近代短歌(2.2)与謝野鉄幹(1873-1935)
大空の塵とはいかが思ふべき熱き涙のながるるものを
大空の塵とはいかが思ふべき熱き涙のながるるものを
(『相聞』)
【技法・内容】
二句切れ。三句目以降が倒置になっており、語順を戻せば「熱き涙のながるるものを大空の塵とはいかが思ふべき」となる。「いかが思ふべき」は反語、「ながるる」は自発。
「熱き涙のながるるもの」は語り手・一人称の私だろう。
無常観に襲われながらも熱い涙がこぼれる……行動に及んではいなくても、迸るような情熱が感じられる。
【空】そら
俳句では「夏(の)空