最低最悪腐れ外道男あるある、早く言いたい 「スピーク・ノー・イーブル 異常な家族」
面白かった〜〜!期待通りしっかり悪趣味、ばっちり不愉快、こういうのが観たい時ってあるんですどうしても
いろんなジャンルの不快感と恐怖をてんこ盛りで見せつけてくれるサービス精神の土台には、加害者・支配者としての男性に強烈なNOを突きつける視点があり、その部分も含めて満足です
塀に囲まれた家、箱庭的な閉塞感をググッと引いた画で見せる冒頭からしっかり不穏で、晴れてる前半・夜中の後半という分かりやすい対比も好きでした
その点も含めて前半と後半、はっきり別ジャンルの恐怖を味わう羽目になるわけだけど、全編を通して貫かれるジェームズ・マカヴォイの最悪っぷりがね!!!やはり素晴らしかった
無配慮で攻撃的、明るいけど暴力的、生理的な嫌悪感を全身でビッシャビシャに振りまきながらも!どこか憎めない部分もある、のか…?という絶妙なたたずまいに惹きつけられました
権威、支配、暴力、いわゆる男性的な悪質さのロイヤルストレートフラッシュ人間であり、しかも実力行使というよりは言葉で支配するスタイルなのが余計にひどい
それほど強烈なキャラクターでありながら、「こういうやつって割といるよね」と思わせてもくれる、普遍を叩き出す見せ方が素晴らしいなと感じました
期待以上に最悪で最高なジェームズ・マカヴォイ、、、一周回ってまた「スプリット」を観たくなった
「しつけに口を出すな」の論争も印象的だったし、ミッドサマー的に旦那を囲い込むシーンで画面からこぼれそうなほど巨大な塔をわざわざ映すのなんかも、やはり「悪質な男性」というものを描こうという強い意志だったんじゃないだろうか
真実が明らかになって以降の後半も、単純に逃げるとか助かるとかでは終わらせない、ねばっこい展開の連続で楽しかった…!
というか真実を踏まえて前半を振り返ると、「じゃあ、あれとかあれは素でやってたんだ?!」とパディの異常さが余計に際立つとこなんかも好きです
パディの奥さんに関することだったり、アントはいつあの場所を知ったのか?とか謎なままになってるところなんかもまぁ、これはこれで大いにアリなんじゃないかな
後半はとにかく過剰な程にピンチの連続、そのひとつひとつは既視感あるけど切り抜け方が鮮やかだし、エンタメに振り切ってるのでギミックとしては楽しめました
最後には自分が抑圧してきたものによって決定的な制裁を受ける、溜飲が下がるのと同時にビターな味わいもあるラストでこれまた好みのライン
これは同時に、居心地の悪かったしつけ論に対して、「子どもは親の知らないところで成長していくものでもある」とさりげなく示すラストでもあるように思えました
ちゃんとドラマを積み上げたうえで人間の善性が光る、可能性を信じられるラストというのはこの手のジャンル映画あるあるだとも思うけど
全体を通して描かれる「男性」の悪質さを踏まえたうえでの、ささやかな未来への希望とも取れるかな、と感じました
ちゃんと怖くてしっかり面白い、観たいものを過剰なほど提供してくれる作品といった感じで大満足です!!こういうのがしっかりシネコンでかけられてるの嬉しい
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