅い印象なので少し心配ではあった
要は海で遊ぶくだり、相変わらずヘラヘラしてて良かったけどちょっと長すぎないか?というね
でもまぁこれも例えばミッション・インポッシブルのロッククライミングみたいなサービス展開と思えば、「ちさと・まひろがダラダラ遊んでるだけのシーンで始めても観客はついてきてくれる」という自信・確信とも取れるので、それはそれでプロジェクト拡大を感じられてファンとしては喜ばしい部分かも
さて本編に関しては、前作と同様、今回も新キャラの魅力がほとばしっていて!!
世界観を崩さず拡大する方向で、なおかつそれぞれが生きている人間としての奥行きを感じさせる、このあたりは脚本もキャスティングも大成功だと思う
演技テンションの統一もこれまでで一番うまくいってると感じたし、ファームの親分くらいだったな〜気になったのは
前田敦子の不機嫌演技も相変わらず最高、さながら「もらとりあむタマ子」のタマ子がそのまま歳を重ねたようなたたずまい
単なるお局キャラで終わらせず、独白と和解を経て魅力が倍増していくのも良かった
それから池松壮亮演じる冬村、今やインターネットの遊び道具になりつつあるキャラクターだけれども
予告の段階では「最強の殺し屋」という触れ込みだったので、これまで設定だけ語られてきた「粛清さん」とかそういう役回りなんだろうなとばかり思っていたけど、ここはいい意味で裏切られたな〜〜!!キャラクターとして全てが良い、良すぎる
漫画の「殺し屋イチ」ってなんかこういう雰囲気あったよなと思い返しつつ、でもこんなバランスのキャラクター見たことないなとも思って感嘆しきりだった
誠実でまっすぐなピュアネスと、誰にも止められない狂気の殺人マシンとしての暴力性、それらを両立させるための最適解として池松壮亮はいくらなんでもベストすぎる、冬村を主役にして1本作ってほしいくらい
生きることに対して不器用すぎるキャラクターたち全員が魅力的だったけど、とりわけ冬村は悲しさ・怖さ・キュートさの塩梅が奇跡的すぎました
そしてアクションに関しても進化が止まらない、前半からいきなり冬村vsまひろの一騎打ちで盛り上げつつ、チーム戦を挟んで最後は2対1での決闘!!からの再び一騎打ち!!!
ちさとのアクションが増えてるのも嬉しいし、シリーズを追うごとに最高点を叩き出し続けてるのはやっぱり驚異的、ただごとではないと思う
誰が死んでもおかしくない世界観であることを踏まえると、一応の味方サイドにあたる協会側が結局誰も死なないというのは、思い入れながら観ているこちらとしては安心できるのでありがたいのだけど
同時にちょっと都合が良すぎる展開にも見えてくる部分ではあった、敵ばっかり死にすぎというか
でも「どうせ死なないんでしょ?」とは思わせない緊迫感ある展開の連続はやっぱりさすがだったな〜、最終的な勝利にもロジックがあった
都合よすぎるで言えばいろいろありはするけどね、あんだけあちこちで発砲してて警察とか警備員が1人も出てこないし、というか冬村に至っては100人以上殺してるのに追われてさえいない
それってたぶん予算だったりで規模感をチューニングする中での取捨選択なんだろうし、殺し屋映画で細かいことを言わないのはお約束なのかもしれないけど、今回のように役所とかホテルとかが舞台になってくるとさすがに違和感も大きくはあった
規模感で言えばラストバトルもね〜、一騎打ちになるのが定番なのはよく分かってるし見応えも十分だったけど、イルカさん達がなぜそこに来てないのかが気になってしまったりはした
あとは「生きててよかった」の件、感動的なドラマであることは間違いないんだけど!!
ただでさえ倫理観のバランスがスレスレな中で楽しむエンタメなのに、味方だけはみんな無事でワイワイ焼き肉、なんなら誕生日を祝うというのはちょっと飲み込むのが難しかったな〜
もう少しこう、人間の尊厳に関してバランスの良い描き方はないものだろうか
かといって殺した相手のことを想いながらしんみり誕生日を迎えるまひろを見たいかと言うと全くそんなことはない、単なるないものねだりではあります
しかし今回は前作の兄弟にしっかり言及する場面があったり、倫理観そのものを象徴するような冒頭の少年が再び登場するあたりでも、命に対してドライすぎない視点を入れてくれてはいるからね!後味に深みがあるのはそういう部分もあってこそだと思う
あと冬村はせっかく魅力的なラスボスで、みんな大好きサイコパスキャラとしても他に類を見ないレベルで純朴な殺人鬼に仕上がってると思うので、予告等でここをしっかり売り出す方向にしなかったのはどういう理由なんだろう?とは感じた、もったいなさすぎる
いやはや、こんなにも面白いオリジナル邦画アクションがしっかり売れてるというのがとにかく嬉しいし、これで終わらずぜひどんどん拡大していってほしいところだけど!どうなんだろう
主人公の成長や変化があんまりない、というのはシリーズものが続いていく秘訣のひとつだと何かで聞いた、その意味ではどれだけでも続けていけるんじゃないか
今後もう新作が作られないとしても、このラストデイズを何度でも観て楽しめる確信がすでにある、本当に素晴らしかったです
とにかくまずはパンフを店頭でもたくさん売ってくれ、買えなくて困る