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【第1章のみ】管理職の人が最初に読む人材育成のススメ

はじめに

みなさん、はじめまして。
現在トヨタ自動車の関連企業で人事労務として勤務する傍ら人材育成コーチとしても活動をしているりょうじと申します。

この本を手に取られたということは、少なからず人材育成というものに携わっておられるか、興味をお持ちのことと思います。

現在様々な企業で行われている人材育成の手法は、昔ながらの非効率なものが多く存在します。
どれだけ時間を掛けても、精神論や根性論がメインのスパルタ式の手法ではあまり効果はあがりません。

これからの時代に本当に必要なのは、行動心理学などに裏付けされた「正しい人材育成の手法」であり、その1つがコーチングと呼ばれる、1対1の対話をベースとしたコミュニケーションを重視した育成手法です。

リーダーや管理職と呼ばれる人たちが1日も早くコーチング手法を取り入れ、メンバーの潜在能力をいかんなく発揮できることが、これからの企業の生産性を高めるうえで必要不可欠であると思います。

本書がその一助となることを願っています。

       人材育成コーチ りょうじ

第1章 管理職の仕事内容を理解しよう!

「管理職の役割と資質について考えてみよう!」

会社や部署から期待されている役割について、考えたことがあるでしょうか?

管理職になる前は目の前にあるタスクをこなすことで精一杯で、そのような視点に立って業務全体を俯瞰することってほとんどなかったかもしれませんよね。

経営の大前提として企業というものは、「ヒト、モノ、カネ」(情報が含まれる場合もあります。)というリソースをいかに効率良く使うことで成果を上げ、利益を得ていくことが求められています。

もちろん「ヒト、モノ、カネ」という経営資源は無限にあるわけではないので、これを管理し、または無駄のないように効率良く活用するための人材(=管理職)が必要なんですね。


そこで管理職の仕事とは、大きくわけて以下の3つがあります。

◇人材を育てること
◇売上などの経営目標の達成
◇組織のまとまりの維持

この中でも特に重要視されるのが、「人材の育成」なんですよね!

それは「ヒト」が秘めている成長性やポテンシャルという部分においては、「モノ」、「カネ」とは違って価値が変わる(=育て方次第で大きな戦力になる!)というところにあると思っています。
(そもそもヒトの価値ってお金やモノに置き換えられないですからね。)


ここで注意していただきたいのは、この3つの仕事の重要度や緊急性というのは、企業の成熟度や経済環境などによって様々な影響を受け、常に変化しているということなんです。

特に今のような不況時においては、大胆な経営戦略を実施することが困難なため、今あるリソース(=人的資源の育成や強化)が重要な意味を持つんですよね。

 1-1.経営陣と現場をつなぐパイプ役!

管理職の中でも、いわゆる「中間」管理職と呼ばれる人たちがいます。

今まさに昇進や昇格を経て、初めて部下を持つに至ったあなたはまさに中間管理職ですよね!

ここに位置する人たちには宿命と呼ばれるほどの関係性があります。
ドラマなどでもおなじみの、「上からのプレッシャー」と「下からの要望の突き上げ」です。

こうした上からも、下からもの板挟み状態によって、心身ともに疲弊していく管理職をたくさん見てきましたし、私自身も少なからず似たような環境下で苦しんだこともありました。


(上層部から日々山積みされていくタスクと、下のメンバーからはサポートを期待される重責が両肩に重くのしかかるようなイメージですね...。)


「管理職はツライなー。」といわれるゆえんは、まさにそんなところにあると思います。

がしかし、管理職の仕事はこの上下からのプレッシャーに耐えることでは決してありませんよ。

むしろ経営陣などの上層部と、配下にいるメンバーをつなぐキーパーソンとしての存在意義こそ管理職の証なんですよね。

極論すればただの上下の情報伝達なら、小学生であってもできますから!


つまり上層部の指示の意図するところを自分なりの解釈を持って理解し、そしてその解釈に基づいてメンバーの特性(強みや弱み)にあわせて業務指示をだすことこそが、管理職に求められているんですね。

こういった役割にいち早く気付くことができれば(気付く機会に恵まれれば)、心が折れることもなく「管理職としての仕事の面白さ」を実感しながら成長を続けていけると思います!

 1-2.現場で成果を出した人ほど成果が出ない?

スポーツの世界ではこんなフレーズがありますが、ご存知でしょうか?

「名選手、名監督にあらず。」

文字通り、名選手であっても必ずしも名監督になるわけではなく、名監督の資質は別の部分にあるんだよ、という意味なんですね。

これは会社という組織においても同様です。

もちろん管理職になるには、一般社員のときにそれ相応の成果を出すことが必要です。

「同期の中でも営業成績トップなのになぜ管理職になれないんだ?」
とか、また逆に
「営業成績も振るわないのに、自分がなぜ管理職に昇格したのだろう?」
というセリフを耳にすることがありませんか?

なぜこのようなことが起きるのか、考えてみてください。

その答えは明確で、管理職と一般社員では「求められている役割」が違うからなんですよね。

つまり管理職にはたとえ営業成績がトップでなくても、個々のメンバーの長所を引き出し、また短所を相互に補えあえるチーム作りができる能力を持つ人がふさわしいんです。

だからメンバーとの信頼関係と、それをもとに人を動かす能力が必要不可欠であるといえると思います。


◯一般社員に求められる能力◯
・正確性
・主体性(積極性)
・協調性      など


☆管理職に求められる能力☆
・決断力(判断力)
・柔軟なコミュニケーションスキル
・リーダーシップ
・バランス感覚   など

 1-3.管理職に必要な能力ってどんなこと?

先ほど説明したとおり、管理職の仕事はメンバーのスキル・能力を把握し、適切な業務に当たらせること。
そしてそれによって、チーム全体が成果をあげられるようにすることです。

そのためには、問題発見の嗅覚やその課題やトラブルを乗り越える実行力、そしてときには仮説と検証を繰り返す論理的思考力などが必要となってきます。


当然優柔不断であったり、発言の主旨に一貫性がなく方向性がちょくちょく変わるようでは、メンバーはついてこないでしょうし、チームもバラバラになってしまいます。

ただ実務上のスキル・能力が十分であればそれでいいかというと、それだけではやはり不十分なんですよね。

では欠けているピースは何なのか?というと、それはまさに「メンタル」なんですよね。

具体的には判断する際に公平感(バランス感覚)を持つことや、熱意や想いという人の心を動かせる要素がないと、杓子定規で融通が効かない部下のモチベーションを下げてしまう存在となってしまいます。

つまり自分自身のスキル・能力とメンタルのバランスが取れてこそ、管理職として活躍することができるといえるんですね!

 1-4.リーダーシップに正解はない?

管理職になるとこれまで以上に、責任の範囲も質も大きなものになります。

チームとしての経営目標が未達となってしまったときや、メンバーのミスで会社に損害を出してしまったときなど、管理責任を問われることにもなります。


このように責任問題に発展してしまったときこそ、管理職としての資質が問われるときなんですね。

責任問題が生じたときに、一番やってはいけないことがあります。

そうです、責任を逃れるために誰かに原因を押し付けたり、その状況から逃げ出してしまうこと。

もちろんミスの原因を正確に把握することは、再発防止の観点からも非常に大切なことですが、だからといってメンバーのせいにしたりするのは絶対にNGですし、メンバーの信頼関係も壊れてしまいますよね。

チームのメンバーは上司のそういった態度や言動をしっかりと見ているものです。

上司が問題に対して当事者意識を持ち、メンバーの失敗に対してリカバリー案などを提示したりして、その難局を協調して乗り切るんだ!という姿勢を見せることができれば、お互いの信頼関係はより厚くなるはずです。

そして結果的にそのチーム全体の士気やチームワークも以前よりきっと強固なものになっていきます!


よくリーダーシップに正解はないと言われますが、先頭を切ってグイグイみんなを引っ張っていくのもリーダーシップのひとつの型ですし、あくまで後方からみんなの背中を押してくれるリーダーシップもひとつの型なんだと思いますね。

特に管理職になったばかりのときは、自分にあったリーダーシップの型がわからないため、あれもこれもといろいろな手法や進め方をとってまわりを混乱させてしまうことがあります。
(私自身もそうでした...。)

ただそれも自分に見合ったリーダーシップを見つけるまでのプロセスだと割り切って、迷いながら進んでいくのことも結果的には必要なことだと今は思っています。

とにかく悩んで、行動して、自分のリーダーシップの型を見つけていきましょう!

 1-5.メンバーのための時間を確保しよう!

管理職になったとたん、一般社員の何倍も忙しくなります。

それは通常の自分の業務だけではなく、自分のチームのメンバーの仕事の進捗や課題に対しても管理義務が発生するからなんですね。

かつて自分自身が一般社員のだった時を思い出してもらうとわかりますが、上司の決済や判断を待っていることで時間が経過してしまった、という経験があるのではないでしょうか?


今度は逆の立場で、自分がメンバーのための時間を捻出する必要があるのです。

このメンバーのための時間を確保することがなぜそれほど大切なのか、わかりますか?

それは「やり直し」や「方向性の相違」を極力防ぐためです。
完成した段階でそもそものコンセプトが間違っていたら、膨大な「やり直し」が発生してしまいますし、取り組んでくれたメンバーもモチベーションが下がるでしょう。

自分が取り組んでいる仕事であれば、自分自身がすべてを把握しているため、方向性やゴールイメージの違いなどの問題はほとんど発生しません。
しかしメンバーに任せることで、その任せた部分の業務の成果を、管理職は保証する責任が発生するんですね。


そしてそのときに必ず取り入れなければならない考え方が、タイムマネジメント(時間・工数管理)なんですよね。


期限のない業務など存在しませんから、アナログですが手帳、またはITツールとしてPC・スマートフォン、タブレットのスケジュール機能を活用して、とにかく時間軸のコントロールを徹底してみましょう。

ポイントとしては、締め切りをゴールとして逆算で各業務の工数や期限を見積もること。
そしてその際にギリギリの見積もりをしないこと。
 ※ある程度のバッファ(余裕・ゆとり)をあらかじめ見込んでおくのも良いでしょう。


そうすることでもし見積もった工数をオーバーしても、チーム全体の進捗に支障をきたすケースも徐々に減ってくるはずです!


【コーチングであなたの未来を照らします】会社員と兼業で『トヨタ式人財育成×コーチング』を実践するプロコーチ|フォローすると自分の大切な価値観に気づけて、強みと本当にやりたいことが見つかるよ|あなたの夢をすぐ隣で応援します|林健太郎コーチのCCP在籍|コーチング実績250名以上