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世界で最も尊い宝石は何だろう。 まず思い浮かぶのはダイヤモンドだろうか。天然に産する物質としては、地球上で最も硬い石である。 しかし、ダイヤモンド鉱山は世界各地にいくつもあり、無色透明のダイヤモンドの希少価値というのは、実際にはそこまでではない(特殊な条件下で生成される、カラーダイヤモンドであれば別だが)。 希少価値が高い宝石として有名なのは、変色性を持つアレキサンドライトや、「宝石の国」の主人公としても登場したフォスフォフィライトなどだろうか。どちらも稀有な特性を
スキタイの羊、リコポデウムなどとも呼ばれた、伝説上の植物、それがバロメッツである。主に中世ヨーロッパで想像された。 バロメッツは、黒海沿岸、中国、モンゴルなどの荒野に分布する植物である。その実からは羊が生まれる。この未は蹄まで羊毛でできており、たくさんのウールが採れる。肉はカニの味がするという。 この奇怪なる植物、バロメッツについて、我らが南方熊楠先生が触れておられるので引用してみよう。 さて、いくつか補足しよう。 『旧唐書』の「払菻国」は、唐の時代に使われた
考古学が発展する以前、発見される打製石器・磨製石器は、雷石・雷斧などと呼ばれ、雷によってできた石であると考えられていた。 この説明は、文化圏に関わりなく、様々な地域でなされている。 石器と雷が結び付けられたのは、ある意味では必然的なものであった。 雷と雨は、しばしば同時に発生する気象現象である。激しい雷雨が降ると、地表面の土砂が洗い流され、今まで土の中にあった遺物が露出する。 その結果、雷のあとには、見慣れない石器が見つかるのである。 なお、日本では、石器を「
はじめに 強欲な人間であることに関しては自信がある。食欲と睡眠欲は人一倍だし、知識欲と好奇心は半ば化け物じみている。創作というアウトプットを好む以上、インプットに血眼になるのは自然な流れと言えよう。 そのような事情もあって、しばらく前から、何かに使えそうな知識を丈夫な手帳に書き込んでいる。 本を読んでいて出くわしたもの、聞きかじったものなど、雑多なあれこれを蓄えるのは、蒐集趣味も満たしてくれる。有意義な作業なのだが、一項目数行程度で済んでしまうこともあるため、なかなかペ
ご存じの通り「エデンの園」とは、『旧約聖書』「創世記」に見られる楽園である。神によってつくられた最初の人間、アダムとイヴは当初、この楽園に住んでいた。この場所でふたりは、老いることもなければ死ぬこともない平和な生活を謳歌していた。 失楽園に至るまでの経緯は、あまりにも有名であるので割愛するが、この「エデンの園」が、実際の地理の中でどこに当てはまるのか、という問題が、長らく議論されている。 現状、多く流布している説は、チグリス川とユーフラテス川の源流、ザクロス山脈付近