妊娠して初めて実感した親の人生と「無条件で愛されていい」ということ
妊娠・出産。女性の大きなライフイベントのひとつ。
つわりをはじめ、身体の不調やお産への恐怖、キャリアの中断。
よく言われるが、周りから見ると幸せオーラ全開の妊婦さんって案外ストレスフルな状態だ。
私もそんな現実を体験した妊婦の身だが、実は妊娠して自己肯定感が爆上がりした。(もともと低すぎる状態だったのもあるかもしれない。)
「無条件で愛されていい」という言葉が、初めて心の中でストン、と腑落ちしたのだ。
妊娠したから分かる親の苦労、親への感謝。
そして、自分が両親からどれだけ大切に思われているか。
この気持ち、この感覚を書き残しておきたいと強く思う。
「親の人生」を考えたことがなかった
「自分の人生」について考えることは多いが、「親の人生」はどうだろう?
正直、妊娠するまでほとんど考えたことは無かった。
「私がお母さんのおなかにいるときはどうだった?」という会話が、約30年前の両親の姿を私に教えてくれた。
不妊の経験、つわりの大変さ。
次の検診まで赤ちゃんが元気で成長しているか心配する気持ち。
人の親になるという未知の経験への不安。
仕事やお金のこと。
自身の体調の変化。
私がいま過ごしているような日々を経験しながら、両親は私の親になった。
初めてそれを実感した時、自分は親の人生の一部なんだ、両親のストーリーにとって重要で、かけがえのない存在なんだと気づかされた。
そしてその時、「自分は無条件で愛されていい」「存在しているだけで価値がある」という自己肯定感が、心の中にやっと芽生えた気がした。
おなかの赤ちゃんへの愛が気づかせてくれたこと
周りから見れば、恵まれた人生だと思う。
でも、性格のせいなのか環境のせいなのか、自己肯定感が低すぎて苦労することがたくさんあった。いつも何かに怯えているし、「条件付き」でなければ自信なんてもてないし、ちょっとした出来事で傷つき愛を疑ってしまう。
そんな感覚が染みついていた心でさえ
自分の中に芽生えた、おなかにいる赤ちゃんへの無条件の愛を知ったとき初めて、両親の自分への愛を心から実感することが出来た。
今の私と同じ気持ちだったのだと。
両親には両親の人生があり、たくさん傷つき、たくさん悩み、慌ただしい毎日の中で精一杯の愛情を子どもに注いだ。子どもは結婚して新しい命を宿した。こんな風に、親から見た私の人生は、親のライフイベントの一部でもあるのだ。
昔は鬱陶しく感じていた、「親になったらわかるよ」という言葉。
その意味と深い愛情が身に染みた妊娠期間。
こうやって人は丸く、深くなっていくのかな。
もうすぐ生まれてくる新しい命。新しい人生。それもまた、家族みんなの物語の一部になっていく。命の連鎖の中で、力強く、優しく、笑顔あふれる人生を送ってくれることを願ってやまない。
2023.4.19