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”世界の見え方"が教えてくれたもの

 少なくとも日本人男性の20人に1人は世界の見え方が違う。これは、考え方やものの例えといった話ではなく、本当に、物理的に統計上そうなのである。どういうことかというと、日本人男性の約5%程度には先天性色覚異常があるといわれているからである。(参考までに日本人女性で色覚異常をもつ割合は人口の0.2%程度だと言われている。)

 色覚異常と一言に言っても、これにはいくつか種類がある。明暗、いわゆるモノクロでしか見れないというような人もいれば、特定の系統の色が見えないという人、見えにくいというだけの人もいる。色覚異常の症状は十人十色なのである。

 かくいう私も、色覚異常がある。私の場合は、先天赤緑色覚異常であったが、軽度であったため、小学校で色覚検査を受けるまで発覚しなかった。(この当時、色覚検査はすでに定期健康診断の必須項目からは削除されていたが、削除後すぐであったのためか必須項目同然のように行われていたと記憶している。)あくまで軽度、いわゆる色弱であったので、日常生活でこれと言って特段に困ったことなどはなかったのだが、「他人とみている世界の色が違う」という事実を突きつけられたのは少なからずショッキングな出来事であった。

 小学校や中学校ではこれと言って色という面で困ることなく過ごしたのだが、高校に上がるころから少しばかり困ることが出てきた。進路である。私は理系選択であったので、もちろん大学そして就職は理系を目指したのだが、理系進路というのは案外と色覚異常がある場合、せばめられてしまうのである。もちろん、必ずしも法律で規制されているというようなことではないのだが、責任やリスクといったそういったものの問題が大きいのだ。

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