見出し画像

ポルトガルから日本に来たもの

日本で育つと、ポルトガルと日本との歴史的な繋がりの深さについて学ぶ機会があると思います。教科書や資料集でフランシスコ・ザビエルの絵を見たことがある人は多いのではないでしょうか。

日本には沢山のポルトガル語やポルトガルのものが入ってきたと言われていますが、そんなことをあまり意識せず生きてきました。でも、ポルトガルに来たら当然気になります。そして、こちらの人々もそういう歴史的なつながりも含めて日本人に親しみを持ってくれているようです。そんなエピソードも交えつつ、ポルトガルと日本の繋がりについて今日は書いていきます。

カステラ!

ポルトガルから入ってきたものとして日本人に抜群の認知度を誇るのは「カステラ」ではないでしょうか?

近所のスーパーのカフェにて。

こちら、カステラの原型と言われているPao de ló 
です。スーパーのカフェコーナーで普通に食べられます。そんなスーパーのカフェで提供されるレベルでも割とおいしいです。1.2€くらいで食べられます。

こちらの写真のものは中身がしっとりしているタイプだけれど、しっかり焼かれたカステラみたいなタイプのものもあります。地方によって違うらしいです(謎)。とても美味しくて、子供は日本のカステラよりもこちらの半生バージョンを好んでいます。日本のカステラも私は大好きです。

マーマレード

これは、意外だったのですが「マーマレード」はポルトガル語由来のものだそうです。

ただ、「マーマレード」というものはポルトガルには元々存在していなかったそうです。「マルメロ」というかりんのジャムがポルトガルにはあり、その「マルメロ」が訛って「マーマレード」になったそうです!(以下のリンク参照。どうでも良いけれど、アヲハタ好きです)

ポルトガルのスーパーに「Marmelada」があったので買ってみました。濃厚に煮詰めたかりんという感じで美味しかったです!

「かりん」と聞くと、朝の連続テレビ小説「かりん」の主題歌「カナディアン アコーディオン(井上陽水)」が脳内再生される私。


ポルトガル語の思い出

他にも、ポルトガル語が語源と言われている日本語はたくさんあります。例えば

  • 金平糖

  • カッパ(雨合羽)

  • カルタ

  • 天ぷら

などなど…。漢字がついている時点で馴染んでますよね。その馴染み方たるや、最近のIT系の業界人が使う言葉たちとは違います(自戒を込めて)。

やはりポルトガル語由来の日本語は「古の言葉!」という印象が強いのですが、そう感じるのには、個人的な理由がありまして、そんな思い出話を一つ書きます。

学生時代に惑星ピスタチオという劇団の舞台「Believe」(の映像)を見ました。織田信長が未来を知ってしまって云々というお話だったのですが、その中にやたらとポルトガル語由来の日本語を強調して言うシーンがあって(うろ覚えですが…)それを見て「へぇ〜そんな言葉もポルトガル語から来てるのか」と思った記憶があります。

今改めてもう一度見てみたいなぁと、ポルトガルに来てからふと調べてみたらYouTubeに一人芝居バージョンのものがあったので驚きました。

それ以降の人生に於いてポルトガル語と日本語の繋がりなんて、そんなことに思いを馳せることもなく生きてきたわけです。(余談ですが、惑星ピスタチオは佐々木蔵之介さんの出身劇団で、そのBelieveという舞台にも出ていたはず)

けれど、今ポルトガルに住んでみたことによってポルトガル語と日本語の繋がりについて考えるようになっていることが面白いなと思います。実に四半世紀ぶり(もっとかな…)に考えてみているということに。

上記リンクの一人舞台バージョンでポルトガル語由来の言葉を並べるシーンを確認したところ、想像以上に短くて、そんなものだったかなぁと思うのと同時に、短くても脳裏に焼き付くというのは凄いなぁと思いました。あの頃の吸収力抜群の脳みそが今欲しい…

リスボンの展望台で出会ったおじさん

話は現代に戻って、ポルトガルに来て割と直ぐの頃にリスボンの展望台で出会ったおじさんの話です。私たち家族に近づいてきて「日本人か?」と聞いてきました。少し戸惑いながら「そうだ」と言うと、嬉しそうに「日本語にはポルトガル語由来のものが沢山あるのを知っているか?」と言ってきました。

そこで私たちが「おんぶ」「カルタ」などと言葉を並べていたら、おじさんは聞きなれない単語を挙げてきました。そこで「うーむ」という顔をしていると、スマホを私たちに見せてきました。そこにはポルトガル語由来の日本語がズラリと並んでいて…

彼が言っていた言葉はそのリストに並んでいた「スベタ(subeta)」という言葉でした。美しくない女性を指す言葉だと教えてくれました。ポルトガル語でも全く同じ意味なのだと繰り返し伝えて来ました。(なぜその言葉をピックアップしたのだろう…と思いつつ)私も夫もその言葉を聞いたことがなかったのですが、なんとなくモヤモヤした気持ちになってしまいました…うーむ。

彼は「まぁ、とにかくいろんな言葉があるからPortuguese Japanese languageでググりなさい(意訳)」と言って、その場でしらべるように勧めてきたのでいわれるままにググりました。すると彼が見せてきたのと同じページが表示されました。(wikiでした)

じっくりと見てみると色々あって面白いです。

  • ミイラ

  • トタン

  • 襦袢(じゅばん)

  • イギリス

などなど。興味のある方は上のリンクを是非覗いてみてください。関係するページに出てくるオランダ語由来の日本語も面白かったです。(半ドン、アスベスト等)

おじさんはその話の後も「ポルトガルには大航海時代を描いた映画などが沢山あるからぜひ見てくれ」と。「日本とのつながりを感じられるはずだ!」と熱く語っていきました。

ここまでの熱量の人はあまりいないですが、皆さんどこかで日本人や日本に親しみを感じて下さっているみたいで、嬉しいなと思うことが多いです。

日本人とザビエルに感謝

「Where are you from?」と聞かれて「Japan」と答えた後に曇った顔をされたことは今のところ一度もなく、皆さん色んなことを笑顔で話してくれます。本当に日本人の皆さんに感謝です。

上のおじさんのように「ポルトガル語由来の日本語がたくさんあるんでしょう?」と言われることもあれば「わー!一度は行ってみたい!」「寿司美味しいよね」とか「昔のフラットメイトが日本人だったんだけど、最高な人だった。賢くて優しくて…」などなどすごく嬉しい反応をたくさんもらえます。中には「種子島に行ったことがある」という人もいて「やっぱりポルトガル人的には種子島に行ってみたくなるものなのか?」と思いました。

発見のモニュメントのザビエル(右から2番目)

なんとなくポルトガル人と相思相愛な感じがするのは、このポルトガルと日本の古い繋がりが大きく影響しているのでは?と思います。今日もザビエルに感謝。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?