カイジ ファイナルゲーム
もともと原作の大ファン、そしてアニメも割と好きで、映画1作目・2作目はサントラ買うくらいには好きだったのですが、この最終作はずっとスルーしていて…テレビ放送という事で良いタイミング!と思い鑑賞しました。作りは大きく変わっていないと思うのですが、いまいち乗り切れないところもあったり…
完全オリジナルストーリー
1作目、2作目は一応は原作のストーリーを踏襲していて、少々の改変はあるものの基本的な流れは同じでした。ただ今回は完全オリジナルストーリーという事で、割と期待しつつ。福本伸行が描くとんでもギャンブルとギリギリかつありえない大逆転ストーリーが好きなので、映画でどこまで見せてくれるか!と思っていたのですが…ちょっと乗りきれず拍子抜けでした…
心理戦じゃなくて、物理攻撃(そして後出し)
劇中に登場するオリジナルギャンブルであるバベルの塔やドリームジャンプもちょっと扱いが雑すぎるというか。てゆうかドリームジャンプは運要素強すぎるやん…
人間秤に関してはがっつりメインギャンブルとして長尺を稼ぎますが、後出し要素が多すぎて乗り切れなかったり。今回は心理戦がほとんどなくて割と物理攻撃だった様な気がするなあ…カイジが面白いところは、大袈裟な顔芸&心理戦なのに…ざわ要素がなかったじゃない…後は、後出しの答え合わせパートがちょっとやりすぎでは?という感じも。ちょっと納得できない後出し感でしょんぼりしてしまいました。2作目の「沼」もそれなりに後出し要素多めでしたが、カイジの読みだけでは成功しなかった部分(坂崎のおっさんと石田嬢のATMカード)も大きいので、2作目の後出しはなぜか許せたのです。
変なリアリティにそわそわする
カイジシリーズの世界観って、まあ夢物語というかファンタジーだと思うんです。普通に考えて地下帝国で強制労働なんてないでしょうし(私が知らないだけでどっかにあるのかもしれないけど)金持ちが人間の生き死ににお金かけて遊んでいるなんてまあない訳で。そんな事を主導している消費者金融って絶対だめじゃないですか。笑
でも、カイジの底辺っぷりや突拍子もないギャンブルを楽しめるのは「ファンタジー」だからだと個人的には思っているんですが…今回は舞台設定が「2020年東京オリンピック後に経済暴落した日本」という事で妙に現実のリンクさせてくるところがちょっと嫌だった…よく考えたら、あんまり現実世界の出来事や事実とリンクしない描写が多かったはずなのに、突然「2020年東京オリンピック」とか言われるとなんだかなあ…それに経済暴落してお金がないなら、カイジが底辺に落ちたのは自分のせいじゃないのでは?カイジが底辺かつクズ!という扱いができるのはいつだって自業自得だったからなのに…
藤原竜也vs吉田鋼太郎はシェイクスピア
今回、帝愛側の悪役として黒崎(吉田鋼太郎)が冒頭から登場する訳ですが、藤原竜也と並んで怒鳴りあっていると、シェイクスピアの世界観というか蜷川幸雄の舞台かな?みたいな感覚に。笑
やっぱり魅力的だし見事なお二人ですが、吉田鋼太郎演じる黒崎はちょっと軽すぎた様な気も…前作では嶋田久作が演じていた湿っぽい陰湿な雰囲気がなくなっちゃって、カラッとした明るい悪役になっちゃいましたね。コミカルというか。とはいえ私は吉田鋼太郎好きなので、登場シーンが多かったのは嬉しかったですけどね。
真剣佑、スーツはそれでいいの?
新田真剣佑は、無表情で目が死んでいる演技がうまい!と個人的には思っているので、今回のキャラクターも良かったです。前半のアンドロイド的な演技はさすがでした。ただスーツが似合ってなさすぎてそっちばっかり気になっちゃったけど…笑
筋肉がありすぎるのか、撫で肩なのか、首の筋肉が多いのか?いずれにせよ、マッチョでもかっこよくスーツが着れるのは多くの俳優たちが証明しているんだから、ぜひともピッタリなかっこいいスーツをあてがってあげてほしかった…
友情出演が過ぎる天海祐希、生瀬勝久、松尾スズキ
1作目、2作目の重要なキャラクターだった遠藤(天海悠)、坂崎のおっさん(生瀬勝久)、班長(松尾スズキ)など、前作のファンならワクワクするキャストが登場するのですがあまりにもあっさりすぎて…「みんな、喜ぶでしょ?」みたいな扱いでちょっとしょんぼりしたり…できたらもうちょっと活躍してほしかったなあ。
(天海祐希は美しかったけど。遠藤役、似合いますよねえ。)
そしてどうせなら、利根川(香川照之)、船井(山本太郎)、石田嬢(吉高由里子)、一条(伊勢谷友介)あたりもいてほしかったり。まあそこまでしたらストーリーもひっちゃかめっちゃかになるし、ただの同窓会映画になっちゃうと思いますが、できたら利根川は登場して欲しかった〜!!!
世界観にハマらない福士蒼汰&山崎育三郎
私、実は福士蒼汰さんが得意ではなくてですね…(ファンに怒られそうな直接的な表現)以前、劇団☆新感線の舞台に主演された時が調子が悪かったのかいまいちだったんですよ。その時の印象が強くて。あとは割と薄めの恋愛映画専門俳優みたいな偏見もありまして。今回の様な男同士の怒鳴り合い濃いめ大袈裟映画みたいなのに出ると(しかも藤原竜也&吉田鋼太郎という名役者がいる)かなり浮いちゃう気がするんですよね…狂気に欠けるというかなんというか。
きっと本当に好青年なんだと思います。だからこそこういうイヤ〜な役がしっくりこないんだと思う。まあ役者ならなんでもやってなんぼではあると思うんですけども。そして山崎育三郎氏。彼はきれい過ぎる!真顔でいても王子様感があるんだもんな…ほんで声が良すぎる。笑
じゃあ誰がよかったのかしら?福士蒼汰が演じた高倉は、例えば窪塚洋介とか滝藤賢一とか、背が高くてニヤニヤした胡散臭さがある人が良かったなあ。(超個人的な意見)
カイジシリーズが好きなのもあって残念な部分も多々…テレビ放送でカットがあったのも原因だとは思いますが楽しみきれなかった自分にもちょっとショックだったり。やっぱり私は原作漫画&アニメ&1作目・2作目が好きである。さて、今度の休みに前作を見返しましょうかね…
カイジ ファイナルゲーム
2020年 日本
監督:佐藤東弥
出演:藤原竜也、吉田鋼太郎、新田真剣佑、関水渚、福士蒼汰、伊武雅刀、松尾スズキ、生瀬勝久、天海祐希、他
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