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【第126回】ディズニー映画「Mr. インクレディブル」のシーンから使える英語表現をいくつか掘り下げてみました。

Bob (Mr. Incredible): The blast in that building was caused by Bomb Voyage who I caught in the act robbing the vault. Now, we might be able to nab him if we set up a perimeter. 「ボム・ヴォヤージュが金庫を破壊したんだ。急いで検問を張れ」

「Mr.インクレディブル」

we might be able to nab him if we set up a perimeter. 「検問を作れば、あいつを捕まえることができるかもしれない」

nab という語はあまり馴染みがないかもしれません。英英辞典で調べると

to catch and stop or arrest (someone)

Merriam-Webster

  誰かを「捕まえる」、「逮捕する」という意味ですが、同義語には arrest があります。

同義語 + ニュアンスの違い = 英語の面白さ

これが私の英語学習の方程式です。

この2つの語の違いを対話型AI  Copilot で調べてみました。

arrest vs nab
[ arrest ]
  - Formal and legal.
  - Taking someone into custody with legal authority.
 [ nab ]
  - Informal and casual.
  - Quickly capturing someone.

Copilot

nab の方がインフォーマルカジュアルで、arrestフォーマルな語です。また nab には「素早く誰かを捕まえる」というニュアンスがあるようです。

これからも、ニュアンスの違いにはこだわっていきたいですね。


Bob (Mr. Incredible): You’re not affiliated with me! Holy smokes, I’m late. Listen, I’ve gotta be somewhere. 「相棒はいらん。まずい、遅刻だ。急いでるので」

「Mr.インクレディブル」

ボブを相棒だと主張するインクレディボーイに、ボブが怒って言った言葉です。

① You’re not affiliated with me!
be affiliated with で「…と連携している」という意味になります。

マーケティング用語に「アフィリエイト」という用語がありますが、商品を紹介する人と広告主が”連携”して成果に応じて報酬が支払われる広告の仕組みのことです。

affiliated は言い換えると connected で、You’re not connected with me! を頭に入れて、同時に同義語として affiliated も頭に入れておくと忘れにくくなると思います。

このシーンでは、ボブがすごい剣幕で You’re not affiliated with me! と言ったので、そのボブの表情とともにこの表現が、頭の中に完全にインプットされてしまいました…

I’ve gotta be somewhere.
I’ve gotta は I’ve got to が崩れた形で、「…しなきゃあ」といういったニュアンスです。ですから直訳は「どこかにいなきゃあ」です。

用事があるので、今いるところを去らなければいけない時に使われるインフォーマルな表現です。

今からちょっと行くとこあるんで」や「ちょっと急いでるんで」など日本語でもよく使われます。

I need to go. や I’d better be off. など似た表現はいろいろありますが、 I’ve gotta be somewhere. も使っていきたいですね。



Bob: Hey, is the night still young? 「早すぎた?」
フロゾン: You’re very late. 「遅いよ」

「Mr.インクレディブル」

結婚式に遅刻しそうになった新郎のボブが、式場の前で言った言葉です。

Is the night still young? ー 「夜はまだ若い?」が直訳ですが、“夜が若い”と言うのは“夜は始まったばかり”で、「活動の時間がまだたくさん残っているかどうか」を聞く英語です。

このシーンでは「結婚式までまだ時間があるだろ?」と言う意味で使われており、もちろんボブのジョークです。

この The night is still young.  は、普通は次のように使われます。

The night is still young.  Let’s go to another bar! 「夜はまだこれからだ。もう一杯行こう!」

これと反対の表現は、The night is getting late. 「夜も遅くなってきた」 です。

The night is getting late. Maybe we should call it a day. 「夜も遅くなってきたし、そろそろ終わりにしようか」



Helen: Cutting it kinda close, don’t you think? 「遅刻しかけて?」

「Mr.インクレディブル」

遅刻しそうになったボブに、新婦のヘレンが言った言葉です。

cut it close ー あまり目にしない表現かもしれませんが、「(時間に)ギリギリの行動をする」という意味で使われます。

直訳は「それを近くで (close) 切る」ですが、「近くで」は「ギリギリで」と言い換えられます。

余裕を持って切ればいいところを、ギリギリで切るというのは危なっかしいですよね。そこから「ギリギリで行動する」という意味に結びつきます。

< 時間的にギリギリ>
A: I’m not late. 「遅刻じゃないよ」
B: But you’re cutting it close. 「でもギリギリだよ」

< 物理的にギリギリ>
The car cut it close when I tried to cross the road. 「道路を渡ろうとしたとき、車がギリギリのところを通り抜けた」

ちなみにセリフ Cutting it kinda close. の kinda は kind of の省略形で意味を弱める働きがあります。ですから、「ちょっとギリギリじゃないの」ぐらいの訳です。

より分かりやすい表現で書くと、The car came close when I tried to cross the road. ですが、cut it close と違って、“ギリギリ”というニュアンスはなく単に自分に車が近づいてきたという事実を表すだけです。



Bob: You need to be more...flexible.
Helen: I love you, but if we’re gonna make this work, you’ve gotta be more than Mr. lncredible. You know that. Don’t you? 「愛してるわ。結婚したらヒーローでいるより…夫業に専念して」

「Mr.インクレディブル」

you’ve gotta be more than Mr. lncredible.
「あなたは Mr. Incredible 以上にならなくちゃならない」が直訳です。なんとなく言いたいことはわかりますが、とてもユニークな表現ですね。

つまり、Mr. Incredible としてすごいパワーをこれまで発揮してきたのですが、家庭を持ったら“それ以外のこと”に取り組まなければならない、という意味です。

ボブの妻 Helen はボブに“家のことをやって欲しい”と懇願しているのが be more than Mr. Incredible です。

日本語字幕の「夫業に専念して」もいいですね。なぜなら more than A は A を含まないので Mr. Incredible というスーパーヒーローから離脱してほしいとのヘレンの思いが伝わってくるからです。

If you want to grow more, you have to be more than you. 「もし成長したいのなら、殻を破らなきゃダメだよ」

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