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詩の編み目ほどき

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読むほどに、こころの窪みに清涼のしずくを滴らせる詩を取りあげ、詩人の着想を読み解きます。
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詩の編み目ほどき⑫ 宮沢賢治「永訣の朝」

詩の編み目ほどき⑫ 宮沢賢治「永訣の朝」

今回は、宮沢賢治の名を不朽にしている名作の詩を読み解きたい。

            永訣の朝              宮沢賢治 

🧵① 詩に挿入した言葉は妹とし子の言葉だけこの詩の中では、賢治は語り部の役割を貫いていて、実際の場面で交わしたであろう自分の言葉は挿入しなかった。それは賢治の直感だ。自分の言葉は夾雑物でしかないと感じて、兄妹の会話体とすることでとし子の言葉を濁らせたくなかった

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