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育休一年は長過ぎ?他 女性研究者について語る(後編)

こんにちは、海外で現役ポスドク(生命科学系)をしておりますポス山毒太郎と申します。このnoteはあくまで毒太郎の体験を元に、偏見に基づいた感想を語っていく場です。ですのでほとんど統計値などは出てきませんので悪しからず。

さて今記事は前記事の続きとなります。是非こちらを先にご一読ください。

今記事はまず、産休、育休に対して筆者なりの提言を述べ、その後に筆者が考える女性研究者の生き残りティップスを語りたいと思います。

あくまで筆者が考えるティップスなので、不足もあるかもしれません。その場合は、コメントやnoteでぜひご意見をお寄せ下さい。ただし、ここはあくまでブレインストリーミングの場です。



産休、育休に提言!!

前記事では産休、育休、特に育休後に研究にうまく復帰できない女性研究者が多いと述べました。特に育休は、『半年から一年、しかも女性だけ取る』ことが明らかに女性研究者が男性研究者に引けをとってしまう機会になってしまうと感じます。

というか見てきました。

あるプロジェクトを女性研究者が始めて、軌道に乗ったところで産休育休に入ってしまい、そのタイミングで他の研究者に乗っ取られるところを。。。もちろん乗っ取った研究者が悪いのではなく、教授の指示です。教授も世界と戦っているので、教授が悪いとも言えない難しい問題です。

そこで筆者は提言します!!

まず産休は1ヶ月程度にしましょう。そして『男女共に育休を取るのを義務にして、その代わり3ヶ月とする』のはいかがでしょうか?

二人同時に3ヶ月休んでもいいし、交代で合計6ヶ月になる様に休みとするのもありだと思います。これなら研究に大きな負担をかけずにほぼ男女平等で働けます。産休育休で”女性”のみ一年以上休むのは、そりゃ女性が不利になるに決まっています。

因みにこれは筆者が編み出した訳ではなく、ただの米国方式です。筆者はこちらの体験から学び、「男女平等を謳うなら」日本にも導入すべきであると感じました。

ただし実際には男性は結局育休を取らないケースも見られます。またこれは法律の問題もあるので、現行の日本で行うのは困難でしょう。

日本の慣習の影響も大きくあるかもしれません。「子供を生後三ヶ月から預けるなんてあり得ない」、「子供を育てるのは母親の勤め」とか「母乳で育てないといけない」とか思う方もいるかもしれません。ただし男女平等を謳うならば、この選択肢は現実的だと思います。

身バレが怖いですが、筆者夫婦は実際に米国での産休、育休を乗り越えました。確かに、もう少し赤ちゃんと接する時間があってもよいかもしれないという後悔もあるのも事実です。

ですが悪いことばかりではなくて、生後三ヶ月から子供を保育園に預けると、プロの先生に世話をしてもらえるし、何かあった時に色々相談できる窓口にもなってくれます。また一日中赤ちゃんの世話をするのは大変ですので、夫婦の負担も単純に減ります。

子供が乳幼児であれば、子育てより研究の方がよっぽど楽です。またこれは子供の生まれ持っての性格が強いかもしれませんが、子供が社交的になる可能性も高いかもしれません(根拠なし!)

またRPDの資格にかかる育休期間は意外と短いので申請できる様になりますよ!!

無痛分娩も個人的にはおすすめで、日本で普通分娩を体験した後に、米国で無痛分娩を体験すると、「あの壮絶な普通分娩はなんと意味のないことか?」と正直思います。もちろん無痛分娩にもリスクがあることは理解しています。

米国も保育園高すぎ問題があるし、日本もその前に保育園の拡充など現状のシステムの不備を是正する必要もあるでしょう。

留学中のお金について語った記事はこちら


実際には制度を変えるのは難しいので、もし女性研究者のあなたが産休一年が長すぎて、それによって仕事に支障が出ると感じたら、自分にマッチする環境(国)に変えてみるのも手かもしれません。ポスドクだったら、あなたが思ってる以上に世界各国動きやすいと思いますよ!!ポスドクだったらね(要注意)。


さて、ここからは筆者が思った女性研究者の生き残りティップスを語りたいと思います。男性にも当てはまるところが多いかもしれません。あくまでブレインストリーミングの場なので、ご了承下さい。

ちなみに筆者は別に生き残ってないので、ご注意下さい。ただその分、うまくいってる女性研究者のことは筆者なりに良く観察してるつもりです。


筆者なりのティップス

これを言ったら元も子もないですが、、、

昔ながらの片方が主夫、主婦になって、もう片方が存分に2倍働くというのも、選択肢としては全然アリだし否定する気はありません。昔は男性が働く側でしたが、別に現代なら女性が働く側でも構わないでしょう。

結局米国でも、、、

また米国でもPIを目指すなら、結局いい業績を出してから子供を産んでるケースが多いように感じるのも事実です。なので子供を作るのを遅らせるのも考えの一つではあります。これもイメージで申し訳ありませんが、米国では30代の若いPIも多いので成り立っているのだと思います。


受精卵のストック

ご自身の年齢を気にされる方は受精卵をストックすることを検討してもいいと思います。お金の問題はありますが、現代となっては普通の、当然のオプションだと思います。


SF味が強すぎる?

これはぶっ飛んでるかもしれませんが、将来人口子宮とかできたらいいですね笑。そしたら女性はかなり解放されると思いますし、少子化も少しはマシになる気がします。誰か開発してくれぃ!!素人ですがヒト化豚の子宮で育てるとかどうですかね笑?それだったら、機械的な子宮の方が可能性はあるのか。。。んーSFがすぎますかね。人口子宮で事故が起きたら、鬼のような訴訟問題になりそうだから無理かー。


やはり親に頼るべき

現実路線に戻りますが、ぜひ自分の親に子育てを頼りましょう。以前に述べましたが、筆者の周りの中国人共働き研究者ではこのケースが多く、夫婦双方のおばあちゃん二人が半年ずつで合計一年世話しに米国までやって来ます。日本国内であればさらに親に頼りやすいと思います。

中国人研究者について語った記事はこちら!!


夫婦で同分野研究

共働き研究者の苦悩記事で述べましたが、夫婦で同じ研究領域、ラボだと色々(実験や業績など)とに融通がきくと思います。筆者は残念ながら違いますが。。。
筆者が知ってる範囲で、夫婦でPIやってるケースは大体これです。全く別分野で夫婦PIはいるかもしれませんが、筆者周りでは聞いたことがありません。


Work from home配偶者を見つける

これも難しいですが、”work from home”の配偶者を見つけるのも手です。筆者の感想ですが、片方が実験系アカデミアで、もう片方がIT系やWork from homeのケースが、中国人夫婦では割といるように感じます。

彼ら彼女らと話してみると、そういう配偶者を少し狙ってるというか、夫婦としてwin-winの戦略にしてると聞いたこともあります。

バイオインフォマティシャンは業界で売り手なだけでなく、異性にもモテるのか、、、。


ラボ選びは特に慎重になるべき

またラボ選びもさらに慎重になるべきです。PIを狙っているのならぜひ、CNSを定期的に出しているラボを選びましょう。

もちろん男女で同様っちゃ同様なのですが、出産のある女性は、より早めにいい論文を出してキャリアを安定させた方が良いと考えます。結局成功者は若手時代に業績的なラボガチャを当てたパターンが多いかと思います。

またラボ見学で、産休育休を体験した若手研究者を経験したラボを選ぶのもありだと感じます。ラボ側でそれ(女性ポスドクの産休育休経験済み)を謳っているところもあります。ラボ見学に行った際は気軽に聞いてみましょう。

そこから産休育休経験済みのPIが排出されていたらなお良しです。

ただしその女性研究者は学生からそのラボにいて、データがまとまったところで産休育休を取って、“たまたま”研究に影響を与えたなかった可能性があったり、育休後、結局助教クラスで飼い殺しを喰らってる可能性もあるので気をつけましょう。

また下手な女性研究者がPIの場合、逆に「私が若かった頃は、、、」となる可能性もありますので気をつける必要があります。彼女らは自身が超人か、運が良かっただけの可能性が高いです。


妊娠を伝える時のティップス

当然妊娠の報告は直接した方が良いと思いますが、育休、産休系の大事なやり取りは出来るだけメールで行うことをお勧めします。言い方が悪いですが、教授陣は証拠として残るメールでは強気なことが言えないことが多いです。流石に会話を盗聴しろとは言いません。まあ教授に急に呼び出されて、信頼できないならやってもいいでしょう。


全て金で解決

ポスドクでは無理かもしれませんが、もし配偶者が会社勤めでかなりお金に余裕があったり、福利厚生が利用できる場合は、住み込みの家政婦(ベビーシッター、ナニー)を雇うのもありです。

ポスドクでも、住み込み家政婦とまでは行かなくとも、たまに掃除を頼むとか、育児を頼むとかは積極的に利用しましょう。米国では顕著ですが、金で大体のことは解決出来ます。

留学に纏わるお金の記事はこちら

単純に食洗機や、全自動洗濯機の導入とかでも良いです。よく言われるかもしれませんが、日本人は家事に時間をかけすぎだと思います。

あるドイツ人家族(共働き研究者夫婦)とたまたま夕方に同じ公園でピクニックした時に、彼らはベビーキャロットとクラッカーだけで夕食を終わらせてました。もちろんその日だけだった可能性もありますが、「Are you rabbits?」と聞くところでした。いろんな文化がありますね。日本人は毎食きちんと準備しすぎです。

まあ我が家で作ってるのは筆者なんですけどね!!


これらは筆者周りの女性研究者を観察して得たティップスですが、当然実際はケースバイケースです。書いていて思いましたが、男性研究者の生き残り術でもありますね。これは炎上覚悟と思いきや良記事では(自画自賛)?

日米のことが混ざっていてわかりにくいかもしれませんが、どれかが一助になればと思います。

筆者は少なくとも「頑張れば何とかなりますよー、この先生も夫婦PIでやってますよー」みたいな思考停止の綺麗事は言う気はありません。

彼女らは、本人が超人か、もしくは“たまたま”上のどれかティップスや、筆者も思いもつかない”ナニカ”を利用できた可能性が高いです。その場合はその”ナニカ”をぜひシェアいただければと思います。

ただし彼女らは無意識でナニカを利用できてる可能性が高いです。あいつらのコツとかを語らず、「私は頑張ってうまくいきました」はもう怒りを超えてちょっと面白いです。生存バイアスの極致笑!!

当然ですが苦労しないでPIになること自体は良いことで否定するつもりはありませんし、そういう人こそがPIになるべきだとも思っています。


昔はバリバリの女性研究者は、女を捨ててるケースも散見されていたみたいです。

以前に紹介したことのある、ある教授のあるエッセイでは、「女性研究者は一流目指すなら結婚するな、結婚しても子供とは作るな」と言っていました(意訳)。これでまあまあ叩かれていたみたいです。これも難しい問題です。

現状の日本のシステムでは、子供を作らない方が研究者として成功する可能性は高いと思われます。それを選択するのは女性研究者本人と配偶者のチョイスです。

そこで女性研究者の皆さん、留学はいかがでしょうか?少なくとも米国ですが、子供を作りながら活躍している女性PIもいますよ。筆者の以前の記事もご覧ください。

というかネットで出てくる女性PIって結局海外でPIやってる方が多くないですか?


筆者の結論は「結局運ゲーだから結婚もして子供も作って研究もして下さい」です(ある意味一番無責任)。残酷なことを言うと子供ができるかどうかは研究以上に運ゲーです。人生はそんな簡単にコントロールできません。

前回の記事であった、ある教授が言っていたように「女性を雇ったら、結婚、出産で研究をやめてしまうリスクがあるから女性研究者はそもそも雇いたくない」という本音は、育休制度などの男女差を少しでも是正することでしか解決には向かわないと思います。

ただし例えば筆者の提言で育休における男女差がなくなっても、出産は人生を、特に女性の人生観を変えてしまう大きなイベントです。仕事を辞める気がなくても、いざ産んだらあっさり仕事を辞める人もいるので難しいところです。

長々と書きましたが、こう言った議論は常に答えが見えません。皆さん、こんな長文読まされて筆者が結局何が言いたいかわからないと怒っていますか?

逆に考えてみて下さい。筆者程度の記事で答えが導かれてしまったら、もっと賢い誰かが先に答えを導き出していることでしょう(逆ギレ)。

ただし一つだけ言えることがある、男女共同参画の制度、お前はクソだってことだ。地獄を見るのは下の学生やぞ(前の記事参照)そんな大金があるなら研究費に回せ!!ラボを増やせ!!

いいねしにくい話題だと思いますので、いいねが少ないことは覚悟してます!!それでもいいねくださった方には感謝申し上げます!!

こんなティップスもあるというのはぜひコメントで教えてください。あくまでブレインストリーミングの場です!!

前回も言いましたが、日本の研究者界隈は否定しあって分断してる場合じゃないですよ。

最後に

以前にもこちらの記事で紹介しましたが、再度紹介させていただきます。

この"生命科学DOKIDOKI研究室"というテルモ生命科学振興財団が運営するサイトにあります、「生命に関わる仕事っておもしろいですか?」の部分では、女性教授含むPI達の簡単な自叙伝を読むことができます。

中高生向けのサイトとなっていますが、めちゃくちゃ良企画です!!

筆者からしたら、「皆さん坊ちゃん嬢ちゃんでええですなー、親の仕事の影響で学生時代に海外住みの経験がある人が多いでんなー」とやっかみの種にしかなりませんが、女性研究者として生き残るためのエッセンスを得られるかもしれません。知ってる方や、気になるPIがいましたら是非ご一読ください。

次回は禁断の「日本学術会議」と「老害研究者」に迫りたいと思います。みんなー、衝撃に備えるんだ!!

現場からポス山毒太郎でしたー。

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この記事に出てきたリンクと関連記事まとめ

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