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【第123回】ディズニー映画「Mr. インクレディブル」のシーンから使える英語表現をいくつか掘り下げてみました。

Police Radio: We interrupt for an important bulletin. A deadly high-speed pursuit between police and armed gunmen is underway, traveling northbound on San Pablo Avenue. 「緊急事態発生。武装した犯人がパトカーを振り切り、サンパブロ通りを北上中」
Bob (Mr. Incredible): Yeah, I’ve got time. 「余裕だな」

「Mr. インクレディブル」

ラジオ番組が中断されて緊急放送が流れてくる場面です。
We interrupt for an important bulletin.
テレビ (ラジオ) 番組を一時中断する時の表現です。直訳は、「重要な速報 (bulletin) のために割り込みます ( interrupt )」です。

bulletin は「速報」ですが、「bullet ( 弾丸 ) のように速く伝わる」として私はその意味を覚えています。実際は語源は違うみたいですが、自分が覚えやすいと思ったら“それでよし”ですね。

日本のテレビ番組でも“速報”が急に流れる(字幕などでも)ことがありますが、その度にこの英語表現を思い出していきたいですね。

② A deadly high-speed pursuit between police and armed gunmen is underway,
この underway という単語はもともとは航海用語で、船が航行を開始して動いている状態を指しました。

The ship is underway. 「航海中である」

under” は、He’s under control of his emotions. 「彼は感情に支配されている」のように「支配下にある」というニュアンスがあります。

また、”way” は「進む方向」です。そこから、under + way で、「方向性を定められて進んでいる」 = 「進行中だ」という意味になります。

The construction project is underway.
(その建設プロジェクトは進行中です。)

私は「進行中」は毎回 go on を使っていました。The construction project is going on.

でも underway もどんどん使っていきたいですね。


Bob (Mr. Incredible): What is it, ma’am? 「お困りで」
Old Lady: My cat, Squeaker, won’t come down. 「ネコちゃんが木の上に」

「Mr. インクレディブル」

My cat, Squeaker, won’t come down.
木に登った猫が降りてこないので、女性がボブに助けを求めるシーンです。

ポイントは won’t です。will not の短縮形ですが、「…しようとしない」という強い拒絶を表します。

この強い拒絶の won’t は高校生用の参考書にも取り上げられています。でもそのほとんどが文脈のない1文だけで、それを暗記するというパターンです。

これまで洋画を見てきて強く思うのは、文脈の中で英語を覚えていくこと、中でも動画の中でビジュアル的に言葉を覚えていくことの大切さです。

このMy cat, Squeaker, won’t come down. も、猫が木に登っておりてこない様子と、ボブが木を持ち上げて揺らしても、降りようとしない場面が描かれていますが、まさしく won’t come down 「どうしても降りてこようとしない」が肌で感じられます。

文脈のない“無機質”な1文を覚えるよりも、動画の中で理解する方がその英語の定着率が高まるので、動画の素晴らしさをしみじみと感じてしまいます。



Bob (Mr. Incredible): Certainly, ma’am! But I suggest you stand clear. There could be trouble. 「危険ですから離れて下さい」
Old Lady: No, no. He’s quite tame. 「おとなしいネコよ」

「Mr.インクレディブル」

① But I suggest you stand clear.
木に登った猫を確保するのに、ボブが女性に言った言葉です。

最初は、木から猫を下ろすだけなのに、なぜこんな英語を使ったのかわかりませんでしたが、直後に取ったボブの行動で納得しました。

stand clear の意味は「離れて(安全な距離をとって)立って下さい」です。clear は「はっきりした」ですが、クリア(clear)ファイルは“透明な”ファイルです。

“透明”というのは障害物がなく向こうが見渡せる状態をいうので、そこから stand clear は「障害物のないところに立つ」 = 「安全なところに立つ」という意味になるのです。

Stand clear of the closing doors.” は、主に電車や地下鉄の駅で使われるアナウンスで、「閉まるドアにご注意ください」です。( ちなみに、clear of の of は分離のof で「…から(離れて)」という意味です )

② He’s quite tame.
“He” は木に登った猫のことで、tame は形容詞で「飼いならされて」という意味です。

quite があるので“犬がとても飼い慣らされている”状態を「おとなしい」と訳されているのです。

「おとなしい」というのは calmgentle もありますが、動物の場合は“飼った結果”なので tame がいいのではないでしょうか。

calm や gentle だと最初から大人しいというイメージになります。

この tame は動詞として「飼いならす」「手なずける」という意味もあるので He’s tamed. と受け身で表すと、「(人間の手によって野生の犬が)手なずけられた」という意味になるので、状況によって使い分ける必要があります。

After weeks of training, the dog is tamed. 「数週間のトレーニングの後、犬は手なずけられた」


< ボブが車に乗り込む >

Buddy (Incrediboy): Cool! Ready for take-off! 「出勤だ」
Bob (Mr. Incredible): What the…? Who are you supposed to be? 「何だって?君は誰だ」

「Mr.インクレディブル」

① Ready for take-off!
「出勤だ」と訳されていますが、take off は「出かける」、「出発する」という意味で、「出かける準備完了!」が直訳です。

「出かける」でよく使うのは leave です。そこで leave と take off の違いを ChatGPT で調べてみました。

Leave: To depart, move away, or exit.
Take off: To leave quickly, depart casually, or (for planes) to take flight.

ChatGPT

同じ「立ち去る」でも take off は「急いで ( quickly ) 立ち去ったり、軽い感じで ( casually ) 出発する」というニュアンスがあるというのがわかります。 また、飛行機が離陸するのも take off です。

英和辞典には take off を単に「出発する」としか書いていないものもあるので、その語が持つニュアンスを知りたい時には、対話型AI や英英辞典がやはり必要になってきます

Who are you supposed to be?
ボブが車に乗り込むと助手席に見知らぬ男性が座っていたのですが、その時に言った英語です。

それだけで、ボブが苛立って「お前は誰だ?」と言ってるのが伝わってきます。

この表現を Q&A サイトの HiNative にアメリカ人からの説明がありました。

if someone is in a costume you would ask "who are you supposed to be?" meaning what character are you pretending to be.
if someone is in a meeting and a random person starts making demands or statements,  the boss may ask "who are you supposed to be?” meaning who is challenging my authority and/or why are they speaking so freely.

HiNative

まとめると、
コスチュームを着ていて、「誰のキャラクターを演じているの?」と聞く場合や、会議などで立場をわきまえずに要求などをしてきた時、「お前は何者のつもりだ?」という意味で使われます。

このシーンでは、人の車に乗り込んでくるなんて「お前は一体誰なんだ?」というボブの苛立ちを表しています。Who are you supposed to be? は洋画などでよく出てくる英語なので覚えておくと役立ちます。

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