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映画「PLAN75」から考える終活
75歳以上が自らの生死を選択できる「PLAN75」。
鑑賞前から「あぁ…これはきっと観ていて辛くなるやつだな。」と覚悟して観ました。
そして絶対1人で集中して観たいと。
最初から最後まで、ずっとずっとずっと胸が締めつけられる思いで観ました。
高齢者の立場を、祖父母、両親、自分、子供の将来…どんな立場の人に投影して観ても辛かった。
映画の中で、PLAN75に申し込む高齢者と窓口の人の会話は、まるで保険にでも入るような気軽さ。
支度金10万円もらえますよ。
旅行とか美味しい物食べたり、何に使ってもいいですよ。
あとは全て無料ですよ。
PLAN75がテレビCMで流れるシーン。
私たちの現実世界で流れている医療保険、生命保険のように明るく「これで安心」とでも言わんばかりの内容。
PLAN 75の仕事につく若い人たちへの研修風景。
「実際途中でやっぱりやめたいってなる方がすごく多いんです。そうならないよう、皆さんがうまく誘導してあげなくちゃいけない。」というセリフ。
そしてこれが「ケア」だと。
このあたりがなんとも言えない不気味さをかもし出しています。
観たあとの余韻が自分の中で、なかなかおさまらなくて監督脚本をされた早川千絵さんのインタビューをいろいろ見ました。
この動画の中で☟
長生きする…生きるということがネガティブなことに変わりつつあることが恐ろしいなと思っています。
と、仰っていました。
いつからだろう?「老害」という言葉が出てきたのは。
いつからだろう?こんな雰囲気になってしまったのは。
1990年代、キュートな双子のおばあちゃんきんさん、ぎんさんが有名になり、TVでは「きんは100歳。ぎんは100歳。」とご本人達が登場するCMが流れていました。
姉妹ともに100歳を過ぎても元気であったことからマスメディアに注目され、テレビ出演やCDデビューを果たした。その姿は「理想の老後像」と言われ、1990年代の日本において国民的な人気を誇った。
あの頃は、長生きすることはおめでたいことなのだという雰囲気がまだあった気がする。
老いは全ての人間に平等に訪れる。
全ての人間に関わる問題を描いた重厚感のある映画でした。
義父が亡くなった頃から、終活について考えることが多くなりました。
と、いうのもわたしは母子家庭の一人っ子。
今はまだ元気に働いている母ですが、何かあった時に全ての決断をするのはわたしです。
わたしが初めて読んだnoteの記事はこちらでした。☟
母はもともとおおざっぱな人で、なにごとも先の見通しを立て調べてから発言行動するタイプではありません。
「私が死んだら、葬式はいらないし海に撒いてくれればいいから。」と言ってみたり。
「共同墓地にでも入れてくれればいいから。」と言ってみたり。
「実家の墓に入れてくれればいいから。」と言ってみたり。
いつも軽く言うので、どう言われても無責任にしか聞こえなくて聞き流していましたが、最後の提案だけは反対しました。
わたしの母方はとにかく女性が多い家系で、今も本家は従姉妹が引き継いでいます。そしてその子供も女の子ばかり。
昔から高校も自宅からは通えず、学校の近くに下宿するところを探さなければいけないような場所です。
自然豊かな良いところで、両親と同じお墓に…という気持ちもわかります。
ですがこの先80、90年先を生きる子供たちがいる。
お嫁に行く時にここに残るとは限らないし、このさき気候を含めて何がどうなっていくのかわからない。
彼女たちをそこに縛りつける要因の一部になってはいけないといいました。
今回の映画を観て、母の終活を考えると同時に、自分の終活もどうしたいか考えるようになりました。
わたしと母の共通点はお墓がいらないと思っていること。(わたし自身のも含めて)
具体的に何も結論は出ていませんが、
とにかく母がどのようにしたいか聞きつつ、わたしにとっても何がベストなのか。
しっかりすり合わせをする時間が必要だなとあらためて思いました。
残された人に出来るだけ煩わしさを感じさせたくないという思い。
家族を失った時の気持ちの整理と時間のバランスが取れるところはどこなのか…。
この辺りが難しいところだなと感じています。
幸いnoteには、いろんな方の体験談を目にすることが出来るので、皆さんの経験を参考にさせてもらいながら、介護の問題も含め今後の課題にしていきます。
なんだか最後はとりとめのない話しになってしまいましたが、PLAN75のような未来がきませんように…。
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