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【第133回】ディズニー映画「Mr. インクレディブル」のシーンから使える英語表現をいくつか掘り下げてみました。
Bob: Reliving the glory days is better than acting like they didn’t happen! 「あの過去が誇りなんだ」
Reliving the glory days is ...
relive = re (再び) + live (生きる) = 「再び生きる」です。ここでは Reliving the glory days と relive が他動詞として使われているので、「…を再び経験する、取り戻す」という意味になります。
Reliving the glory days なので「輝かしい日々を再び取り戻すこと」とです。
ここではこの relive の意味も学習できますが、このボブのセリフを取り上げたのは、それ以上にこのセリフの中にボブのスーパーヒーローとしての誇りがひしひしと感じられるからです。
字幕は「あの過去が誇りなんだ」と短くまとめられていますが、直訳は「輝かしい日々を再び取り戻すことは、それらが起こらなかったかのように振る舞うこと(acting like they didn’t happen ) よりもいいことだ」です。
過去のスーパーヒーローとしての栄光を奪われて、一般人としての生活を送らなければならなくなったことが、ボブにとっては耐え難いことだったに違いありません。
よく「過去でなく今が大切」と言われますが、ボブのように過去の自分を忘れずに、今より過去を大切にする生き方というのもアリではないかと思わせてくれます。いろんな考え方があっていいのだと…
そんなボブの考え方に対して真っ向から対立するのが、妻ヘレンの次の言葉です。
Helen: Yes! They happened! But this, our family, is what’s happening now, Bob. And you are missing this! I can’t believe you don’t want to go to your own son’s graduation! 「でも過ぎたことよ。これが私たちの現実なの。捕まったら息子の卒業式に行けないわ」
Yes! They happened! But this, our family, is what’s happening now,
字幕の「でも過ぎたことよ」は Yes! They happened! です。「それらは起こった」と過去のことを言っているので、「それは過去のことだ」という意味で使われているのです。
But this, our family, is what’s happening now, は、「でもこれ、すなわち家族というものが、今起こっていることなの」なので、そこから「これ(家族というもの)が現実なの」と置き換えられているのです。
happened (過去形)とis happening (現在進行形)を使って“過去”と“現実”と言う言葉(日本語字幕)に置き換えているのは素晴らしいと思います。
ヘレンはボブと違って家族の“今“が大切で、そこから逃げてはいけないと主張します。彼女にとっては過去のヒーローではなく、息子の学校行事がの方が大切なわけです。
ボブとヘレンの考え方はまるで“水と油”です。一体これからどうなっていくのでしょうか…
Bob: It’s not a graduation. He’s moving from the fourth grade to the fifth grade. 「5年生に進級するだけだろ?」
Helen: It’s a ceremony! 「式典よ」
Bob: It’s psychotic! They keep creating new ways to celebrate mediocrity but if someone is genuinely exceptional, then- 「変だよ。普通のことなのにわざわざ祝ったりして…」
ここでは字幕に表れていないボブの最後のセリフ( then 以下 ) に触れてみたいと思います。
ヘレンは息子ダッシュの4年生から5年生に進級する式典に参加したいと主張しますが、ボブはそんな平凡なイベントに参加するなんて馬鹿げていると言い返します。
「そして社会はそんな平凡(mediocrity)なイベントを称えるようなことばかりしている。でも、本当に優れた人がいても——」の箇所がセリフでは省略されています。(最後の , then … に続く箇所です)
ここに省略されているのは、,then ( they’re ignored. ) です。すなわち、本当に優れた人は無視されている、とボブはイライラしてるのです。ここでの”優れた人“とは昔のスーパーヒーローたちのことです。
学べる語彙は psychotic と mediocrity です。psychotic は「精神的に異常な」という意味ですが、ここでは「異常な」という意味で使われています。insane と同義語ですね。
簡単な英語で言うと very strange ですが、psychotic の方がずっと強い言い方です。
mediocrity は「平凡」で、They keep creating new ways to celebrate mediocrity なので、「平凡なことを祝う新たな方法を作り続けている」です。
品詞は違いますが、ボブが言った exceptional が mediocrity の反意語です。ボブは自分たちのような優れた人たちが無視され、平凡なものばかりに社会はフォーカスしてることに不満を爆発させているのです。(さらに次のように2人はヒートアップします)
Helen: This is not about you, Bob! This is about Dash! 「ダッシュのためよ」
Bob: You want to do something for Dash!? Then let him actually compete! Let him go out for sports!! 「子供のためを思うならスポーツをさせろ」
Helen: I will not be made the enemy here! You know why we can’t do that! 「ダメな理由は知ってるでしょ?」
I will not be made the enemy here!
これは日本語字幕に示されていません。この英語でポイントになる語は make ( made ) です。この make を「作る」と取ると be made では受け身なので「私はここで敵を作られるだろう」と意味のわからない日本語になってしまいます。
この make は「…させる」の意味です。すなわち、「私はここでは敵扱いされるつもりはない」という意味になります。
will not … は強い否定の意思で「絶対…しない」です。make が受け身になった時にはその意味には注意する必要があります。
Helen: We’re sorry we woke you. Everything’s okay. Go back to bed. It’s late. 「起こしてごめんね。ベッドに戻って」
We’re sorry we woke you.
喧嘩がヒートアップしたボビとヘレンが子供たちを起こしてしまった時に言った表現です。
「起こしてごめんなさい」と比較的簡単な表現ですが、こんな英語が大切ではないでしょうか?ともかくそのまま覚えてしまい、それをアウトプットするのが大切です。
あと“英借文”としても使えます。私1人があなたを起こしてしまったら I’m sorry I woke you. です。
他にも I’m sorry I woke your baby. などいろいろ表現を変えて言い表すことができます。Sorry for waking you. も使えますが、これは We’re sorry … よりもインフォーマルな表現です。
We’re sorry we woke you. よりもさらにフォーマルな英語は I apologize for waking you. です。
どんどん使っていきたいですね!