嘘喰い

隣り合わせにしたその座席
呪文のようにつぶやくその嘘は
いつか現実に沁み込んで
呪いように居座った

離れてくれと願っても
離れずに 時々 胸を苦しめる

空いたもう一方の席に
僕が座り込んで
一つ決めたことがあるんだ

君が記憶を騙して付いた嘘を
僕が取って食ってやることをしても
君の罪は消えないから
そっと隠して置きたかった気持ちを
僕がずっと見守っててあげる

向い合わせに見たその瞳
思いを砕かせるような眼光に
全てを吸い取られないよう
かざせるものは無かった

空いた心の隙間に
無理に詰め込んで
軋むこと分かっているんでしょ

君が心を守って付いた嘘が
未だに引きずって離れないならば
僕がそれを食べてやる
その目を腫らせるのに掛かった時間は
取り戻せやしないのだけれど


君が今まで付いた全部の嘘を
僕が吐いて観たいというのであれば
君の形が無くなるまで
そばに居すぎて見えすぎた形を
メチャクチャにしてやりたいから

僕は君の嘘だから

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?