ヤマアラシ

大学院の修士2年です。建築の視点から都市計画を学んでいます。旅と写真と人が好きです。

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最近の記事

    • 西方見聞録_day3_アテネ②_細く、長く。続いていく街

      イタリアへ渡るフェリーの日程が噛み合わず、アテネにもう1泊する必要があったのでこの日はアテネの遺跡以外の街を見て歩くことにした。 最初はアテネの国立図書館へ向かいました。 何やら中で改修?なのか、いろいろとやっているみたいで入ることはできず。 しかし、さすがはアテネの図書館と大学、迫力がすごい。新古典主義の様式で作られているためできたのは比較的最近とのことですが、いかにも権威ある学び場!という感じが演出されていますよね。 西洋建築の様式のすごいところはやはりそれを用いる

      • 西方見聞録_day2_イドラ島と槇文彦

        ギリシャ2日目。 僕が一番好きな建築家の槇文彦さんが著書の中でたびたび言及していた、「イドラ島」へ向かうことにした。 朝6時半に起きて、電車に乗り港へ向かう。 フェリーのチケットをオンラインで買ったのだけれど、チケットには乗り場などの情報は何もない。 買ったお店の住所をgooglemapへ打ち込み、港から反対方向へ徒歩5分のその場所へ向かってみることにした。 乗船時間まで残り45分。(20分前にはチェックインとチケットに記載が) ところがどっこい行ってみるとなんと店そ

        • 西方見聞録_day1_アテネ

          建築を勉強すればするほど、今の日本にとって「近代」がどれだけ重要だったのかを感じることが多くなってきました。 町に駅ができ、電気が通り、道が舗装されてゆき、建物それ自体もインフラの整備や戦災の影響、経済発展に伴い旧来の家屋から、欧風化した家や鉄筋コンクリート造の建物で街並みが構成されるようになりました。 この駅や電気、道路、そして建築、また法律に至るまで、近代と共に西洋から日本に輸入された様式が、その輸入元となる西洋では今現在どのように扱われているのか。あるいはそれはどの

          白か黒かだけで世界を塗りつぶさないで

          はじめに 今の世の中のなんとも言えない心地悪さに日々を圧迫され小波(さざなみ)状態になった私は、逃避するように書店へ向かいました。何の本を読もうか迷っていると、千葉雅也さんの「現代思想入門」が目に入り、手にとっていました。特に選んだ理由はありません。目次を読んだら、なんか面白そうだった、それくらいの理由です。 直感で選んだ本なのですがこれがまあ面白く、一瞬で読み終わってしまいました。他の本も読んでみたいと思い、最近出版された「センスの哲学」をすぐに買いに行き、研究の間に読

          白か黒かだけで世界を塗りつぶさないで

          「主観」の人生の時代をどう生きるか -すずめの戸締まりより-

          昨晩の金曜ロードショー すずめの戸締りを見て、まさか街を閉じてゆく話とは思っておらず見入ってしまいました。そこで思った感想をメモ程度に。 すずめの行動原理 すずめの行動原理が最初不思議に思えました。 死ぬのが怖くないのかと問われ、怖くない!と即答する、高校生が持つにはあまりにも達観している価値観にギャップがあるなと思いました。 しかし、物語を通じてそれは過去の震災で生きるか死ぬかは運命のようなものということを徹底的に分からせられた彼女自身の経験からきていたということで納

          「主観」の人生の時代をどう生きるか -すずめの戸締まりより-

          オッペンハイマー

          昨夜、公開初日のオッペンハイマーを見てきた。 ノーランの新作、そして日本の歴史と大きくかかわる原爆、これ等が絡みついた作品を見ないわけにはいかなかった。 映画について オッペンハイマーは原爆の父と言われている。 実験が苦手だった彼は、理論物理学者の師匠みたいな人に出会いその道に進んでいきめきめきと頭角を現す。 アインシュタインに代表されるように当時の物理学が古典物理を超えこの世を構成する原子そのものに迫り始めた時代背景が、奇しくも戦争による兵器開発競争にリンクし、その

          オッペンハイマー

          くもをさがす

          最近星野源さんから派生して、その周りの方本を少し読むようになった。 若林さん、西加奈子さん、 彼らの書く文章にすごく引き込まれる。 自分を着飾らず。大きく見せることもなく。むしろ、自分の中の弱い、恥ずかしい部分すらもさらけ出しながら、ふつふつとその体の底から浮かび上がってきたような言葉にたくさん出会う。 彼らから出てくる言葉は、今まで周りにいた大人(と思っていた人)に投影していた精神的に安定した、悩みのない大人とは全く違う、 不安定で、もろく、泥臭くて痛々しい。 け

          くもをさがす

          小波(さざなみ)

          小波とは 自分の中で小波(さざなみ)と名付けている現象がある。 それは突然やってくる。 これから先の計画を立てるとき。 誰かの何気ない言動。 おもむろに始める一日の振り返り。  何気ないきっかけで。まるで、車のタイヤに踏まれて飛ぶ小石のごとく、予測不能に自分の脳の海に飛び込んできて小さな小波を立ててくる。 この時点で「ああ、また飛んできた来たか。」とは思う。 最初は、まあこんな小波くらいすぐおさまるさと余裕をこいて対処法を考える。その波をあっちから鎮めようとしたりこっち

          小波(さざなみ)

          愛される街

          愛される街とはいったい何なのでしょうか? 卒業論文・卒業設計を通じて自分が考えていたテーマをぎゅぎゅぎゅっと、むりやり小さくまとめたならばこの問いが一番しっくりくるように思います。 モノづくりをしたい自分。まちづくりにかかわりたい自分。故郷に帰ってまちに貢献したい自分。地元に縛られずに自由に生きてみたい自分。最近の頭の中にはいろんな自分がいてそれぞれあーでもないこーでもないと喋っています。本当に嫌になるくらいうるさいくらい0。 けれどもどの自分もきっとそれぞれ考えていて

          山の日。

          山の日に山に登った。 今までは高い山ばかりを目指していたけれど、近場の山の湿地帯のある低山に登ってみた。 頂上を目指すだけじゃない、のんびり写真を撮りながら登るのもいいなあと 感じた。高山ばかり登ってきたからこそ感じる感覚かもしれない。 小雨の降る夜更け前、車を走らせて山へ向かう。 大学院に入ってからできた他大の友人との初登山。 この時期に新たな登山仲間ができるとは思っていなかったからすごく新鮮で楽しかった。いい写真いっぱいあるけれど、載せれないのが残念。 山に登ること

          カルチャーショックってやつ

          卒業旅行に行った。 4年間いった大学は、そのうち2年がコロナで授業もろくに受けられなかった。1回生のときに運よく大学のプログラムでオランダに行く機会があったけれど、それ以外はひたすら国内の山とか流氷とか屋久島とか思いつく限り遠くに行ってきた。海外にたくさん行きたいと思って大学に入ったがその願いはほとんどかなわなかった。 ところが1月の中旬、卒業設計に追われている中 高校からの友人に卒業旅行に行かないかと言われ二つ返事で承諾した。シンガポールに行くと聞いて心が躍った。久々の

          カルチャーショックってやつ

          「環境は偶然で責任は必然となる時代に私は社会とどう向き合うか」

          <責任>の生成-中動態と当事者研究を読んでの感想を綴ります。 【本書の要約】 副題にもある通り本書は國分氏の研究である「中動態」と熊谷氏の研究である「当事者研究」が相互に作用しあいながら多様な議論を生み出していく過程を対話形式で語ったものである。 現在の能動態と受動態にきれいに二分される前、そこには中動態が受動態を内包する形で能動態と対立していた。中動態の定義は自身がその動作の過程の中にあることであり、自分がその過程の場所になっていることを表していた。そこでの中動態は”そ

          「環境は偶然で責任は必然となる時代に私は社会とどう向き合うか」

          流氷の旅 最終日

          あんなに楽しみにしていた旅も気が付いたら3日目の最終日になっていた。昨晩、宿のおばあちゃんに早起き出来たら知床斜里に行っておいでと言われ、調べてみたら朝の6時半に家を出ないと12時の飛行機には間に合わないと分かった。 大学生と早起きは水と油くらい相性が悪いけれど、せっかく来たんだから後悔の無いように早起きしようと思ってアラームを7個もかけておいた。 余裕で一つ目のアラームで起きれた。なんなら隣で寝ていた大学生たちが朝日を見て騒いでいたからそれより早く起きれた。旅ってすごい

          流氷の旅 最終日

          流氷の旅 2日目

          自分の家だと寝起きが悪くて二度寝してしまうのが日常だけれど、外ではパッチリ目が覚める。下に降りると、新聞を読むおじいちゃんと、朝ごはんを準備するおばあちゃんがいた。宿のおばあちゃんが入れてくれたコーヒーと昨日買ったセブンのパンを頬張りながら今日の予定を考える。午後は網走監獄へ絶対に行きたいと思っていたから、午前中はおばあちゃんにおすすめされた能取岬に行くことにした。 外に出てみると真っ白な平原が広がっていて驚いた。夜は真っ暗で何も見えなかったからなおさらだ。キラキラした雪と

          流氷の旅 2日目

          流氷の旅 1日目

          「流氷を見に行こう。」 去年の暮れにピーチの飛行機のセール情報を見つけ、突然思いつきで、そのままチケットと宿を予約した。自分でも驚きの衝動買い&行動力だと思う。 カメラ一つ抱えて流氷を見に行く。写真家の幡野さんの影響でカメラを買った。中古のカメラで結構いい値段だったけれどカメラを持って一人で旅に出ることはもちろん初めてだ。でもカメラを持って行ってほんとによかったと思う。 翌日の予定が楽しみで眠れなかったのはいつぶりだろう。朝一番の電車に乗って空港へ向かう。あまりすっきり

          流氷の旅 1日目