
西方見聞録_day3_アテネ②_細く、長く。続いていく街
イタリアへ渡るフェリーの日程が噛み合わず、アテネにもう1泊する必要があったのでこの日はアテネの遺跡以外の街を見て歩くことにした。


擬態し過ぎや!

これは亜種のlime
最初はアテネの国立図書館へ向かいました。
何やら中で改修?なのか、いろいろとやっているみたいで入ることはできず。

しかし、さすがはアテネの図書館と大学、迫力がすごい。新古典主義の様式で作られているためできたのは比較的最近とのことですが、いかにも権威ある学び場!という感じが演出されていますよね。
西洋建築の様式のすごいところはやはりそれを用いることによって圧倒的な歴史の蓄積を表現する事ができるとともに、細部までのディテールの作り方も一定のルールや様式があるので空間全体の密度が上がって迫力が出るんですよね。

大学っていう空間はかくあるべきという感じがしました。先日東大のキャンパスを観させてもらったのですが、近代建築の意匠やアーチの様な新古典的な様式も結構多く使われていて、とても素敵だなと思ったので、日本でもある程度空間として内部完結する大学は学ぶべきだなと思いました。
東大のキャンパスの改修などは香山先生がメインでやられて来たようで、先日建築棟にも入れてもらい、改修もみました。かっこよかったです。
一方、使っている人の感想(土木工の人)としてはやっぱり古くてコンセントがないなど使いにくいみたいです。
ん~~難しいところです。
閑話休題
その後歩いて、地元の市場へ




海外の市場って良いですよね。
日本はやはり衛生的なことに関して敏感なので美しく丁寧に調理・解体をしてもらえ、それはそれでありがたいのですが、海外だと生き物を解体するというある種の生々しさが清潔さにパッケージ化されずに市場に溢れています。いつもとは違った感覚をもらえるのが好きです。
続いて新アクロポリス美術館へ向かいます。



ここは地下の遺跡を見せるために1階の床が半透明で、それに伴ってメイン部分の床は2階3階共に半透明のガラスのスラブになってました。
つまり上を見上げると、上の階の人の足元を下から覗けてしまうわけで、なかなか挑戦的な設計でした。なんであれが許されるんでしょう?
不思議なことばかりです。

内藤廣さんの朝倉遺跡資料館を思い出しました。
途中の休憩スペースからの眺めが良くこの日は他にすることも思い当たらなかったのでそこで30分ほどスケッチしてました。
そこからまた街を散策&昼食兼夕食






この日一番印象に残ったのは、国会の前にある「無名戦士の墓」での儀式。

街の中心、国会議事堂の前にその場所はあります。
ここはトルコ戦争で無くなった戦士たちの墓で、24時間365日、近衛兵がその前を守り続けている場所のようです。毎時00分になると交代の儀式が行われています。
今に至るまで、忘れてはならないその街の記憶や歴史を儀式として継承し続けるというのはお祭りなどが思い浮かびますが、それは概ね年に1度派手にやるという感じですよね。
ここは毎日、粛々と守り続けるというやり方で、初めて見るものだったのでとても心を動かされました。細く長く、その記憶を更新していくというあり方があるんだなあという感じで目からウロコでした。
日本にもこういった風習が残っている地域や場所などってあるのでしょうか?今度調べてみようと思います。

今、イタリアを見終えてこの記事を書いているのですが、なんかこの儀式の細く長くって感じは街の雰囲気としてギリシャが持っている良さなのかなと思うようになりました。
ローマとかはドーーーーンッ!って感じの街の雰囲気なんですよね。
ギリシャでは、電車のなかはほとんどの人が本を読んでいたり(しかも分厚いやつ!)、お店の人とかもイタリアほど陽気って感じでもないんだけど、目の端で捉えてはくれていたりして。
気長で、受容性が高いというか。
例がこの2つくらいしか思いつかなかったのだけれど、そういった細く長く続いていく様な街の雰囲気が素敵だったなあと改めて思いました。
この細く長くっていう表現は、研究室の先輩が使っていたのですが今その意味がすごく良く分かりました。


この日はあまりにも気温が暑く、疲労も相まって宿に帰ってすぐに寝てしまいました。
