ポール

エッセイの書く練習をしています。テーマは、自分のことだったり、気になることだったり、興…

ポール

エッセイの書く練習をしています。テーマは、自分のことだったり、気になることだったり、興味の赴くまままに書いています。ルマンド男子風の語り部です。

最近の記事

#02|絵里と私

「明日、彼にプロポーズしようと思っているの」 新宿地下街の飲み屋で絵里にそう言われたのは、彼女が挙式をあげる一年前の事だった。 遡ること十九年前。絵里と私は大学映画研究サークルで出会った。 田舎から上京して、幼馴染だった私達はよく映画を観に行ったり、閉門ギリギリまで部室でお喋りをしたりして過ごすことが多かった。 一般的に考えて、絵里に対し恋愛感情を抱いてもおかしくはないが、それは皆無。 何故なら私はゲイだから。 ゲイであると最初にカミングアウトしたのも絵里だった。

    • #01| 私がエッセイを書く理由

      エッセイ塾に通い始めた。 講師は新聞社の元編集長。 お題「私の○○」か「漢字一文字」のどちらか一つを選択して、四百字詰めの原稿用紙二枚分を一週間程度で仕上げて提出する。 それを生徒達の前で朗読する。 書きあげた原稿は添削され、コメント付きの一筆箋三枚を添えられて返却される。 二年前の冬、人生の半分を引きこもりとして過ごしたある 四十代男性のエッセイ をたまたま見つけた。 十四歳のとき、統合失調症と診断され、家に引きこもるようになってしまった青年が大人になるまでの成長を描

    #02|絵里と私