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ワタクシ流☆絵解き館その14    葛飾北斎「諸國瀧廻り 木曽路の奥 阿弥陀ヶ瀧」(制作年・1833年)

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上の絵は「諸國瀧巡り」連作の一枚、「木曽路の奥 阿弥陀ヶ瀧」。
この絵は李白の漢詩を下に敷いているように思われる。現代文訳付きでその詩を示す。

廬山の瀑布を望む       李白 

日は香炉を照らし紫煙生ず
遥かに看る瀑布の前川に挂くるを
飛流直下三千尺
疑ふらくは是れ銀河の九天より落つるかと

(現代文訳)
日の光が香炉峰を照らし紫色のもやがたちこめている。
はるか遠くには滝が前方にある川に掛かって流れ落ちているのが見える。
飛ぶように早い流れはまっすぐ下へ三千尺落ちている。
天の川の最も高いところから落ちてきたのではないかと思うほどだ。

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実際にある阿弥陀ヶ滝を題材にしながら、ちょっと粋な滝見酒という場面を設定して、高雅な李白の詩のイメージを写してみたと言えるだろう。北斎の発想のもとには詩歌があって、その世界に影響されていることを証している一枚だ。

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