勤務667日目 郵便屋は必ずバイク転倒を経験する
ぼくは十年以上スクーターに乗っていて、たまに車も運転するゴールド免許所有者です(自慢)。
スクーターは軽くて安全な乗り物なので、転倒したことはありません。
これで「バイクで転んだことないぜ」なんて自信をもつと、大きなバイクに乗ったとき痛い目を見ます。
ぼくは赤カブでこれまで何度も転んだ(倒した)ことがあります。
あらゆる路面を縦横無尽に走る必要がある上、後ろに大量の荷物を積むのでバランスもめちゃくちゃ。
冷静に考えたら転ばないほうがおかしい。
赤カブの運転はかなり危険なのです。
なので、不幸にもこの奴隷に就くことになった方々に知ってほしいのですが、あなたはバランスが身につくときまで必ず転んでケガをします。
深い切り傷深い擦り傷程度で済めば良いのですが、この仕事に就いて間もなく骨折入院なんて、マジでよくある話です。
ぼくは幸運にもそこまでのケガを負う前にバランスが身につきました。
が!!
先日、一年ぶりくらいに転倒してケガしたんです。
その件を含め、思い出せる限りのいままでの転倒をご紹介。
・初めて赤カブ乗車
局内で初めてカブで走行練習した日に転倒してケガをしました。
一本橋を繰り返し練習している際、一本橋から降りてターンするとき思うように切り返せず倒れたのですが、いい感じに足が挟まって傷を負いました。
思い返せばこのときのケガが今までで一番ひどかった。病院に行くほどではなかったのですが、数日足の痛みが続きました。
・砂利でターン
先輩にくっついて地図を覚える通区の際、砂利の家に駐車して、ターンしようとしたらそのまま倒れました。
悪路を走った経験がいままでなかったので、「バイクは悪い路面にクッソ弱い乗り物」とは知らなかったのです。
バイクというのは、国が道路を整備したから成り立つ乗り物なのです。
ちょっとでも路面に泥が溜まってぬかるんでると。
その泥の上を勢いよく走行すると。
死にます。
・はじめてのジャ○ネット
初めて大量のカタログ郵便が出た日。
法で定める積載を明らかに超過してボックスに積む必要があり(それがこの業界の普通)、当時のぼくはそれが初めてだったので、重さの危険を知らなかったのです。
車庫で積み込み、よく行くぞ、と乗車して重い車体を思い切り全身で押してセンタースタンドを外したら、バランスを崩してとなりのバイクをなぎ倒すように倒れました。
ケガはなかったのですが、恐怖がしみつき、以来重量と車体のバランスに気をつけるようになりました。
・サイドスタンド出し忘れ
郵便屋あるあるです。この仕事に就いた全郵便屋は経験しています。
サイドスタンドを出し忘れて、左側に車体を倒す。
ケガはしませんがなんかショックを受けます。
気をつけるようになっても、数回は繰り返しました。
いまは絶対にスタンドを確認してから降りています。
・水たまりに新しく砂利を敷いた家
穴ぼこが多くて大きな水たまりができる家ってよくあるのですが、ある日砂利を敷き詰めることがあります。
そんなことは知らずバイクで敷地に侵入するのですが(敷地からポストまで30メーターくらいある)新しく出現した砂利に車輪を取られて滑って転びました。痛かったです。ちょっとケガをしました。
・下り坂に停車
下り坂に家があり、停めたらそのまま倒れました。
ほんのちょっとの下り坂なら停車できるのですが、サイドスタンドのかかりが甘いと勝手に前に出てしまって倒れます。
・過積載で上り坂に停車
積載量には気をつけないといけません。過積載してはいけないというわけではなく、過積載しているときは特に注意してバイクを扱う必要があるということです。
もちろん過積載をしてはいけないのですが、この仕事上、守れないのです。
ただ、最近は郵便がぐっと減ったので、過積載してるなぁっていう日はほぼなくなりました。
で、積載が過剰な日。構造上、荷物は後ろに積むので、例えるなら後ろに巨体の人を載せる感じです。
その状態で上り坂に停める。
後ろが下がって、前輪が上がります。
ウィリー。
その日、ぼくは「定型外」を一切輪ゴムで束ねずにやっていたので、見事にばらけました。
天気がよかったのでまだ運が良かったです。全部地面に並べてその場で道順組み立てをしました。
様子を見に来てくれた近所のおばさんが「全部頭に入ってるのぉ、すごいねぇ」とほめてくれましたよ。
・全面砂利の家
そういう家はよくあります。侵入する際は絶対に気をつけていたのですが、慣れてしまって、ちょっとスピードを出して侵入してしまったのです。で、こけました。
・コケみたいなものですべる
なぞの敷物を敷いている家ってたまにあるんです。雑草対策でしょうか。
あれ、コケが生えるというか、めちゃくちゃ滑りやすい状態になるんです。
晴れの日は路面のコンディションがいいので、安心して走るのですが、そういうのが敷いてある家に侵入すると、突然車体が滑って勢いよく地面に投げ出されます。
・アイスバーンなのに配達に行かされた結果
この会社は「安全最優先」などと言っておきながら、とある一大イベントの日に、午前配達をどうしても完遂させたかったのか、雪が降ったあとのアイスバーンの路面で配達に行かされたんです。
ほとんどの人が転倒しました。
間違って誰か一人でも病院送りになれば問題になったのになぁ。
運のいいことに誰も大きなケガを負いませんでした。
・挙動が違うバイクで転倒
冒頭で書いた一年ぶりの転倒です。
ここまで様々な転倒を経験し、さすがに転ぶことがなくなっていたんです。どんな路面にも対応できるようになり、ちょっと滑ってもバランスを持ち直せるくらいまでバランスが身についたのですが、それでも転びました。
その原因なのですが、ぼくは普通二輪免許をとったばかりで、「自分がいつも使うバイク」というのがないのです。
いろんな人の110ccカブに乗るのですが、日々配達で酷使するので、バイクによって挙動や仕様が違うのです。
その日乗ったバイクはアクセルがスムーズなバイクだったのですが、右に切り返すとき挙動が若干おかしかったのです。
どっか部品がおかしいのか、右にハンドルを切ると動きが固くなるのです。
気にせずいつもの動きでターンしようとしたら、うまくバイクを曲げられず転倒。
このとき、バランスを持ち直そうとアクセルを入れてもがいたため、ズザザー! っと、自分の体と車体を少しひきずりました。
深い傷を負いましたよ。
とはいっても、初日のケガほどではないのですが。
・まとめ
いろいろと転倒を紹介しましたが、運良く他のなにかを巻き込むことがなかったので、警察沙汰にもならず、よかったです。
バイクを倒して車に傷、なんてこの会社ではよく聞きますから。停める位置はいつも気をつけています。
「重量」「路面状況」「ターン」
まとめると、この三つが主な転倒原因です。
新人奴隷のみなさま、このどれかが絡むときはどうか神経をすり減らしてでも気をつけてください。