#105 アメリカからの電子メール
今年の7月からアメリカに留学しているクラスメイトから担任の先生宛に電子メールが届きました。
先生は、送られた写真を私たちにも見せてくれました。
写真に写る彼女は、すっかり現地の生活に溶け込み、ホストファミリーや学校の友達のもとで充実した毎日を送っているようでした。
本場アメリカのハンバーガーや、カラーガードというクラブ活動の写真は、いかに彼女がアメリカでに生活を楽しみ、多くの学びを吸収しているかを物語っていました。
私はその写真を見て、彼女が楽しんでいることに喜びを感じました。
それと同時にいろんな感情があふれてきたのです。
彼女と私との間に差があることを感じたのです。
差という表現が正しいのかわかりませんが、素直に100%喜べない自分がいるのです。
彼女は私と誕生日が近くて、球技が苦手で陸上や水泳が得意、成績優秀で誰にでも優しい人です。彼女と私はそれなりに仲が良くて、あまり人には話さないこともかのぞには話せるそんな関係でした。
私たちは同じ中学に入学して、同じ高校に入学しました。
同じスタートラインから始まったはずなのにもう彼女の姿は遥か前方にあって、見失ってしまいそうです。
私もずっと留学したいと思っていたのに、どうして彼女はアメリカにいて私は生まれ育った町から出ることなく過ごしているのだろう。
いったい私は今まで何をしてきたんだ。
彼女はいつも私を応援してくれたのに、どうして夢を実現させた彼女を素直に喜べないのか。
溢れた感情に一つ一つ名前を付けていくように、今の気持ちを去年の担任と母親に話しました。
すると先生と母の口からは同じ言葉が返ってきました。
留学は簡単なことじゃない。
私にだって十分わかっているはずの言葉でした。
頭をガーンと殴られたように…とはこのことかとハッキリ分かりました。
留学するのは簡単なことじゃない。
現地でやっていけるくらいの英語力が必要で、他の教科もちゃんと理解できていなくてはならない。
何よりも留学したいと思っているだけではダメで自分で留学エージェントなどを探し、試験を受けたりしなくてはならない。
「今のあなたを見て、前向きに『いっておいで』とは言えない。」という母の言葉と「彼女はみんなの見ていないところでめちゃくちゃ努力して苦しんで、それでも諦めなかった。」という先生の言葉は、私の心を震わせました。
彼女のことを生まれながらの天才と思い込み、羨んでいた自分が情けないです。なぜって、私はまだめちゃくちゃ努力して苦しんでいないからです。
めちゃくちゃ努力して苦しんで、もう嫌になっても頑張って諦めずに、私もこの手で留学への切符をつかみたい。そう思いました。
最後に彼女に向けて書きます。
素敵な報告をありがとう。
どうか体には気を付けてね。
あなたにレベルアップした姿を見せられるように私も頑張ります。
バイバイ!またね!