「PORTOは帰ってくる場所」PORTOスタッフ:ゆうこさん×さおちゃんの今
PORTO(ぽると)は、兵庫県神戸市の中心部・三宮にある「おやこの世界を広げるサードプレイス」です。大人もくつろげる室内遊び場で、一時預かりや各種イベントなども開催しています。
PORTOのことをもう少し深く発信する上で、関わる「ひと」というところからお伝えできれば、とスタートしたインタビュー「PORTOなひとたち」。
第3弾は保育士スタッフのさおちゃん(山本紗織さん)とゆうこさん(吉田裕子さん)のクロストークです。
さおちゃん、ゆうこさんのお仕事ヒストリーを踏まえ、PORTOで働くようになって感じること、これからしたいことなどについて聞きました。
保育園とPORTOの違い
ーPORTOに関わるようになって、これまでの保育観から変わったことはありますか。
ゆうこ(以下 ゆ):保育のスタンスや子どもへの視点などは変わらないけれど、PORTOでは自分のままでいられるなぁと感じます。保育園で働いている頃は【保育士1:子ども6】等、子どもたちの前では自分が引っ張らないと、と常に感じていたので。
さおり(以下 さ):今も、予測できない子どもたちの動きを安全に見守るというところは変わらないものの、1人で把握する人数が多い分、何をしていても怪我しないように、どこにいるか、などが最優先でそれぞれのお子さんに向き合う難しさがあったなと感じています。
ーわたしも保育所勤務時代はこまめな人数把握、次の流れを考えた時間配分、、、といつも何かに追われていた記憶があります。保育園では引っ張っていく立場にあることで力が入っていたところが、PORTOでは少し肩の荷が降りたような感覚はありますね。
さおちゃんは、PORTOで働くことで何か変化はありますか。
さ:わたしは今、対等に子どもたちと関われていることが嬉しいです。対人間として、1対1、『○○くんとわたし』として一時預かりのときなど向き合っています。ここに年齢差はあるけど、大人とか子どもとかの概念がなくなって、一緒に楽しむ『人と人』として向き合えてることが楽しいです。
子どもってかわいいな、おもしろいなと純粋に思えていた中学生くらいの頃の気持ちに近付いているというか、こんな風に子どもと関わることが仕事になったら楽しいだろうなーの夢が叶っている感じがします。
ー確かに、PORTOの一時預かりの時間は人と人の交流というか、一対一を楽しむ時間になってますよね。子どもたちもお家の方がいる時には見せなかった表情や表現などが見られたりして、また新しい子どもの世界を見ているところもあるなあと。
PORTOは、頻繁に来てくださる「マンスリーパス」(月額で1ヶ月間回数制限なく平日利用出来るプラン)をご利用いただく方もいらっしゃいますが、混雑状況も日々異なり、初めましてのご家族やおとな、こどもとの出会いが多いですよね。その点での難しさなどはありますか。
ゆ:日々親子が通う保育園と違って、皆さん必ずしもまた次回があるわけではないから、子どもに対しても、お家の方々にかける言葉にしても、どこまで、どんなお声掛けをしようかなと考えることはあります。また特に、保育観や子育て観の決めつけや押し付けにならないようにというのは意識しています。
さ:PORTOでの出会いは一期一会だからこそ、以前に来られたお子さんの成長が見られると嬉しいですね。お子さんの姿を見て前回来ていただいていた時のことを思い出し、こんなこと出来るようになったんだと、お家の方と成長を喜びあえるのも楽しいです。
ーそうですね。子連れでのおでかけは気を遣うことも多いので、ここではゆったりと、お子さんと家族の時間を過ごしてリフレッシュしてほしいですよね。PORTOがほっと一息つける場所、心の荷が下ろせるような場所でありたいなと感じています。
PORTOは職場であり、帰る場所
さ:それに近いのかもしれませんが、今のわたしにとってはPORTOは「帰る場所」だなあと感じるようになっています。ベイビーシアターに出演するために何日かPORTOをお休みし、久しぶりに出勤した時に、なんだかホッとして。職場なのに「ただいま!」と言いたくなるような気持ちになったのは、初めての感覚でした。
ゆ:私も、何日か家庭の事情で出勤できなかった時、さみしい気持ちになりましたね。
ーそれはなかなか職場にもつ感情として珍しい感情かなと感じますが、興味深いし、なんだか嬉しいですね。今後、何かPORTOでやってみたいことはありますか?
さ:これ!と言えるものは今はないのですが、演劇で出会った大学生には「なんかあったらPORTOにおいでー」と声をかけています。PORTO Table&Bar(PORTOの営業時間終了後、週末を中心に週1〜2回OPENしている、子連れで楽しめるBAR空間)を始めたこともあり、子育て中だけでなく、いろんな方々と出会って話せる場所はあまりないし、だからこそ価値があるのではと感じているので、もっとごちゃまぜになったら楽しいなと思っています。
ゆ:子育て中のおとなが元気になることで、こどもたちも豊かになると考えています。おとな自身が、何か自分の好きを見つけるきっかけになるイベントを企画したり、楽しいを実感できる時間を作れたらと考えています。
ー「おやこの「ための」サードプレイスではなく、おやこの「世界を広げる」サードプレイスと名乗っているだけあって、おとなのみなさんにも、いつもの役職や肩書きから降りて、自分に戻れる場所になると嬉しいですよね。
ゆ:子育て中であっても多様な選択ができる、いろんな願いが叶えられる場所のひとつをPORTOが担っていけたらと考えています。今までももっと育児や働き方の選択にグラデーションがあったらいいなと感じていました。いろんな働き方ができるようになった今だからこそ、おとなの人生を楽しみながら、子育ても楽しむという考え方に、もっと寄り添いたいですし、子どもを社会で育てられるようにしたいと考えています。
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【編集後記】
職場であり、帰ってくる場所というさおちゃんの言葉がなんだか嬉しく、ご利用いただく方々にもそう感じてもらえたらいいなー、、、と思いを巡らせたりしました。
また、ゆうこさんの「様々な選択肢に寄り添いたい」という思いも、PORTOがある意義のように感じました。これまでの施設と近いようで、ちょっと違う、PORTOだからこそ出来る事、伝えられる事を考え、多くの方々に届けたい!と再認識する時間になりました。
(聞き手:みほ)