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バンタンの文学、物語の続きはどうなるのだろう

バンタンの曲のそれに込められた背景や思い、意図を辿っていくと、多くの人が周知の通り、かなり文学的なモチーフを取り入れていることに突き当たる。RMが歌詞の作成に多く関わっているのは知っているが、それだけでなく、ストーリーや背景を考える西洋文学に精通した特殊部隊が影にいることが伺える。

セウォール号事件に思いを込めた「Spring Day」、 MVの中に登場する看板に書かれた文字はOmelas。「オメラスを歩み去る人々」というSF小説がモチーフになっているらしい。オメラスというユートピアのような豊かな国がある。ただ、その国の反映は、実は地下室に繋いがれた1人の子供の犠牲によってなりたっている。でもこの子を助けてしまうと、国中の人々が飢饉や戦争などの危機にさらされることになる。オメラスの若者たちはこの事実を知ると苦しむが、この子を助ける人はいない。事実を知った後、今享受している幸福をより大切にする。しかし、彼らとは別に、オメラスから去っていく若者がいる。向かう先は書かれていないが、彼らは自分の行く先を知っているかのようなしっかりした足取りで去っていく。個人的意見だけど、私はこのしっかりした足取りで去っていく若者とバンタン7人が重なってしかたない。きっと自分たちが盾になって何かに向かっていくんだろうな、と。これってONのmvにも似てる感じがある。あくまで勝手な印象だけど。springdayで、ジミンが海辺でスニーカーを拾う。木に結ばれたスニーカーや、山になったたくさんの若者の服の中に埋まるメンバーたち、メリーゴーラウンドに結びつけられた黄色のリボン(セウォール号の犠牲者を追悼するため港にたくさん結び付けられていました)。これらのことを知って、このMVを見たとき、背筋に何かが走り、涙がとまらなかった。この事件で犠牲になった高校生たちは97年生まれだそうです。


大好きな「Epiphany」。 Epiphanyとは、聖書の中に書かれていることで、東方の三人の博士が旅の途中イエスの誕生を目撃したことを言う。永遠に対する悟りや洞察と向き合う瞬間の意味。

ジンくんのソロ曲「Epiphany」のMVは、まるで長編映画のエンドロールをスクリーンでみているように美しい。ジンくんの美しい横顔と透き通った高音。その映像と、世界の歴史的瞬間の出来事とが繋がったような、なんとも神秘的な気持ちになる。最後のハングルは、「自分自身を探す旅の果てにたどり着いたのは元の場所。すべての始まりでもあるそれをこれから探してみよう・・」というような内容。海岸のトラックは「RUN」の最後にでてきますよね。とにかく色々繋がっていて、すべてが映画仕立てになっている。

他にもバンタンの歌にまつわる物語はたくさんある。「Not today 」。マーサールーサーキングスジュニアの「飛べないなら走れ・・いずれにしても前進せよ」、という内容の演説から引用されているという、とか、
singularity、euphria、ペルソナ・・まだまだ勉強しないと。

学校三部作、青春三部作、Love Yourself へ。儚い心を持つ少年たちがその成長の過程で、たくさん傷つきながら様々な経験を通して、自らを他者を愛することの大切さを見出していくストーリーである。「花様年華」、これがとても難儀で、花様年華note1,2という物語本があるんだけれど、それを読んで、MVを見て、、時系列にノートに記入して、という作業をしてもまだなかなかまとまらない、、(´;ω;`)。いつかちょんとまとめたいと思うのだがいつになるか・・・

バンタンの曲やMVの、それぞれの物語の中には、細かい伏線やヒントがちりばめられていて、その小さな繋がりや仕掛けを探すのがとても楽しい。まるで感動的な推理小説を読んでいるかのよう。彼らの優れた歌やパフォーマンスだけでなく、これがバンタンの根底にあるから、多くの人の心を惹きつけて止まないのだと思う。

コロナという特異な世界事情がなかったら、そしてグラミー賞受賞(今日の時点ではまだノミネート、だけど)などという偉業がまだなかったとしたら、その先はどういう構想だったのだろう。これだけの壮大なドラマを作り上げ、バンタンと自社をここまでに成長させたビッヒだから絶対考えていることはあるはず。ただ、「Be」は、このコロナの状況下で、ファンを元気づけようとメンバーがそれぞれ自由な発想で曲を持ち寄ったアルバム。言い方を変えれば、偶然辿りついたともいえる。これまでの一連のストーリーとは別の出来事だ。RMも、コロナがなかったらBeもダイナマイトもなくて、この栄誉もなかったかもしれない。僕たちはアーミーの愛を得ているから、グラミー賞など取れなくてもいい、って言っているけど、でもなんだかほんとにTOPに立ってしまいそうだ。そうしたら、物語は、突如最終回になってしまう。

彼らだって、世界の頂点を見てしまったらそのあとのモチベーションはどうなるのだろう。ましてやまだまだこのコロナの時代は続く。オフラインのコンサートもできず、アーミーの生の声援も聞けない。その中で、最終目標とされていたものを手に入れてしまった彼らを突き動かすものはあるのだろうか。

私たちのバンタンはどこにいくのだろう。

一人のアーミーとしての勝手なお願いだけれど、パート2として新しい物語を作ってくれるとしても、続編を続けてくれるとしても、どちらでもよいから、まだしばらく今の7人のままでいてほしい。タリュラであんなにも私たちを笑わせてくれる純粋な少年のままの7人で、まだもう少し、物語を紡いでいってほしい。

グラミーの発表前に、不安な気持ちを書き留めておきたかったので、とりとめもないこと、書きました。


※書籍やネットの情報等参考にさせて頂きました。

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