少女漫画がスキ!「あさきゆめみし」大和和紀、大河ドラマ「光る君へ」
「なにそれ?転生もの?」
ここ数ヶ月大河に先駆けて、平安ものの漫画を引っ張り出し読み返していたら、次女に言われた一言です。
まさか「あさきゆめみし」を転生ものかと聞かれる日がこようとは…なんでも転生にすな。
「あさきゆめみし」は源氏物語を少女漫画化した有名作品です。
11歳か12歳ぐらいで読み始めました。
小学生のわたしには大人のストーリーでしたが、現代からは想像もつかない平安時代の貴族の世界観に、すっかりハマってしまったのです。
こちらと↓
こちらを↓
先に読んでいたので、自然と「あさきゆめみし」にたどり着いたのだと思います。
見出し画像は「完全版」です。単行本で揃えていたのですが、大人になってから完全版に買い替えました。
装丁の美しさ、1話ごとに入るカラーイラスト、紙の質感が最高なんです。
のんびり揃えていけばいいかと思っていたのですが、本当にのんびりしすぎて、気づいたらソフトカバーがハードカバーにかわってしまっていました。
全10巻・前半ソフト・後半ハードカバーになってしまいました。統一感が……
個人的にはソフトカバーの方が好きです。手触りがいいです。
最近、娘とも話していたのですが「やっぱり印刷物っていいよね」と……
娘はKing Gnuのアルバム「the greatest unknown」の1曲ずつ違う凝った歌詞カードを見せてくれて、そう言ってました。
(本当にオシャレだった!検索して見てね。)
完全版一巻の巻末には、連載当時の大和和紀さんの原稿・インタビューを再構成したものが、5ページ掲載されています。
その中に中学生の時にダイジェスト版を読んだエピソードが載っています。
わたしも小学生の時の感想はそんな感じでした。
プレイボーイの代名詞・光源氏に、なぜ女性たちはこんなにも魅かれてしまうのだろうと。
わたしは源氏物語は「あさきゆめみし」でしか読んだことがないので、漫画ベースでお話したいと思います。
とにかく登場人物がたくさんいるので、誰にしぼって書こうか考えた結果。
小学生の時から紫の上推しですが、やはり六条の御息所なしでは語れないので、この方をメインにしたいと思います。
それでも長くなってしまいましたので、
お時間が許す限り、お付き合いください。
ゴールデン
グッドルッキング ガイ
光源氏
父:桐壺帝 母:桐壺の更衣
桐壺帝は光源氏の母を寵愛していました。
桐壺の更衣亡き後、桐壺帝のセリフに
とあります。
母・桐壺の更衣の身分が低かったからです。
そして心の内を
この親心からゆえの配慮が、数々の女性、果ては自分自身をも苦悩させる結果になろうとは思いもしなかったのではないでしょうか。
先日読んだ「THE ART OF 君たちはどう生きるか」の冒頭に宮崎駿さんが書いた企画書の中で「エディプスコンプレックス」という言葉を初めて知りました。
その時、最初に脳裏によぎったのは光源氏でした。
そしてこの方、究極の博愛主義者なのだと思います。
とにかく目の前にいる女性に愛を囁きますが口先だけでなく、その都度本気なのです。
この瞬間の気持ちに嘘はない!みたいな。
目の前にいる女性に、他の女性のことを聞かれると正直に答えちゃったり。
とくに紫の上に。
良くも悪くも純粋な方です。
それをうかがわせるエピソードがあります。
四巻で船に乗った遊び女を初めて見た、息子の夕霧(亡き葵の上の子)に「あの者たちはなに?」と聞かれます。
そのとき光源氏が答えたセリフです。
こういうところに女性たちは魅かれてしまうのでしょうか。
とにかくすごいのは、正妻含めてまとめて同じ敷地内に住んじゃえ!と六条院という大屋敷を建てちゃいます。
いろいろと事情があるので、全員と住むことは出来ませんでしたが、スケールが違いませんか?
調べたらその広さ
約252メートル四方、総面積63500平方メートルだそう。
東京ドーム約1.358143個分らしいです。東京ドームは外観しか見たことがないですが、とにかく広いですね。
詳しくは「風俗博物館」のホームページで見れますので、気になった方は検索してみてください。
光源氏の腹心の部下・惟光のセリフ
六条院は源氏がいかに栄華を極めたかの象徴ともいえます。
すべてのはじまり
藤壺の宮
源氏の初恋の人。
この方に対する敵わぬ想い=母への想いが、源氏の恋多き人生の起因でもあります。
どんなに桐壺帝に大切にされた寵妃であったとしても、桐壺帝が亡き更衣の面影を自分に見ていることに気づいていた藤壺の宮。
同時に、源氏が幼い時からの時間は情がうまれて当然で、ましてやどんどん美しく凛々しく聡明になっていく源氏の成長を側で見ていたら、拒みきれなくても致し方ないのでは…と。
2人がついに一夜を共にする時、源氏のセリフに
とか、言っちゃうわけです。痛いとこつきますよね。
そこ引き合いにだして、自分が一番愛してるってアピールしちゃうわけです。
やっぱり致し方ない……
ゴールデン・グッドルッキングガイですしね。(そこ?)
桐壺帝は亡くなる間際に、二人の関係に気づいていたかのような言葉を藤壺に残します。
その後、藤壺の宮は出家し、37歳という若さで亡くなってしまうのです。
六条の御息所と
ヒロインたち
生霊・怨霊・読経大音量
六条の御息所
六条の御息所もヒロインではあるのですが…ヴィラン・レジェンドかなと。
すべては源氏のせいですわ。
それにしても生霊って……
この時代に、シークエンスはやともさんがいたら、陰陽師になれていたかもしれないですね。
見えるだけで、祓えないとご本人はいわれてますが。
平安時代のものって、スピリチュアル展開多いですよね。
陰陽師・呪詛・祈祷・怨霊・生霊・穢れ……etc
子どもの頃、夏休みになると「あなたの知らない世界」を祖母と観ていたわたしには、そこも魅力なんです。
知らない世代の方は検索してみてください。
六条の御息所が当代随一の貴婦人という評判を聞いた源氏は、会いに行き恋に落ちるわけですが、この方は元春宮妃。
16歳で入内、20歳という若さで春宮を亡くし未亡人として静かに生きてきた女性が、源氏という若い青年との恋で自分を見失ってしまうわけです。
あまりの嫉妬心に、自分では無自覚に生霊を飛ばし、源氏の恋人と正妻を殺してしまいます。
ですが、無意識といえど自分のしてしまったことに気づき、その罪悪感から娘が伊勢へ仕えることが決まったときについて行き、源氏との別れを決意します。
源氏は六条の御息所が生霊になってしまったことに気づくのですが、正妻まで殺されていながら全く恨みごとなど言わないのです。(この時点では)
御息所が亡くなる直前に会いに行き、
とか言っちゃって、嘆き悲しむのですよ。
さすが究極の博愛主義者です。
そして娘を託されるのですが、冷泉帝(源氏と藤壺の子)に入内させ、この方は梅壺の女御→秋好中宮となります。これは源氏の出世を意味します。
正直、娘がお手つきにならないかヒヤヒヤして読みました。危ない!という瞬間がありました。
六条院を建てるのは、このずっと後ですが、敷地内の一角はもともと六条の御息所が住んでいた屋敷なんです。
あんなことがあったのに、この方の住んでいた場所に住みたがるなんて、きっと娘の秋好中宮のことを考えてだと思いますが、それにしても…という感じがします。
しかもここで終わりではありません。
死してもなお、怨霊となって再登場します!
その様子は、紫の上と女三の宮編で!
被害者①
夕顔
源氏は後から知ることになるのですが、ライバル+親友+源氏の正妻の兄「頭の中将」の恋人だった方です。
頭の中将のもとを離れて、町でひっそりと暮らしていたところ、源氏と出会います。
頭の中将との間には姫(玉鬘)が一人います。
この夕顔が一人目の生霊被害者です。
源氏と逢瀬を重ねなければ亡くなることはなかったかもしれません。
ほんの数ページで、あっという間に殺されてしまいます。
六条の御息所、恐るべし!
そしてその後、なぜか行方不明になっていた娘・玉鬘は、五巻で発見されます。
今まで乳母家族に育てられていて、源氏に引き取られることになるのですが、
五巻の帯に
とか書いてあるものだから、
またまたお手つきになるんじゃないかとヒヤヒヤして読みました。
ところがですよ!
危ない場面もありましたが、一線を越えることは必死に我慢したんです。
そして以前から玉鬘に求婚していた、ひげ黒無骨者の右大将(妻子持ち)が一瞬の隙をついて、強引に玉鬘に手をつけてしまうのです。
玉鬘は望まない結婚をするはめになり、源氏はこんなことなら、やはりあの時わたしが…と(それもどうかと思いますが)後悔することになります。
結果、嫁いだ先で右大将の複雑な事情を知り
と、決意します。
親子共々可哀想すぎる!
嘘だ!納得できるはずがない!右大将許すまじ!と、
わたし的には読んでいてモヤるエピソードでした。
この夜這い文化?
若い頃読んだときより、今のほうがすごく複雑な気持ちになります。(特にこの玉鬘&右大将と、女三の宮&柏木のシーン)
不思議と源氏のシーンは、同じ気持ちにならないのは、大和和紀さんが意図して描いたのでしょうね。
被害者②
葵の上
この方も二人目の生霊被害者です。
春宮妃になるべく育てられたのに、結果春宮妃にはなれなかったわけなので、光源氏を受け入れられず気位の高さ故に素直になれませんでした。
長い間源氏に冷たく接してしまいます。
子どもを産んだことで、やっと素直になることができるようになり、二人はこれから仲睦まじく…と思った矢先に、生霊にとり殺されてしまいます。
六条の御息所が「子どもができたなんてどういうこと⁉︎奥さんとは冷え切ってるって言ってたじゃない!」って生霊飛ばしてキレたんですね。
またまた六条の御息所、恐るべし!
圧倒的ヒロイン
紫の上(被害者③)
この方のエピソードは、もはや源氏の狂気を感じます。
夕顔の弔いに北山に参るのですが、幼い紫の上が飼っていた雀の子が逃げてしまったと泣いているところへ、源氏が通りかかり……
源氏はこの瞬間「あの方(藤壺)に似ている!」とビビッときてしまうわけです。
藤壺の姪なんで。
あれっ?弔いに来たはずでは?
紫の上は母を亡くし、父には捨て置かれ、育ててくれた祖母まで亡くしてしまいます。
そこをこれ幸いと、強引に引き取ってしまうのです。
ヒィィィィー!怖いよー!
その後、理想の女性へと育てるという行為にも狂気を感じますが、なんといっても紫の上が15歳になった時に、なんの同意もなく一夜を共にすることになるシーンはちょっと……
そう思って当然ですよね。
ですが源氏はいつでも本気と書いてマジですから、紫の上と父親との橋渡しをし、裳着(女子の成人式)を整えたり…と大切にしてくれる様子に、紫の上も源氏を受け入れるのでした。
大人になったあとも、数々の女性の気配を感じながらも、とにかく理解ある女性として生きていきます。
唯一、ライバル視していたのが明石の君でした。
明石の君が身分が低かったため、代わりに紫の上が、明石の君の娘・ちい姫を育てることになります。
子どものためとはいえ、赤子の時に引き離されるなんて、どんなに辛いだろう…という思いで読みました。
紫の上は、ちい姫を通して明石の君への嫉妬心も薄れていきます。
成人した姫が入内する時、紫の上の配慮で、明石の君は姫付きの女房として一緒に参内し、ようやく親子は再会をはたします。
その時初めて紫の上と明石の君が顔を合わせるのですが、
こんなに出来た方に、父・桐壺帝と同じことをしてしまう源氏。
紫の上は、源氏が誰かの面影を自分に重ねていることに気づいてしまいます。
そして唯一の心の支え。
源氏の北の方というポジションでさえ奪われてしまうのです。
朱雀帝が出家するので、残された娘(女三の宮)が心配!正妻として嫁にもらってくれない?と、源氏は頼み込まれます。
半分渋々、半分藤壺ゆかりの姫だし、ワンチャン似てるかも?みたいな淡い期待を持って姫を娶ります。
紫の上がいるのに、まだそんなこと思っちゃうんですね。
この後、朧月夜(元カノ)とよりを戻したりしてしまいます。
そんな中、紫の上は病で倒れます。
怨霊・六条の御息所のしわざです。
祈祷をすると女の童に憑依して
ほんの一瞬、紫の上に愚痴めいたことをいっただけなんですけどね。
六条の御息所、恐るべし!
祈祷のおかげで持ち直した紫の上ですが、身体が弱っていってしまいます。
以前から出家を願っていましたが、源氏は許してくれません。
息子の夕霧の正妻・雲居の雁が怒って実家に帰ってしまうシーンがあるのですが、その話を聞いた紫の上は
最後まで出家の願いは叶いませんでした。
と、長い間隠してきた苦しみから解放されたように亡くなります。
他の方々から見れば、一番愛された人という印象ですが、正直マインドコントロール…じゃなかった教育されて大人になったわけですから、誰よりも源氏の顔色、空気を読む力に長けているわけです。
愛するがゆえに源氏にずっと合わせて生きてきた日々、もはやそれが自分が望んでしているのかどうかも、わからなくなってしまっていたのではないかと思ってしまいます。
だってそれがマインド……
いくらこの時代の女性たちが様々な事情に抑圧されてきたとはいえ、断トツに自分らしく生きられなかったのではないかとわたしは思います。
この方こそ、現代に転生して自由を謳歌してほしいです。
(推しなので)二次創作、求む!
瞳にハイライトがない
女三の宮
(被害者④)
この方、ずーーーーーーっと目がうつろなんですよ。
なんでかな?と思ったら、瞳にハイライトがないんです。
年齢のわりに自我がなくて、周りにいわれるがまま流されてしまうようなキャラなんです。ずっと人形のように。
よっぽど朱雀帝が過干渉だったのでしょうか?
皇族の姫だからという理由だけではない気がしますね。
そしてこの方にまつわるエピソードの最大タイトルは、
因果応報!
息子の夕霧の親友で、源氏も可愛がっていた柏木(元頭の中将の息子)が、女三の宮に恋焦がれて手を出してしまい、さらに懐妊してしまいます。
女三の宮は源氏の正妻というポジションですから、絶対にこのことは世間に知られてはいけないのです。
源氏は激怒。
女三の宮は男の子を出産後、罪悪感から出家。
柏木も源氏にバレて罪悪感で病んで亡くなってしまいます。
ここで怨霊・六条の御息所、再び!
すごい執念深さじゃないですか?
祈祷中に一人の女房に憑依して、こんなセリフを残します。
六条の御息所、集大成なセリフですね。
正直わたしもスカッとしたよ!御息所!
源氏は残された息子・薫を最初は拒絶していたものの、この一件で知る父・桐壺帝の苦悩と自分の犯した罪に向きあい、育てていくことを決心します。
ユーモラスな
ヒロインたち
時にはちょっとしたユーモアを。そんなエピソードのお二人です。
真っ赤なお鼻の
末摘花
後ろ姿は美人…て。
黒髪の美しさが重要だった時代ですから、相当美しい髪をお持ちだったんでしょうね。
他の作品でも、あまり容姿が良いとはいえないという例えで末摘花という名前が出てきます。
一夜を共にしたあと、初めて末摘花の顔を見た源氏の様子にはクスッとしてしまうセリフがあります。
ひどい言われようですね。
かわったもの…は、漫画の中では毛皮を羽織っていて、鼻…は、鼻が赤いという意味で、こういっています。
いつもうまくいくと思うなよ!と心の中で小さくガッツポーズをしちゃいます。
しばらく存在を忘れられて貧乏暮らしを強いられますが、最後はちゃんと源氏が面倒を見てくれます。
生涯現役
源の典侍
60歳近いと描かれていて、彼氏は修理の大夫・40年越しの仲。
なぜか源氏と頭の中将が、典侍に競ってちょっかいをかけるのですが、源氏と逢瀬中に悪戯心を起こした頭の中将に踏み込まれます。
その翌日、典侍に頼まれて、二人の忘れ物(帯と端袖)を届けに修理の大夫が現れるのですが、その時のセリフが粋なのです。
おじいちゃん!かっこいい!
他にも明石の君・朧月夜・花散里・槿の君・空蝉と、たくさんのヒロインがいます。
九巻・十巻は、光源氏の息子たちのストーリーです。
こちらも面白いです。
「その後」が読めるのも、この漫画が好きな理由です。
是非あさきゆめみしを読んでみてほしいです。
できれば美しいカラーイラスト入りの「完全版」か「新装版」を。
それにしてもこれだけ複雑なストーリーが千年も前に書かれていたのが驚きですよね。
愛とは何か、人を大切にするということは何かを改めて考えさせてくれるストーリーだと思っています。
嫁入り道具の一つに源氏物語を持たせたという話もあるので、娯楽が少なく篭りっぱなしの姫君たちは、現代のわたしが韓ドラの続きをワクワクして観るような気持ちで、源氏物語を読んだのかもしれませんね。
と、大和和紀さんが書かれていたのでチャレンジしてみたい気持ちと、挫折しそう…と尻込みしてしまう気持ちがあります。
大河ドラマ
「光る君へ」
ずっと楽しみにしていた大河ドラマ「光る君へ」がはじまりましたね。
紫式部については、子どもの頃に歴史漫画を読んだぐらいで、詳しくは知らないのです。
大河が始まったことで源氏物語や紫式部について、Xやnoteで有識者の方々の意見を読みながら、勉強させてもらっています。
毎週更新されるぬえさんの記事も楽しみにしています。
あさきゆめみしの内容をご存知の方は、こちらの記事も面白かったです。↓
全くご存知ない方、または漫画でも全く頭に入ってこない!という、うちの次女タイプはこちらの動画が面白くてわかりやすいと思います。
約20分前後の動画を8本に分けて投稿されているのですが、とにかく秀逸です。
夜這いのたびに「お願いします。光源氏です。」とか、「藤壺アタック」「中流ブーム」六条院を「フォーシーズンズパレス」と名づけるとか楽しく解説してくれます。
是非、視聴してみてください。
ここまで辿り着いてくれた方、いるのかな?
いたらめちゃくちゃ嬉しい♪
辿り着いてくださった方は、是非スキして教えてください!
ありがとうございました!