KUBO/クボ 二本の弦の秘密
ストップモーションアニメが好き!っていうのは昔から変わらず。ミニチュアなども好きで、小さいものが細々と動いているのが大好きです。
この作品は、かなり評価も高く、技術もすごいという事でWOWOWで見てから、繰り返し楽しんでいる作品です。
気が遠くなる作業で作られた103分
スタジオライカによるストップモーションアニメーションは、本当に細かくてそこまでやるか…という様なギミックや演出がたくさん。作っているところを想像するとゾッとします…
(YoutubeにBBCでのインタビュー動画がありました。すごすぎるわ…)
昔からストップモーションアニメーションは存在していますが(ナイトメア・ビフォア・クリスマスとか)本作は、とにかく動きと演出が細かい!「その動き、なくても良いけどあると自然だよね…」みたいな事もたくさんあってあまりの自然さに見終わるまで気付かないという…
エンドロールでも、一番有名ながしゃどくろの製作シーンがあってなかなか興味深いです。
印象的なキャラクター
主人公のクボ、一緒に旅をする事になるサルとクワガタ(名前が雑なところも良い)、クボを追う闇の姉妹と月の皇帝、とメインキャラクターは少ないのですが、みんなとても魅力的でして。声を当てている俳優達もみんなピッタリで素晴らしいです。
静止画になると途端に人形っぽさがよく分かる。クボは少年ぽさがあって母思いの優しいキャラクターなのもかわいい。ストーリーが進むごとにしっかりしていく姿もまた泣けるのです…
サルとクワガタは正反対なキャラクターですが、2人ともクボを想って一生懸命な姿がこれまた…彼らが両親だった事が分かってからの2人敗北→クボが一人で月の皇帝に立ち向かう姿は涙が出ます…2人が負けるシーンは詳細に描かれず、クボが1人で膝をついているシーンに変わるんですよね…これまで一緒に旅をしてきたメインキャラクターの敗北なんだから、たっぷりしっかり描きたくなるところですが、ここをあっさりにする事でより絶望的な印象になった気がします。
強い女性のイメージであるシャーリーズ・セロンはサルの声にぴったりだったし、ちょっとおばかっぽいお調子者が上手いマシュー・マコノヒーも記憶がないクワガタの声にぴったりでした。2人の小競り合いもなんだか可愛かったなあ。
闇の姉妹は本当に怖い…初登場シーンはちょっとホラーかなと思いました。
「ク〜ボ〜」のセリフは怖すぎましたね…(さすが、ルーニー・マーラ。)戦って敗れるところでも、印象的な仮面が割れているところだけをクローズアップするのもミニマムで素敵な画作りだなあと…。仮面のせいで表情が見えなかった姉妹でしたが、最後の戦いでは仮面が割れて顔が歪んでいるのが見えるのもこれまた最終決戦!という感じでよかった。
月の帝は一見優しそうなのですが、とんでもない悪いやつで。孫にも手を出そうとする悪党ではあるんですよね。
でも、きっと自分の信念を良い事だと信じて疑わないだけで、だからこそ一族で動いているんでしょうし。クボの母の事も、「家族を裏切った悪いやつ」という認識だったのかなあ…と思ったり。(それにしてもクボと母に対してやりすぎですけども)
そして記憶がなくなってただの老人になってしまった時の、驚くほどの普通さ。これが月の帝の本当の姿だったのかな?もしそうだったなら、彼にも悲しいバックボーンがありそうで色々想像してしまいます。
何より単純にストーリーが良い
いたってシンプルなストーリーですが、少年の成長→独り立ちして立ち向かう姿、そして悪者も受け入れる心の広さ…(闇の姉妹は倒しちゃいましたけども)勧善懲悪とも違う、優しい愛のストーリーだなあと思います。クボはもちろんですが、サルとクワガタの優しさがまた良い。3つの秘宝を探しに行く道中はワクワクする大冒険だし、それぞれ違う雰囲気の場所へ向かっていくのも良いんですよねえ。
外国から見た日本…?
日本を描いた外国作品はたくさんありますが、しっくり来なかったり微妙に違っていたりする事も多々。もちろん狙って変えている作品もあると思うのですが、この作品はちょうど良いバランスで日本を描きつつ、ちゃんとファンタジーだったのが魅力的でした。街並みや着物のディティール、折り紙の質感とかもリアルだったなあ。「犬ヶ島」も描写が素晴らしかったですが、こういうストップモーション系は日本を舞台にする事が多いのかな…?どちらも丁寧に日本を描いていて好印象です。日本人が描けない日本で、私たちには気付けないニュアンスがあってワクワクします。
KUBO/クボ 二本の弦の秘密
Kubo and the Two Strings
2016年 アメリカ
監督:トラビス・ナイト
声の出演:アート・パーキンソン、シャーリーズ・セロン、マシュー・マコノヒー、ルーニー・マーラ、レイフ・ファインズ、他
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