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【第112回】ディズニー映画「カールじいさんの空飛ぶ家」のシーンから使える表現をいくつか掘り下げてみました。

ラッセル: You were talking to a rock. Hey, that one looks like a turtle. Look at that one! That one looks like a dog! Ah, it is a dog. What? We're not allowed to have dogs in my appartment. Hey, I like dogs! 「あの岩亀みたい。見て、あの岩は犬そっくり。本物の犬だ。うちのアパートペット禁止なんだ。犬大好き」
カール: We have your dog. I wonder whom he belongs to. 「飼い犬はここです。誰の犬だ」

「カールじいさんの空飛ぶ家」

① That one looks like a dog! Ah, it is a dog. 「あの岩亀みたい。見て、あの岩は犬そっくり。本物の犬だ」

ラッセルが岩だと思っていたものが、実際は本物の犬だったので、Ah, it is a dog.と言ったシーンです。

文法的には特段取り上げるような難しい表現ではないのですが、これを取り上げたのは、Ah, it is a dog. のリズムがいいなあと思ったからです。

本物の犬だ」という意味で使われていますが、リズムは It is a dog. と is が強調されています。これは手前の That one looks like a dog! の「(犬の)ように見える」との対比で is が使われているのです。

look like ... は「…のように見える」という推測ですが、 is ... となるとその推測が「…である」と断定に変わります。ですから、あえて is を強調しているのです。

ですから It is a real dog. ( 本物の犬だ ) とあえて real をつけなくても is が「本物の」まで表しています。

A: You look like a magician. 「君マジシャンのように見えるね」
B: I am! 「マジシャンだよ!」

こんな強調の表現がサッと口から出るようになれば英語の面白さが実感できるのではないでしょうか。

② I wonder whom he belongs to.
少し文法を勉強しましょう。字幕は「誰の犬だ」ですが、直訳は「その犬は誰に所属しているのかなあ」です。

whom は関係代名詞で、後ろが belongs to と 前置詞の to があるので who ではなく whom が使われている…というのが参考書に載っていそうな説明です。

でも最近の参考書では、“whom もwho に置き換えることができる場合が多い”と書かれています。

特に口語表現では、whom の代わりに I wonder who he belongs to. と who を使う傾向が強いと思います。

カールじいさんは文法通りしっかりと whom を使っているのです。ただ、I don’t know to whom he is talking. を I don’t know to who he is talking. にするのは文法的におかしいです。

前置詞の次には目的格の whom が来るからです。もし who を使いたいなら I don’t know who he is talking to. ですね。who と to が離れているので大丈夫です。

ただあくまで文法的に正しいのはカールじいさんが使った whom です。



ラッセル: Hey, cool! What do these do, boy? 「このダイヤルは?」

「カールじいさんの空飛ぶ家」

犬のダグの首輪に取り付けられたダイヤルを見てラッセルが言った言葉です。

What do these ( dials ) do, boy? と dials が省略されています。

What do you do? は「どんな仕事をしてるのか」を聞く英語ですが、主語が人ではなくて物(この場合は these dials )  がきたら日本語の発想では違和感を覚えてしまわないでしょうか?

直訳は、「これらのボタンは何をしますか?」です。「ボタンが何をするのか?」というのは「これらのボタンはどんな役割があるの?」や「これらのボタンは何のためにあるの?」とその役割を聞いている英語になります。擬人法でしょうか…

先日ドッキリの番組で、個室に入るといかにも怪しいボタンがあり、「そこのボタンを押して下さい」とアナウンスがあるのですが、怖くてなかなかボタンが押せません。(実際はボタンを押しても何も起こらないのですが… )

そんな時使えるのが、What does this button do? 「このボタン押すとどうなるの?」です。

役割ではなく、「そこにある理由」を聞きたい時は be doing の進行形を使います。What is the car key doing here? 「なんで車のキーがここにあるの?」で、直訳するとちょっと違和感ありますが英語らしい表現なので使っていきたいですね。



ダグ: I am a great tracker. My master sent me on a special mission. All by myself. Have you seen a bird? I want to find one and I've been on a scent. I'm a great tracker. Did I mention that? 「ボク追跡が得意で、特殊任務を受けてきたんだ。鳥を見なかった?においを追ってきたの。追跡が得意だから」

「カールじいさんの空飛ぶ家」

mention を使った表現が2つ出てきているシーンがありました。mention は「言う」ですが、say と違って「話にサラッと触れる」場合に使います

① Did I mention that?
「それさっき言ったかな?」と言う意味の疑問文です。字幕にはこの訳は出ていません。

このシーンは犬のダグが “ I am a great tracker.” 「僕は追跡が得意だ」(ダグの1行目の太字) と切り出して、それから自分の飼い主のことなどをいろいろ喋って、また “I'm a great tracker.” と言いました ( 同じく4行目の太字)。

その時にダグは「それ(I'm a great tracker.)ってさっき言ったかな?」と言う意味で “Did I mention that?” を使ったのです。

話をしていて、「これさっき言ったかな?」とふと感じることはたまにありますよね。そんな時、Did I mention that? とサラッと言えます。

相手に「さっきもそれ言ったよ」や「さっき聞いた」 と言いたい場合は、You mentioned that. と言えます。「さっき聞いたし」は響きのいい日本語 (関西弁?)ではないでしょうか。

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